梅雨の胃腸トラブルに!六君子湯と平胃散の違いとは?
~もたれ・下痢・食欲不振…“湿”が引き起こす消化器不調と漢方薬の使い分け~
ジメジメと湿気が多く、気圧の変化も激しい梅雨の時期。
「なんとなく食欲がない」「胃が重たい」「下痢しやすい」など、消化器のトラブルが多くなる季節です。
これらの不調は、漢方でいう「湿邪(しつじゃ)」の影響であることが多く、体内の水分代謝や消化機能の低下が背景にあります。今回は、そんな梅雨時の胃腸トラブルに役立つ漢方薬「六君子湯(りっくんしとう)」と「平胃散(へいいさん)」の違いと使い方をご紹介します。
■ 梅雨の体調不良、その原因は「湿邪」
漢方では、外部から侵入して体に影響を与えるものを「外邪(がいじゃ)」と呼び、梅雨に特に強まるのが「湿邪」です。
湿邪の特徴は:
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重たく、停滞しやすい
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水分代謝を妨げる
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胃腸(脾)を弱らせる
そのため、湿邪が体内に侵入すると、「胃腸のはたらき=脾胃の運化機能」が低下しやすくなります。これが、梅雨に特有の「もたれ」「下痢」「食欲不振」などを引き起こすのです。
■ 梅雨に多い胃腸症状
● 胃の重だるさ・張り
胃が水っぽくむくみ、消化が停滞。食後に重くなりやすい。
● 下痢・軟便
余分な水分で腸が冷やされ、消化吸収がうまくいかず便がゆるくなる。
● 食欲不振
胃腸の働きが落ちて、食欲が自然と湧かない。食べた後に膨満感を感じやすい。
こうした症状があると、栄養が吸収されにくくなり、倦怠感や気分の落ち込み、集中力の低下にもつながります。
■ こうした症状に効く漢方薬2選
◎ 六君子湯(りっくんしとう)
→ 胃腸の虚弱+食欲不振・胃もたれに
六君子湯は、体質的に胃腸が弱い人、疲れやすい人に向いた処方です。消化を助けるだけでなく、体力や気を補ってくれるのが大きな特徴です。
▼ 主な症状:
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食欲がない、胃がつかえる
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疲れやすい、顔色が悪い
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食後に眠くなる、軽いめまいがある
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舌の苔が白く湿っている
▼ 体質のイメージ:
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胃腸がもともと弱く、長く続く不調
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食べる量が少なく、元気が出ない
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神経性胃炎や加齢による胃の衰えにも適応
▼ 処方の特徴:
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「四君子湯(人参・白朮・茯苓・甘草)」で気を補い
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「半夏・陳皮」で胃内の水分・気の滞りをさばく
▶ 六君子湯は、**“弱った胃を補う”**イメージ。体力が低下している方の胃もたれ・消化不良に◎。
◎ 平胃散(へいいさん)
→ 飲食の不摂生や一時的な胃の停滞に
平胃散は、「飲みすぎ食べすぎ」「湿気の多い日の胃の不快感」など、一時的に“胃がもたれた”状態に向いています。
▼ 主な症状:
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胃の張りやゲップが出る
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食べた後に膨らんだような感じ
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胃がゴロゴロ鳴る、便がゆるい
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舌の苔が厚く、べたついている
▼ 体質のイメージ:
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食べ過ぎや脂っこいものが多い
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一時的な湿邪の侵入
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胃に“水”や“食べ物”がたまって重くなっている
▼ 処方の特徴:
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蒼朮・厚朴・陳皮・生姜などで“湿”を取り去る
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消化を促進して、胃の膨満感や停滞を解消
▶ 平胃散は、**“たまった湿をさばいて胃腸をスッキリさせる”**イメージ。梅雨時の急性トラブルに適しています。
■ 六君子湯と平胃散、どう使い分ける?
比較項目 | 六君子湯 | 平胃散 |
---|---|---|
タイプ | 胃腸虚弱・体力低下 | 湿・食滞による一時的な胃の不快感 |
主な目的 | 胃腸を補う(補気) | 胃内の湿を除く(化湿) |
適応体質 | 慢性的に胃が弱い人 | 一時的に胃が重い人 |
症状 | 食欲不振、胃もたれ、疲れ | 胃の張り、ゲップ、軟便 |
使うシーン | 長期的な体質改善 | 急性の不調や食べ過ぎ |
✅ ポイント:
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胃腸そのものが弱っている人 → 六君子湯
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湿や食べ過ぎが原因の胃もたれ → 平胃散
体質・症状に応じて、正しく使い分けることが大切です。
■ 生活でできる湿対策の養生法
漢方薬とともに、日常生活でも“胃腸をいたわる”ことが重要です。
● 食事の工夫
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冷たいものを避け、温かいスープやお粥を中心に
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山芋・しょうが・はと麦など、脾胃を助ける食材を取り入れる
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甘いもの・脂っこいものを控えめに
● 湿を逃がす生活習慣
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室内の除湿・換気を心がける
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朝の軽いストレッチや散歩で気血を巡らせる
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湯船に浸かって体を内側から温める
■ まとめ:梅雨の不調は“胃腸から”整える
梅雨の「食欲不振」「胃もたれ」「下痢」などの不調は、単なる天候のせいだけではありません。体内にたまった“湿邪”が、消化機能を乱しているサインです。
六君子湯は“弱った胃腸を支える”、平胃散は“一時的な停滞をスッキリさせる”。
それぞれの特徴を理解し、自分の体調に合った漢方薬を選びましょう。
不調が続く場合は、体質や症状を専門家に相談して、より適した処方を選ぶことが大切です。梅雨の湿気に負けず、胃腸を整えて元気に乗り切りましょう。
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