大好きな作品です。
ずっと佳作を出し続けていると思っているNorah Jonesですが、やはりこの作品がなんというか、音楽界の中でも独立した聖典のような印象。とてもとっつきやすい聖典。
以前買ったスコアがあるのですが、色々気付かせてくれます。
Norahはピアノ弾きですが、このアルバムはアレンジとしてはギターの方が目立っているかと。よってピアノで再現するのは曲によってはちょっと合わないのですが、構成自体はやはり非常にシンプルです。曲もすごく単純で短い。
自分の足りない技術なりになぞってみると、本当に最小限の音数でこの作品の世界が再現される。一音外すとすぐ壊れる。
これはジャズのカテゴリーだったりするけどポップスですよね。
自分の中でも主旋律にしろ短いソロにしろ大切に記憶されていて、
あんまり外れたくない感じがポップス。
ちょっとしたバッキングやソロはなんてことの無いフレーズやスケールだったりするけど、
この場所でこのタイムでこの音数で、これが必要最小限にして必要十分ということの連続。
Norahのピアノは彼女の歌同様よく歌っていて、最低限で表現するセンスも抜群です。
コード進行をしっかり表現することの大切さを思い知ります。
凝ったことはしないでいいんですね。
「Cold, Cold Heart」は単純な左手のパターンに右手でブルーノートをじっくり奏でれば超ブルージーです。が、単純なのにフィーリングがなかなか追い付かず、でもこれ、ものにしたいです。
歌抜きでも十分魅力にあふれた曲が詰まっていて、少ない音数でシンプルに弾けるという点で、聴くだけでなくピアノに置き換えても2度おいしいという、これは一生のお付き合いという作品です。
というわけでいつもとは違う気分でピアノにアプローチしている作品です。
でもジャズのスタンダードの原点は歌ですよね。
そういう意味ではものすごくジャズしている気分にもなります。
Norah Jones / Come Away with Me
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2002年作品