本日は近美→資料館→芸森→文学館→さいとうと、大物を見て回り、暑さとともに挫折。
家を出た時から、暑い予感がする。
■北海道立近代美術館「へそまがり日本美術 禅画からヘタウマまで」。休館の可能性がゼロではないので、とにかく早めに見ておこう。
雪村周継「竹虎図」:いきなり最近話題の雪村の作品が登場。「虎」は見たことなかったんだから、突っ込むなよ。
白隠慧鶴「蛤蜊観音図」:亀、タコ、貝などを頭に乗せた者たちが観音の周りに集う。
東峯円慈「禅経達磨之尊図」:衣が透けて、達磨の体と経絡のようなものが見える。
仙厓義梵「十六羅漢図」:なんか線といい、キャラクターといいマンガなんだよな、もう。
仙厓義梵「竹虎図」:笑わずにはいられない衝撃の作品。展覧会全体を通じて、仙厓の破壊力は随一だった。
仙厓義梵「老子図」:老子「怒るで、しかし~」。
仙厓義梵「豊干禅師・寒山拾得図屏風」:これを描いてもらった人はなんと言ったのだろう。人物の顔は動物っぽいし、虎のヘタさといったら、衝撃的なのである。「ここに描いてある竹は上手いですね~」くらいか。
円山応挙「時雨狗子図」:もちろん、変な作品だけではない。応挙の雨の描写は素晴らしい。
長沢蘆雪「菊花子犬図」:しかしながら、子犬を描いた作品が並び、それがまた、つぶらな瞳であざといくらいに可愛いのだ。なんかヘン。
呉春「人物図」:サラリーマン係長のもの悲しさがあるね。
遠藤曰人「蛙の相撲図」:いや、蛙ではない。新ゆるキャラ「ブヨよん」である。
円山応挙「寿老人図」:どこか狂気をはらんだ岡田米山人「寿老人図」と並んで展示されているのだが、こっちは上手すぎるよ。
伊藤若冲「伏見人形図」:サンリオ的な作品。
徳川家光「兎図」:見ているうちに、兎の黒い目に虚無感すら感じさせられる。
徳川家綱「親鶏雛図」:いわゆる子供が描いた鶏。私ごとき素人でも、アートに興味を持っているうちに絵画技法のことが耳に入ってくるのだが、そんなものは一切寄せ付けないという、強靭な意思を感じる。
伊藤若冲「鯉図」:これは鯉の頭と尾を描き、あえて胴体をはみ出させているところに特徴があるのだが、若冲の想像を絶する上手さが分かる作品。鰭のあたりのたらし込みや、全体としての濃淡、ぼかしなどスゴイ。
中村芳中「十二ヶ月花卉図押絵貼屏風」:花や全体のフォルムが大福もちでできているんじゃないかと思わせる、心なごむ作品。
岩駒「寒山拾得図」:すゑひろがりずの人に似てるな。
曽我蕭白「後醍醐天皇笠置潜逃図」:後醍醐天皇ぐったり!
長沢蘆雪「蛸と蓮華図」:蛸は紫色なのかなあ。奇妙な図だ。
萬鉄五郎「仁丹とガス灯」:仁丹の看板とガス灯を描いた、一発ギャグ的な作品。これは気に入った。
→左下の3匹が「ブヨよん」。
全部が変な作品ばかりなのではなく、相当な技術の裏付けがある作品もある。全体として楽しくおおらかな気持ちで見ることができるので、良い展覧会であった。後期は多少作品が入れ替わるようなので、ぜひまた見に来たいと思う。今日は10時ちょっと前に来たら、開幕日とあって少し人が多かったが、後30分遅らせれば、かなり人は減っていた。まだ、この展覧会の良さが伝わっていないのかも。
■近美コレクション「コレクション・ストーリーズ エコール・ド・パリ」「三岸好太郎 師、友、同志とともに」。常設展の方は、「北海道みんなの日」ということで、入場無料である。少しは人が多かったように思う。
「エコール・ド・パリ」はいつものコレクション展だが、久々に見るかも。「三岸好太郎」展では「蝶と貝殻」が復刻版ではなく、元の版で出品されていた。
心なしか、空の青も鮮明な気がする。
芸森の話は別項で。
■北海道文学館「天災地変人禍に抗して 北海道の災害と文学」。こちらも休館になる可能性があるため、早めに見ておく。
三岸好太郎「大洪水スケッチ」:1932年、新篠津村、北村付近のスケッチ5点。
函館大火に関しては、石川啄木が「予は手を打ちて快哉を叫べり」と書いているらしく、今ならネット炎上だな(火事だけにな)。
佐藤忠良「原画『続お登勢』挿画」:北海道開拓→狼に襲われる→エドウィン・ダンがストリキニーネで退治、というエドウィン・ダン記念館で紹介されている話のようだ。
佐藤忠良「原画『石狩平野』表紙画」:日論戦争の話のようだが、死ぬのはいつも庶民ばかりなり。
「囚人労働・タコ部屋」のコーナーは、自然災害よりも一層悲惨で始末に負えない感がある。人間を人間と思わないとなんでもやるよね。
生まれる前の話はかなり知らないことも多かった。非常に恥ずかしい話で、ぜひ故郷の負の歴史は知っておくべきだと思う。記憶にあるところでは「炭鉱事故」「有珠山噴火」「北海道南西沖地震」といったところか(もちろん、つい先年の北海道大震災は知っている)。
最後に、スペイン風邪防止のポスターの言葉を今の世に送ろう。
「マスクをかけぬ命知らず!」
■さいとうギャラリー「第25回夏まつり「さかな展」」。
佐藤武「去り逝くもの」:まさかあの風景の中空にサンマの骨が浮かぶとは…。
佐々木けいし「金族」:円形の部品を集めて半球型を作る作品だが、心なしかいつもより線が細いせいで、涼やかな感じがする。
工藤悦子「擬態」:いったいこれは花なのか、エイなのか。