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「マッキーのつれづれ日記」

進学教室の主宰が、豊富な経験を基に、教育や受験必勝法を伝授。また、時事問題・趣味の山登り・美術鑑賞などについて綴る。

マッキーの受験アドバイス:偏差値について考える…その1:偏差値とは何か

2009年10月22日 | 受験
中学受験から大学受験まで、この時期に入ると、公開模試の成績が気になります。

公開模試の成績で、志望校から受験校へと、受ける学校を決定する時期にきているからです。

そうした受験校を決める資料として、必ず『偏差値』という言葉が出てきます。

『偏差値』については、分かっているようで、実は本当にその意味を理解している保護者は、少ないのが実情です。

そこで、『偏差値』の意味とその活用法について、保護者の方を対象に、数回に分けてこのブログで取り上げ解説します。



真っ赤に色づいた葉


【偏差値とは何か】

偏差値は、様々な批判を受けながら生き延びています。

私たちは、なぜ偏差値を使うのでしょうか。


ちょっとした例を挙げて、偏差値の有用性を説明します。

「前回の算数の点数は75点だったけれど、今回のテストは85点取ったので、だいぶ成績が上がったよ。」

さて、こうした言い方はできるでしょうか。


「そのテスト問題の難易度、すなわち平均点が分からなければ、成績が上がったとは一概には言えないでしょう。」

こう答える方が多いと思います。

では、どちらのテストの平均点も60点だったら、こうした言い方はできるでしょうか。

「そうした条件なら、前回は平均よりも15点高く、今回は25点高かったのだから、間違いなく成績は上がったと言えるね。」

無論、100点のテストで、前回は75点、今回は85点だったら、その習熟度は上がったとも言えます。

自分のテストの出来具合を判断するのに、平均点という指標は、一般的に有効です。

しかし、平均点が分かっていても、相対的に見て成績が上がったとは、断言できません。


「よく分からないな?」と言う方も多いはず。

このテストを、前回も今回も同じ500名の生徒が受けたとします。

前回は最高点が90点で、平均点前後の点数を多くの生徒が取りました。

今回は90点台の得点を取った生徒もかなりいましたが、点数の悪い生徒もかなりいた、点数のばらつきの大きいテストでした。

こうしたテストの場合、前回は75点で順位150番目、今回は85点取って順位150番目、そういうことも十分あり得ます。

したがって、平均点が分かっても、成績が上がったと断言はできないのです。

(全く同じ受験者で人数も同じ場合、順位で学力を判定できますが、偏差値は受験者数が変動しても、学力動向を比較することができます。)


では、どういった指標を参考にすれば、自分のテストの相対的位置を比較対照できるのでしょうか。

平均点だけではなく、得点の散らばり具合という、もう一つのファクターを加味しないと、成績を的確に評価することはできません。

そこで、高校数学レベルの統計学の手法を用いて、テストの難易度や点数の散らばり具合を考慮に入れて、自分の成績の相対的な位置を評価する方法として、偏差値を利用するようになりました。



ケヤキの黄葉


学校で指導した各項目の習熟度を判定する場合や、塾で漢字テストをして練習した成果を見るのに、偏差値は不要です。

その習熟度を絶対評価すれば良いからです。

しかし、中学校などで行われる期末テストの自分の成績を、相対的な視点で比較したり、また自分の各教科の出来具合を比較するのに、偏差値は有効な指標です。

また、受験校を決めるときに、自分の偏差値と学校の難易度の指標となる偏差値を比較することによって、的確な受験校の決定をすることができます。


ところで自分の偏差値を考えるとき、その偏差値がどういった集団の偏差値かということ抜きに、単純に学力を評価することはできません。

保護者の方で、勘違いされることが多いのは、一人の子どもに対して偏差値一つではなく、いくつも存在すると言うことです。

中学受験を考えてみると、首都圏模試と四谷の合不合では、同じ生徒が受けた場合、同じような出来具合だと仮定しても、偏差値は異なって出てきます。

たとえば、偏差値とは、首都圏模試で平均点を取った人が首都圏模試の偏差値50となり、同様に四谷の合不合で平均点を取った人が、合不合の偏差値50と算定されて出てきます。

けれども、首都圏模試で偏差値50の生徒と、合不合で偏差値50の生徒では、同じ学力があると判定することは誤りです。

すなわちそれぞれの模試の母集団である受験生の学力が、若干異なっているからです。


ですから、模試で出てきた偏差値は、その模試が作成した学校偏差値表を使って合格の可能性を判定する必要があります。

偏差値とは、あくまでもテストを受けた生徒たちを母集団として、その中で自分の成績がどの位の位置にあるかを出した指標の一つにすぎません。

単純に、テストの得点・得点と平均点の乖離・順位などから、自分の各教科の学力比較や、時系列的な学力の変動比較など、自分の成績の相対的位置を判定することは難しいことです。

そこで、統計学的な数値処理から導き出された偏差値の特性と限界を知りつつ、偏差値を上手に活用することにより、かなり正確に自分の成績を判定することは意味あることです。


次回のブログで、具体的にもう少し分かり易く、今度は偏差値の活用法を伝授しましょう。



ケヤキは黄色く色づくだけではなく、赤く色づいている枝もあります


【偏差値の算出法】 興味ある方のみお読み下さい。

偏差値を求める式は、

10(個人の得点-集団の平均値)/標準偏差+50

という式で表されます。


この式からも分かるとおり、個人の得点が平均値と同じ場合、分子は0となりますので、偏差値50となります。

なお、偏差値50点という言い方は、上の式からも正しくありません。


上の式で、分母に書かれている標準偏差は、一般の方には馴染みの薄い言葉です。

簡単に言うと、標準偏差とは得点のばらつきの程度を表す数値です。


標準偏差を求める式は、

〔Σ{(個人の得点-集団の平均値)の二乗}/集団の人数〕の開平(ルート)

ブログで計算式を上手く表記できませんので、ご了承下さい。


いわば、個人の得点と集団の平均値の差を偏差と言いますが、この偏差を二乗し、全員のこの数値の和を求め、それを集団の人数で割った数値の正の平方根を取ると、標準偏差を求めることができます。

すると、個人の得点と集団の平均値の差の偏差が大きくなると、すなわち得点のばらつきが大きい場合、この標準偏差の数値が大きくなります。

この標準偏差を、偏差値を求める式の分母に入れていることにより、得点のばらつきという条件を加味した数値として、偏差値が算出されるということになります。



興味ある方は、以下のブログも参考にご覧ください。


マッキーの受験アドバイス:偏差値について考える…その2:偏差値の活用法





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