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仏教の起源 その①

2023年01月21日 | 教学基礎講座(一)

大白法(平成26年10月16日)第895号

 【教学基礎講座】2

 仏教の起源  その① 

 ー文明・社会的背景ー

 

 「仏教」という言葉には、「仏の説いた教え」と「仏になる教え」との二つの意味があります。

 この仏についても、仏教ではその経典によって、様々に解き明かされており、必ずしもインド出現の釈迦に限られたものではありません。しかし歴史的に見れば、仏教はインドの釈迦によって初めて説き出されました。今、私たちが、インド仏教の起源を学ぶことは、仏法者の常識として、さらには大聖人の仏法を、より深く知るためにも、意義のあることと言えましょう。

 今回は、仏教が成立する以前のインドの様子について、簡単に説明しておきたいと思います。

   【仏教成立以前の状況】

   〈文明〉

 紀元前3000年から2500年頃にかけて、当時インド領に属していたインダス川流域にはインダス文明が栄えていました。インダス文明は、メソポタミア文明・エジプト文明・中国文明等と共に、人類最初の古代文明の一つであり、当時すでに下水道まで完備していたモヘンジョ=ダロとハラッパの両都市の遺跡は世界に広く知られています。また、当時既に文字を使用していたことも、古代文明の特色として挙げることができます。
このインダス文明の中心となった地域は、現在はパキスタン領になっています。

   〈民族・人種〉

 紀元前2500年頃のインドには、ドラヴィダ族と言われる人種が広く定着し、そのほかにも多くの人種がそれぞれの地域に住んでいました。紀元前1500年頃になって、インダス川上流のパンジャーブ地方にアーリア人が侵入し、先住民を征服したことから、次第に自由民(アーリア人)隷属民(ドラヴィダ人など)との区別がつけられるようになりました。

   〈階級制度〉 

 その後、アーリア人がガンジス川上流地方に移住した頃には、人種間の区別から、職業や地位による厳格な身分の差別が定着し、カースト制度と呼ばれる四姓制度が確立されました。

 この四姓とは、

  ①バラモン(婆羅門、司祭)・
  ②クシャトリヤ(王候、士族)・
  ③ヴァイシャ(庶民・商工層)・
  ④シュードラ(隷民=アーリア人以外の人種) を言い、

 「カースト(caste)とは、ポルトガル語の casta(血統)に由来するインド社会で歴史的に形成された身分制度です。このカースト制度は、その後さらに細かく分かれて、その数は4000種にもなり、異なった階級の間での結婚はもちろんのこと、食事を共にすることさえも禁じられたのです。 

  〈バラモン教・ヴェーダ聖典〉

 このような社会体制の基盤となったのは、アーリア人による「リグ・ヴェーダ」を根本聖典とするバラモン教でした。アーリア人はもともと宗教的な民族で、大自然の現象を畏敬し、自然の力を神格化しました。
 その大自然の神々への讃歌・祈祷・呪法・音楽などをまとめた聖典を「リグ・ ベェーダRigVeda]と言います。 (「ヴェーダ」とは「神聖な知識」という意味です)この「リグ・ヴェ−ダ」が基本となって、さらに三つのウェーダ聖典が作られました。

 大聖人様は御書に、この四つのヴェーダを「四韋陀」と記されています。
 このように紀元前1500から500年ごろのインドは、「ヴェーダ時代」とも言われるように、バラモン教が広く行われ、それにつれて四姓制度も深く定着していきました。ガンジス川で沐浴し、牛を崇めることで知られるヒンドウー教は、バラモンの思想が基礎となって出来た宗教です。

  〈その他の思想・宗教〉

 長い年月にわたってヴェーダ聖典を尊重する中で、経典「ブラーフマナ」に 代表される祭式万能思想が生まれ、さらに知識を重視し、宇宙の根本真理を探究する思想が芽生えてきました。
 特に、「 リグ・ヴェーダ」に 端を発した真理探究の思想は、紀元前800から500年ごろに至って、ウパニシャッド( 奥義書)哲学として結実します。

 このウパニシャッドーの思想とは、宇宙の根本原理ブラフマン(梵)と 個人の存在の根本原理アートマン(我)とが同一であるという「梵我一如」の考え方が基本となっています。この他にも 『開目抄』等にみられる三人のバラモンの行者(三仙)、すなわち迦毘羅・漚楼僧佉・勒娑婆の教えがあり、また釈尊が出現された時代には、中インドで六師外道が勢力を誇っていました。

 『三三蔵祈雨事』には、「外道と申すは仏前八百年よりはじまりて、はじめは二天三仙にてありしが、やうやくわかれて九十五種なり」(御書八七六㌻)とあります。

ここでいう「二天」とは、古代インドで崇拝された摩醯首羅天(大自在天)と毘紐天(自在天)のことです。

        ◇   ◇

   バラモンをはじめとする仏教以外の思想について、

  大聖人様は

 『開目抄』に、「外道の所詮は内道に入る即ち最要なり」(同 五二五㌻)と、法華経の開会の立場から内道(仏教)に入るための序段と位置づけられています。なお、これらの思想・宗教は、いずれも因果の理法が明確でなく、現実から遊離した教えであったために、すべての人を根本的に救済する力はなく、カースト支配の社会体制を改革することもできなかったのです。

 

(つづく)

 

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