実はいろいろと不可解な事件なのだ。どこが不可解なのかは最後に述べる。
その前に栃木産の腐葉土から1万700Bqのセシウムが検出された。ここで重要なのは稲藁と違ってその生産現場だ。稲藁は野積みされていたので、あまりにも高いレベルだが理解出来る。ところが腐葉土の生産は屋根がついているはずだ。落ち葉を集めて発酵促進のためにチッソ分を混入し、水を加えて腐熟させている。作業として切り返しという、積み上がった落ち葉を一番したにあるものを一番上になるように混合しながら熟成させる。この行程で長雨に当たったりして発酵が中断しないよう屋根をつけているはずなのだ。もしくは牧草と同じようにビニールでグルグル巻きにして外部からの水分が入らないように保管しているはずだ。最終行程ではそれでも混合・切り返しの過程がある。
さてなぜセシウム牛が出来たのかを大雑把にいえば、昨年の宮崎県での口蹄疫という牛にとっては致命的で、生産農家にとっても致命的な疫病が発生したことだ。この原因として口蹄疫が多発している韓国からの稲藁の輸入が、国内農家から禁避されて国内産の稲藁に需要が集まった。
また、口蹄疫は人間に移るものではないが、疫病である限り風評被害が全国的に起きて、牛肉価格は宮崎県という大産地が無くなっても安値のままで推移し、安全のため高値である国内産稲藁を使いつつ経営は逼迫していた。
しかし国内の稲作農家は稲藁の突然の需要増大に慣れていない。高値で取引されているが、出荷体制が出来ていない。そこに昨年の長雨で保管場所の無い稲藁が屋外で放置された。なおこれはさし肉とか肉を柔らかくするための飼料ではない。こんなスカスカの餌はない。
震災で飼料の流通体系が破壊され飼料が足りなくなった。宮城・福島では間違いなくこれで放置された稲藁が牛に与えられた。また全国でも稲藁の生産地である宮城県からの供給が途絶して、品位(セシウム濃度ではない)の劣る稲藁が出荷されてしまった。
更に青草の出始める時期に牧草からセシウムが検出され、飼料不安が起きた。そこで昨年度の牧草と稲藁に需要が集中した。この影響で全国区でセシウム藁が流通した。
実は東北は乾燥牧草の出荷地でもある。そこでの飼料不安は相当大きい。そこで昨年度の稲藁を確保しようと生産者ががんばった結果なったのだろう。
それでは穀物類を含む輸入飼料に切り替えればいいのではとなるが、現在畜産農家の経営は逼迫している。そして健康な牛肉や牛乳が求められている現在では、牛の健康を考えて飼料を設計している。もともと牛は青草を食べてる生活で適応している。このため乾燥牧草や稲藁のような粗飼料が絶対必要になる。供給不安がある時点で、需要が極端に逼迫していた。福島で放置していたものだから牛に与えるなといわれていたのに与えた農家があった。
牛は乾燥牧草で1日15キロ、青草で60キロ食べる。これは濃厚飼料ではない、牛の健康のための最低の粗飼料なのだ。目の前でやせて行く牛を、どうしようもなく見守れるのか?
この事件は相当根が深いのです。
さてこれはいろいろ考えれば私でも分かる話しです。不可解なのは、藁にセシウムが集積した事です。この答えは栃木の腐葉土の件にあるかもしれません。もちろんホットスポットの可能性はあります。
ただ大気中の放射性物質を単純に抜き出した例は少ないのですが、週刊現代の記事は参考になると思います。
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/13228
この記事の中で、
さて、今回の調査の目的は、放射性物質の検出だけでなく、もうひとつある。それは、福島県民が6月までの3ヵ月間で、どれだけの量の放射性物質を吸い込んだかというシミュレーションである。次のような方法で、これを算出した。
排気量700ccの小型車のフィルターが取り込んだセシウムの量を測定する。そこから、福島の大気中に、1立方メートルあたりどれぐらいのセシウムが含まれているかを計算(1)。それをもとに、人間の肺がどれぐらいの量を取り込んだのかを計る。成人は一日約24立方メートル分の呼吸をするので、1に24をかけ、6月15日までの日数(97日)を掛けると、これまでどれほどのセシウムを吸引したかがわかるというわけだ(このエンジンと人間の肺を置換して吸引量を計る方法は、放射線を研究する研究者の間では広く知られている)。
この計算の結果、少なくとも6月までの3ヵ月間で、成人は0.38~0.53ミリシーベルト(=380~530マイクロシーベルト)のセシウム134、セシウム137を吸引したことになる、との結果が算出された。子供の場合は成人よりも呼吸量が6割落ちるので、0.1~0.16ミリシーベルトとなる。
記事はシーベルト単位なので、Bq単位で話しているこの件とは単純比較は出来ないが、埃や雨などに混じって落ちる降下物より少ないが大きく考える必要がある。藁や腐葉土の問題も関係すると思う。
現時点での行政の計測方法(とっても真面目だよ。宮城県抜かして)では補足されて居ない何かがありそうだ。腐葉土や稲藁がセシウムを吸着している可能性を表しているのだ。それを考える事が、データが無いので現在不可解なのだ。
もはやなのだが、雨水を含めた降下物の捕捉をどうするのか、大気中の放射性物質をどう計測するのか(大気汚染で使われている吸引した条件でフィルターで計測する方法とか)今後考えなければいけない。
この不可解な事象、これを科学者が調べるようになって欲しい。チェルノブイリのときには調べるには遅すぎた。残念な事だが、現在これは日本では無い。今からこの不可解を調べても遅くない。
放射能物質とどうつきあうのか、今後の日本人の生活になる。そのためにも必要になるからだ。
