2台のピアノによるひとつの音楽。その辺りを楽しめないといけない作品だと思います。
寄り沿ったりちょっとだけずれたり散ったり、非常に繊細なドットが音でしか描けない絵を映し出してくれる。具体的な何かというよりはグラフィック的な面白さ。
かと思えばスローな曲ではクラシック的な情緒を発揮。
Mehldauの音は良く聴いているからかしっかりと個性が発揮されていることを感じるが、Kevin Haysの方は対等に弾いているはずなのに表に出てこない。でもここにおいてはそれが即ち最高の仕事の結果という気もします。きちっとひとつの音楽として立ち上ってくるのでそれを無心で聴いています。
Patrick Zimmerliという人の影響力は残念ながらよくわかりませんが、出てくる音を聴けばこの二人を活かしきっているのかなとも思います。
肝心の2台であることの意味。
音数が少ない「4」でもしっかりと感じ取れます。
無段階で色が変化していくような「5」はもちろん。
ある程度譜面にされていたとしてもこの2人の一体感は意外であり、驚きです。
競わない、ぶつからない。代わりになにやら大きな「豊かさ」。
車で聴いたときは良くわかりませんでしたが、深夜にヘッドフォンで聴いたときは情報量が10倍にもなったような気がしました。
近くで、もしくは潜って聴かないともったいないですね。
個性的な音楽ですが、ムリヤリなところはなくすんなりと入ってきます。気付くと何回も1曲目に戻っているのでした。
Brad Mehldau・Kevin Hays・Patrick Zimmerli/Modern Music
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1. Crazy Quilt (Patrick Zimmerli)
2. Unrequited (Brad Mehldau)
3. Generatrix (Patrick Zimmerli)
4. Celtic Folk Melody (Patrick Zimmerli)
5. Excerpt from Music for 18 Musicians (Steve Reich, arr. Patrick Zimmerli)
6. Lonely Woman (Ornette Coleman, arr. Patrick Zimmerli)
7. Modern Music (Patrick Zimmerli)
8. Elegia (Kevin Hays)
9. Excerpt from String Quartet No. 5 (Philip Glass, arr. Patrick Zimmerli)
Brad Mehldau & Kevin Hays-piano
Produced by Patrick Zimmerli
2011年作品