YouTubeなどに、多くの井戸掘り動画がアップされています。
その中でも、やはり多いのが打ち込み井戸ですね。
以前、私の仕事に見学に来られた岐阜県の庭師の女性の方が、
VP75の塩ビパイプを、カケヤで7m叩き込んで井戸を作った話を聞きました。
女性でも、やる気になれば凄いパワーだなと感心しました。
今日は、打ち込みについて御説明いたします。
私は、井戸屋でありますが、元々の職業は地質調査技士です。
いわゆる、ボーリング調査の仕事を主としてやってきました。
ボーリング調査は地質を調べる他、地下水の試験をしたりします。
その試験のためや、砂礫層の崩れを止めるためケーシングを打ち込む事があります。
ケーシングとは、鉄製の鞘管のことです。
通常は、泥水を使って回転で挿入する事が多いのですが、
場合によっては、モンケンという63,5kgの錘で打ち込みます。
これだけ重いモンケンで叩き込んでも、途中で入らなくなる時があります。
その理由は、3つあるのですが・・・?
みなさん、分かりますか?
答えは、パイプ先端が硬いものに当たった。また、パイプ内の先端のつまり。
もう1つはパイプ側面の地層との摩擦です。
硬いものにあったたり、パイプ先端のつまりは、パイプ内部の土砂を取り除けば
パイプは再び叩き込めるようになります。
実際に、我々は50mでも叩き込んだ経験は何度でもあります。
中掘りを先行させれば、鞘管の打ち込みは容易にできます。
ところが、パイプ側面の摩擦はどんどん強くなっていきます。
そのため、摩擦がかかるのを最小限にしなければなりません。
先端を鉛筆のように尖らせて打ち込めば、土を避けながら無理に刺さって行くので
パイプ側面にものすごい摩擦が発生します。
粘土層なら、急激に打ち込み速度が落ち、打ち込み不能になります。
以上のことから、パイプ先端は尖らせない。
逆にソケットなどを付け、打ち込みパイプより先端は少し太くする。
そして、パイプ外側に泥水を入れてやれば、滑りやすくなり摩擦力は低下する。
かつ、中掘りを先行させてやれば打ち込みは楽になる。
以上のことが、打ち込みをする条件の注意点です。
あくまでも、これはある程度太いパイプの場合であり、
浅く、比較的ルーズな砂層などの場合は、パイプ先端を尖らせても大丈夫です。
今日は、打ち込みに起こる状況と、回避策の注意点を書き込みました。
では、・・・