どうでもいいこと

M野の日々と52文字以上

セシウム牛

2011-07-23 22:34:41 | インポート
非常に面倒な事件が起きたと思っている。実は調べてもよくわからない。憶測で述べる。
まず稲藁がなぜ必要なのかといえば、畜舎での敷き藁と飼料混合用だ。産經新聞で飼料用の稲藁はさし肉を作るための飼料とかいているが、ちょっと違うはずだ。乾燥牧草より食い付きがいいからが理由だ。牛は4つの胃袋で餌を発酵させながら栄養を吸収するため、大きくて荒い食物繊維が必要になっている。このため牧草や乾燥牧草や稲藁が使われている。食い付きがよければそれだけ多く食べて太るので、青草の少ない期間に利用されている。
牛の生理にあわせて必要なのであって、肉質を柔らかくする効果は根本的には無い。
昨年生育した稲の稲藁になぜセシウムが大量にあるのかが問題になる。これは野ざらしにしていた稲藁を使用したのが原因だ。特に宮城県では昨年秋に長雨が続いていたので、よく乾燥出来ずに春に集めたようだ。この冬を越した稲藁は栄養が足りないので本来はあまり使われないもののようだ。
福島や、宮城、岩手から出荷されたセシウム牛については、流通が壊れていたので飼料が足りなくなり、使ってしまったフシがある。規制は無かったし、甘かったかもしれない。更に青草が出る季節で、牧草からセシウムが検出されて飼料の予定が狂った農家は多かったと思う。焦った農家は多かったろう。これが汚染稲藁の流通に拍車をかけたのだろう。
また昨年の口蹄疫騒動で、韓国からの輸入稲藁からの汚染が疑われ、国産稲藁の需要が増えた事が大きいかもしれない。これで国内の稲藁需要が逼迫していたと考えれば、栄養の抜けた春藁に需要があったのだと考えられる。
実はその稲藁に高濃度でセシウムが濃縮していたのかがよくわからない。乾燥していた稲藁にセシウムを含む雨が降りかなり稲藁が吸収し、その後に乾燥したというストーリーが考えられるが、宮城県の業者が出荷した稲藁の3万6千ベクレル/キロはかなり大きい。ホットスポット説もあるが岩手で観測されている降下物データ(福島・宮城のデータがまとまっていないのが気になる)と比べても無い値だ。
もしかすると降下物の計測方法に問題があるのかもしれない。
もう少し情報があれば今回のセシウム牛は個人で判断出来るのだが、稲藁の保管状況から牛に与える稲藁の量や期間も解らない。ただ解っているのは、ここから先が解らないという事だ。
解っているだけでいいかもしれない。

PS。産經新聞の記事

2011年7月17日(日)08:00
 ■「今秋分、与えるべきでない」
 次々に高濃度の放射性セシウムが検出される飼料の稲わら。16日には、福島県郡山市の農家の稲わらから1キロ当たり50万ベクレルもの放射性セシウムが検出された。相馬市の農家や、宮城県大崎市から納入された稲わらからも高い値が検出されたという。なぜ、これほど広範囲で、稲わらから放射性物質が見つかるのか。
 農林水産省によると、稲わらは「肉質を霜降りにするため」、配合飼料とともに牛に与える。通常、秋のコメの収穫時に乾燥させて倉庫にしまっておくが、今回、高い値が検出された稲わらは収穫時から水田に野ざらしになっており、3月の原発事故後に集められていた。
 「雨にさらされた稲わらは、栄養分が抜けカビが生えるため、飼料用としては勧められないやり方だ」と農水省担当者。しかし、収穫期に雨が続くなど乾燥が進まない場合は、まれに水田に置いたまま冬を越すこともあるという。

霜降りにすると言っているが、その後の記事では柔らかくするためと言い直している。農林水産省のプレスリリースを確認したが、同一のさし肉の表現は見当たらない。質問等であったのかもしれないが、ほぼ間違っている。
ただ3/11日以降の記事は以外と産経は悪くない。むしろ飼料問題を追いかけたのは正しい。

7/26追記
宮城県産の稲藁についてだが、36000Bq/Kgという値が出ていた。宮城県については放射性降下物を測定する器械が故障しているため、降下物がどの程度か解らない。福島市については5108Bq/㎡という数字が発表されている。盛岡市は971Bq/㎡なので5.26倍の放射性降下物が降った訳だ。とはいえ福島のデータは3/28日から5/19日であり、盛岡市は現在までの積算値だ。福島市のデータはこれでも実際より小さい。
福島市のデータとこの宮城県北の稲藁の値を単純に比べると、6倍の値になる。実際地域と単位が違うので比較は出来ないのだが、放射性降下物以上に稲藁にセシウムが蓄積しているのが解る。
だが本来なら放射性降下物の量より稲藁の量の方が小さくなるのが普通だ。雨に当たり乾燥する事で濃縮したとしても、そうなる。ましてや死んだ植物体なので、生理的な濃縮は無い。あるとすれば大気中にあるセシウムを稲藁が吸着したとなるのだが、考えにくい。ホットスポット説が有力なのだが、これ以上考えたくない何かを感じる。
セシウム牛を食べたとしても、毎日食べる訳ではない。しかも1キロなんて食べれない。それよりも大気汚染の方が凄まじいようだ。
なおセシウムを含んでいなかったとしても、飼料として不適格な稲藁を出荷した業者がいたのは、後々問題になるだろう。