その前に栃木産の腐葉土から1万700Bqのセシウムが検出された。ここで重要なのは稲藁と違ってその生産現場だ。稲藁は野積みされていたので、あまりにも高いレベルだが理解出来る。ところが腐葉土の生産は屋根がついているはずだ。落ち葉を集めて発酵促進のためにチッソ分を混入し、水を加えて腐熟させている。作業として切り返しという、積み上がった落ち葉を一番したにあるものを一番上になるように混合しながら熟成させる。この行程で長雨に当たったりして発酵が中断しないよう屋根をつけているはずなのだ。もしくは牧草と同じようにビニールでグルグル巻きにして外部からの水分が入らないように保管しているはずだ。最終行程ではそれでも混合・切り返しの過程がある。
さてなぜセシウム牛が出来たのかを大雑把にいえば、昨年の宮崎県での口蹄疫という牛にとっては致命的で、生産農家にとっても致命的な疫病が発生したことだ。この原因として口蹄疫が多発している韓国からの稲藁の輸入が、国内農家から禁避されて国内産の稲藁に需要が集まった。
また、口蹄疫は人間に移るものではないが、疫病である限り風評被害が全国的に起きて、牛肉価格は宮崎県という大産地が無くなっても安値のままで推移し、安全のため高値である国内産稲藁を使いつつ経営は逼迫していた。
しかし国内の稲作農家は稲藁の突然の需要増大に慣れていない。高値で取引されているが、出荷体制が出来ていない。そこに昨年の長雨で保管場所の無い稲藁が屋外で放置された。なおこれはさし肉とか肉を柔らかくするための飼料ではない。こんなスカスカの餌はない。
震災で飼料の流通体系が破壊され飼料が足りなくなった。宮城・福島では間違いなくこれで放置された稲藁が牛に与えられた。また全国でも稲藁の生産地である宮城県からの供給が途絶して、品位(セシウム濃度ではない)の劣る稲藁が出荷されてしまった。
更に青草の出始める時期に牧草からセシウムが検出され、飼料不安が起きた。そこで昨年度の牧草と稲藁に需要が集中した。この影響で全国区でセシウム藁が流通した。
実は東北は乾燥牧草の出荷地でもある。そこでの飼料不安は相当大きい。そこで昨年度の稲藁を確保しようと生産者ががんばった結果なったのだろう。
それでは穀物類を含む輸入飼料に切り替えればいいのではとなるが、現在畜産農家の経営は逼迫している。そして健康な牛肉や牛乳が求められている現在では、牛の健康を考えて飼料を設計している。もともと牛は青草を食べてる生活で適応している。このため乾燥牧草や稲藁のような粗飼料が絶対必要になる。供給不安がある時点で、需要が極端に逼迫していた。福島で放置していたものだから牛に与えるなといわれていたのに与えた農家があった。
牛は乾燥牧草で1日15キロ、青草で60キロ食べる。これは濃厚飼料ではない、牛の健康のための最低の粗飼料なのだ。目の前でやせて行く牛を、どうしようもなく見守れるのか?
この事件は相当根が深いのです。
さてこれはいろいろ考えれば私でも分かる話しです。不可解なのは、藁にセシウムが集積した事です。この答えは栃木の腐葉土の件にあるかもしれません。もちろんホットスポットの可能性はあります。
ただ大気中の放射性物質を単純に抜き出した例は少ないのですが、週刊現代の記事は参考になると思います。
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/13228
この記事の中で、
さて、今回の調査の目的は、放射性物質の検出だけでなく、もうひとつある。それは、福島県民が6月までの3ヵ月間で、どれだけの量の放射性物質を吸い込んだかというシミュレーションである。次のような方法で、これを算出した。
排気量700ccの小型車のフィルターが取り込んだセシウムの量を測定する。そこから、福島の大気中に、1立方メートルあたりどれぐらいのセシウムが含まれているかを計算(1)。それをもとに、人間の肺がどれぐらいの量を取り込んだのかを計る。成人は一日約24立方メートル分の呼吸をするので、1に24をかけ、6月15日までの日数(97日)を掛けると、これまでどれほどのセシウムを吸引したかがわかるというわけだ(このエンジンと人間の肺を置換して吸引量を計る方法は、放射線を研究する研究者の間では広く知られている)。
この計算の結果、少なくとも6月までの3ヵ月間で、成人は0.38~0.53ミリシーベルト(=380~530マイクロシーベルト)のセシウム134、セシウム137を吸引したことになる、との結果が算出された。子供の場合は成人よりも呼吸量が6割落ちるので、0.1~0.16ミリシーベルトとなる。
記事はシーベルト単位なので、Bq単位で話しているこの件とは単純比較は出来ないが、埃や雨などに混じって落ちる降下物より少ないが大きく考える必要がある。藁や腐葉土の問題も関係すると思う。
現時点での行政の計測方法(とっても真面目だよ。宮城県抜かして)では補足されて居ない何かがありそうだ。腐葉土や稲藁がセシウムを吸着している可能性を表しているのだ。それを考える事が、データが無いので現在不可解なのだ。
もはやなのだが、雨水を含めた降下物の捕捉をどうするのか、大気中の放射性物質をどう計測するのか(大気汚染で使われている吸引した条件でフィルターで計測する方法とか)今後考えなければいけない。
この不可解な事象、これを科学者が調べるようになって欲しい。チェルノブイリのときには調べるには遅すぎた。残念な事だが、現在これは日本では無い。今からこの不可解を調べても遅くない。
放射能物質とどうつきあうのか、今後の日本人の生活になる。そのためにも必要になるからだ。