中学を受験する場合、「算数の学習は最も大切な課題」であること、そしてまず受験生として取り組むべきは、「学校の授業を大切にすること」を、前回のこのテーマのブログでお話ししました。
マッキーの受験アドバイス:中学受験の算数・・・その1・学校の学習定着
無論、そうした学習だけで中学入試を突破できるわけではありません。
基礎学力の上に、体系的に応用力を付けていく努力が求められます。
その学習範囲は、学校の薄い教科書を遙かに超えて、深く考える力を試す内容を含んでいます。
特に上位校を受験する生徒は、習得した知識を元に、問題条件を丹念に読み取り、根気よく解いていく姿勢が求められます。
(ガマズミの花)
中学入試の算数では、多くの問題が文章題として出題されます。
そうした文章題は、その学校が求める学力を有する生徒を選び出すために、出題者がある意味「オタク」となって、丹念に編み出された産物です。
けっして、朝、寝ぼけ眼で入試問題を作ったわけではありません。
「オタク」という意味では、公立中高一貫校の入試問題が一番それに当てはまり、全体にストーリー性を持たせた、かなり凝った内容の文章と資料などから構成されています。
公立中高一貫校受検者は、あまり上手いとは言えないそうした長い文章を、出題者の意図を汲み取りながら根気よく読んでいく訓練が必要です。
公立中高一貫校の入試問題(正確には適性検査)でさえ、公立小学校の学習だけでは読みこなす事すらできないでしょう。
中学受験生は、そうした出題者の意図を読み取り、的確に解答するために、文章題を良く読み、そこで提示されている条件をミス無く拾い上げ、条件を整理して、その文章題の構造を理解する必要があります。
問題をしっかりと読まず、条件を整理することをしないで、やたらと式を書いては消し、消しては書くということを繰り返す生徒は、間違いなく算数の苦手な生徒であり、そうしたやり方では時間をかけても、なかなか算数の学力を上げることができない学習方法です。
日頃の算数の学習は、ただ単に解答を出すことに主眼を置かず、条件を整理し問題の構造を理解することに意識を傾注することが重要です。
(ハハコグサの花)
では、式をたてる以前の、「文章題の条件整理の方法」について、触れておきたいと思います。
まず、問題文を読み取り、国語で言う主題、すなわち「取り扱っている問題分野」と「出題者の解答要求内容」を確認します。
問題の分野が的はずれですと、条件の整理が的確にできません。
次に、解答を導き出すために、「与えられた条件を拾い上げ」、「問題分野・出題条件にあった条件の整理」をします。
単に条件を拾い上げ相互の関係が分かるように表記するだけではなく、情景図・模式図・線分図・数直線・面積図・樹形図・ベン図・てんびん図、それから表・グラフなど、その問題に合った「図や表やグラフ」を使って条件を整理し、文章題を解く手掛かりにします。
教科の指導者は、問題により的確な条件整理の方法を、子どもに理解できるように提示する必要がありますし、解答を導き出すためにも、式をたてる以前の条件整理法を、受験生は知っておく必要があります。
また、数値を使った式をたてる前に、文字の式で条件を整理する必要のある問題もあります。
このように算数の学習では、必ずノートを使い、問題の条件整理と立てた式、そして途中式をしっかりと書いて学習し、筆算や答だけのノートを作るような学習はしてはいけません。
(ソメイヨシノに小さなさくらんぼがいっぱい実っていました)
条件を整理するという行為は、新たなものを発見する行為ではありません。
かつてストックした知識・経験から、与えられた問題の類似性を見つけて、解法を類推するための手段として行う行為です。
したがって、平常の学習において答を出すことに主眼をおくのではなく、問題分野と問題構造を理解するための条件整理に注意を注ぎながら学習する必要があります。
「うちの子は、算数の難しい問題でも、ちょっとヒントを与えると、できちゃうんです!」
こうした話は、父母の皆さんからよく聞くことですが、実は「ヒント」が問題を解く「手掛かり」になっているわけで、解く手がかりを子ども自らが見つけ出すような条件整理について、指導することが望ましいと思います。
すぐにギブアップして「ヒント」を求める生徒がいますが、ヒントが与えられたら文章題解法が計算問題になってしまうといっても過言ではありません。
日頃算数を学習するときには、答を出すことだけに力点を置くのではなく、『問題構造を理解するんだ』といったスタンスが必要で、条件整理と途中式がしっかりと書き込まれたノートを作成するように家庭でも指導することが、算数の学力を伸ばす要件となっています。
次回のこのシリーズのブログでは、『中学受験の算数・・・その3・体系化された知識』と題して、綴ります。
(うっとうしい梅雨、一時の晴れ間が嬉しい)
(ガマズミ)
【挿入した植物画像の補足】
スイカズラ科ガマズミ属 (落葉低木)
「神ッ実」あるいは、「噛み酢実」の転化したものなどの説がある。「スミ」は染めが語源との説も。
5~6月に、本年枝の先から、散房花序を出し、白い小さな花を多数着ける。
実は、9~10月には赤くなる。まだ甘味が少なく、渋みと酸味が強い。
初冬には、甘くなり食べられる。
秋も深まると、実に遅れて葉も赤くなる。
(ハハコグサ)
ハハコグサ(母子草)とは、キク科ハハコグサ属の越年草である。
春の七草の1つ、「御形(オギョウあるいはゴギョウ)」でもあり、茎葉の若いものを食用にする。
人里の道端などに普通に見られ、冬の水田にもよく出現する。
冬は根出葉がややロゼットの状態で育ち、春になると茎を伸ばして花をつける。
成長した際の高さは10~30cmで葉と茎には白い綿毛を生やす。
花期は4~6月で、茎の先端に頭状花序の黄色の花を多数つける。