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皮膚病(尋常性乾癬、アトピー)専門神戸寶元堂薬局ブログ

尋常性乾癬、掌蹠膿疱症、アトピー治療専門の寶元堂薬局です。

不眠と漢方 ― 自然の力で眠りを整える方法とは?

2025-06-15 08:58:48 | 出張相談

不眠と漢方 ― 自然の力で眠りを整える方法とは?

「布団に入ってもなかなか眠れない」「夜中に何度も目が覚める」「眠ったはずなのに朝起きても疲れが取れない」
そんな不眠の悩みを抱えていませんか?現代社会ではストレスや生活習慣の乱れなどから、不眠に悩む人が増えています。睡眠薬に頼る前に、まずは漢方という自然なアプローチを試してみるのも一つの方法です。

この記事では、東洋医学の視点から不眠の原因と、それに合った漢方薬の選び方を解説します。


■ 不眠とは ― 漢方から見た「眠れない理由」

現代医学では、不眠は「寝つきが悪い」「途中で起きる」「早朝に目覚める」「眠りが浅い」など、さまざまなタイプに分類されます。漢方ではそれらの症状を「心身のバランスの乱れ」として捉え、全体の体質や生活習慣、心の状態を含めて原因を探ります。

◎ 漢方でよく見られる不眠のタイプ

① 心(しん)の乱れタイプ

「心」は精神活動を司るとされる臓腑で、興奮や不安が強いと「心火(しんか)」が高ぶり、不眠になります。動悸や焦燥感、夢を多く見るといった症状を伴うことが多いです。

② 肝(かん)の不調タイプ

「肝」は感情のコントロールや血の貯蔵を担っています。ストレスや怒りで「肝気」が乱れると、眠りが浅く、夢を見やすくなります。

③ 陰虚(いんきょ)タイプ

陰とは体を潤す・冷ます働きのこと。陰が不足すると、体内に熱がこもり、寝つきが悪くなったり、寝汗をかいたりします。更年期や体力低下、慢性疲労の方に多い傾向です。

④ 脾胃虚弱タイプ

脾(ひ)・胃(い)は消化吸収を担う臓器。疲れやすく、食後に眠くなるのに、夜は眠れないという方に多いです。脾の弱りから「心」への栄養が不足し、結果として不眠になることもあります。


■ 不眠に使われる代表的な漢方薬

不眠の原因が人それぞれであるように、漢方薬も体質に応じて使い分けられます。以下は、不眠に用いられる代表的な処方です。

● 酸棗仁湯(さんそうにんとう)

【適応】心身の疲れ・虚弱・動悸・多夢・寝つきの悪さ
特徴:心と肝を落ち着かせ、眠りを安定させる。体力が低下している人や年配の方にも使いやすい。

● 桂枝加竜骨牡蛎湯(けいしかりゅうこつぼれいとう)

【適応】神経の高ぶり・不安感・驚きやすい・寝つけない
特徴:心身を鎮静し、心の不安定さからくる不眠を改善。虚弱な男性や更年期の女性にも適応。

● 加味逍遙散(かみしょうようさん)

【適応】イライラ・生理不順・不眠・情緒不安定
特徴:ストレスによる「肝気のうっ滞」を解消。PMSや更年期障害に伴う不眠に向く。

● 天王補心丹(てんのうほしんたん)

【適応】陰虚・心火旺盛による不眠・口の渇き・動悸・不安
特徴:心と腎の陰を補って、心火を鎮める処方。更年期や慢性疲労の人に多い「陰虚火旺」タイプに。

● 柴胡加竜骨牡蛎湯(さいこかりゅうこつぼれいとう)

【適応】怒りっぽい・イライラ・緊張・動悸・不眠
特徴:「肝」の高ぶりを鎮め、情緒不安や不眠を改善。気が上に昇っているタイプに。


■ 不眠と生活習慣 ― 漢方的アプローチのポイント

漢方薬を使うだけでなく、生活の見直しも大切です。以下のようなポイントを意識すると、睡眠の質が向上しやすくなります。

  • 夜は陽のエネルギーを落ち着かせ、静かに過ごす
     → スマホやPCの使用を控え、ゆっくり入浴してリラックスを。

  • 夕食は軽めに、寝る2〜3時間前までに済ませる
     → 脾胃に負担をかけないことが、良質な眠りにつながります。

  • 朝日を浴びて体内時計を整える
     → 陰陽のリズムを整えることが、夜の睡眠にも影響します。

  • 過度な刺激物(カフェイン・アルコール)は控える
     → 「心」を乱し、眠りの質を低下させる原因になります。


■ まとめ:自分の体質に合った不眠ケアを

不眠は単なる「眠れない」だけではなく、心身のバランスの乱れから起こる「体からのサイン」です。
漢方ではそのサインを丁寧に読み取り、根本から改善していくことを目指します。

市販薬や睡眠導入剤に頼る前に、自分の体質を知り、無理のない自然な方法で眠りを整えてみませんか?気になる症状がある方は、ぜひ専門家に相談し、自分に合った処方を見つけてください。