トミーさんの井戸掘り勉強塾

[マチャアキJAPAN、2011ネパール、2012ザンジバル、2015カンボジア][2013/Dash島]テレビ出演

井戸掘りの 「イドセン」

井戸掘り30年、個人職人の井戸屋さんです。 時代と共に井戸掘りの機械は随分変わりました。 小さな機械で井戸を掘る昔ながらの井戸屋はほとんど姿を消しました。 このブログより、井戸掘りの理屈を皆さんに提供していきたいと思います。 「自分で井戸が掘りたい」「井戸について知りたい」など、井戸についてご質問のメッセージを頂ければ詳しくお答えいたします。 個人職人の井戸屋さん「イドセン」http://www.idosen.sakura.ne.jp/idosen/

井戸水から出る砂を止める方法

2013年03月10日 | 日記
井戸水に砂が混じるので止めたいという問い合わせについて・・・

掘ったばかりの井戸は、しばらくの間濁りや砂が混じることがあります。

地層の間隙に滞水している水が新たな井戸の方向へ流れるため

濁りや砂などが水流に引っ張られて出てくるのです。

しかし、原因はそればかりではありません。

砂が出てくる原因の一番の理由は、井戸の設計問題にあります。

つまり、井戸の大きさとポンプの能力です。

例えば、毎分30Lの水を汲むポンプが付いてるとします。

そして井戸のパイプの太さは50mmとします。

50mmのパイプに溜まる水の体積は1mあたり約2Lです。

これを計算すると、毎分15mの速さで水を汲み上げていることが分かります。

もっと細かく言えば、15m÷60秒=0.25

つまり、秒速25cmで井戸水を汲み上げています。

砂の粒子や種類にもよりますが、雲母などは軽いため、

わずかな水の動きにでもついてきます。

従って、井戸の太さを大きくするか、汲み上げ速度を遅くするかになります。

汲み上げ速度は遅くしたくないという人が大半と思います。

であるなら、太い井戸を掘らなくてはなりません。

井戸の太さが200mmだと、1mあたり30Lの水が溜まっています。

これなら、30Lのポンプで汲み上げても毎分1mの汲み上げ、

つまり、毎秒2cm以下の水の動きなので、まず砂は上がってきません。

このように、砂が上がる原因は井戸の大きさと汲み上げ速度にあるわけです。

だったら、砂が通らないように細かなメッシュを付ければよい!

と、思う方もいると思いますが、細かな砂を止めるために

さらに細かなメッシュをつけると、目詰まりを起こし水も通らなくなります。

以前、私がマチャアキJAPANのネパールで掘った井戸を覚えていますか?

あのような細かな砂では通常の井戸はできません。

ただし、直径1m以上の大きな井戸なら話は別です。

まあ、そこまで細ければなんともなりませんが、

通常の細かな砂の場合、砂こし器を付ける方法もあります。

ただ、砂こし器といっても完璧ではありません。

すぐに砂が溜まって目詰まりを起こし、使い物にならないことが多々あります。

こんな場合は、大きな沈殿槽を作ったほうが完璧です。

例えて言うなら、砂が混ざった水を汲み上げても、

一度大きな体積の容器に入れ、水の動きを緩やかにして砂を沈殿させる

そして、そのうわ水を給水する。

このように、砂を止める方法は簡単なようで大変なのです。

庭や畑に散水する水なら、多少の砂が混ざっても気になりません、

しかし、風呂や洗濯、台所に使用する井戸は、

最初からきちんとした井戸の設計が必要です。

散水などの雑水用の井戸でいいと言って,格安な散水井戸を掘り、

いつの間にか勝手に井戸水を家に引き込み砂が止まらないから何とかしろ。

こんな砂が出るような井戸を掘る井戸屋なんて腕が悪い。

と、言いたい放題のお客様もいます。

井戸ってほんと正直なんですよね。

常に自然と物理なんですよ。



今日の説明は少し難しかったかな?

なかなか思いを文章にするのって難しいですね。