スイカの種は実は薬!「西瓜仁」の秘密
夏の風物詩といえば、真っ赤に熟れたスイカ。冷やしたスイカを頬張ると、火照った体が一気にクールダウンしますよね。日本では「スイカ=果肉を食べるもの」というイメージが強いですが、実はその“種”にも古くから薬効があることをご存知でしょうか?漢方の世界ではスイカの種を**「西瓜仁(せいかにん)」**と呼び、利尿や解毒に働く生薬として珍重されてきました。普段は捨ててしまう種が、実は夏の不調に役立つ“宝物”だったのです。
◆西瓜仁とは?
「西瓜仁」は文字通り、西瓜(スイカ)の仁(種子)を指します。漢方や中医学の古典にはすでに登場しており、特に清熱利尿(体の余分な熱と水をさばく)や解毒作用を持つと記されています。
夏の暑さで体にこもった「熱」、そして湿気や水分の摂りすぎで生じる「水毒」。これらを取り除くのに、西瓜仁はとても優れた働きをするのです。
◆西瓜仁の効能
中医学的にまとめると、西瓜仁には次のような作用があります。
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利尿作用
体内の余分な水分を排出し、むくみを改善します。特に夏は冷たい飲み物を取りすぎて体が「水滞」しやすい季節。スイカの果肉自体も利尿作用がありますが、種にはさらに強い力が秘められています。 -
清熱解毒作用
体にこもった熱を冷まし、炎症やのぼせを鎮めます。例えば、暑気あたりや夏バテによる発熱感、イライラなどにも応用されます。 -
血の巡りを良くする
西瓜仁には油分が含まれており、血流をサラサラにする働きもあると考えられています。中国では心血管系のトラブル予防にも利用されることがあります。
◆身近な利用法
「でも、スイカの種なんて硬くて食べられないのでは?」と思う方も多いでしょう。確かにそのままでは消化に悪いので、薬用に使う場合は乾燥させてから煎じるのが一般的です。
例えば――
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種を天日干しでよく乾燥させる
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殻を軽く割って中身を取り出す
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これを煎じてお茶のように飲む
すると、むくみや口の渇き、夏のほてりを和らげる“漢方茶”になるのです。
また、民間では炒って食べる方法もあり、ナッツのような香ばしい味わいが楽しめます。これは栄養補給や便通改善に役立ちます。
◆夏の体にぴったりな理由
夏は「暑さ」と「湿気」という二重のストレスが体にかかります。東洋医学では、暑さで消耗するものを「気陰両虚(きいんりょうきょ)」、湿気で停滞するものを「水湿(すいしつ)」と呼びます。
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暑さで“体液(津液)”が不足 → のどの渇き、だるさ、熱感
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湿気で“水分代謝”が停滞 → むくみ、食欲不振、下痢
この両方に対応できるのが、実はスイカであり、さらにその種=西瓜仁なのです。まさに「果肉も種も丸ごと薬」といえる食材ですね。
◆西瓜仁と似た生薬たち
西瓜仁は単独でも使われますが、他の利尿・清熱系の生薬と組み合わせることも多いです。
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冬瓜仁(とうがにん) … 冬瓜の種。やはり利尿・清熱作用がある。
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薏苡仁(よくいにん/はと麦) … むくみ取りの代表格。肌荒れにもよい。
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赤小豆(あずき) … 利尿・解毒に優れ、夏の薬膳に欠かせない。
これらと合わせることで、夏の体調不良をより効果的に整えることができます。
◆現代的な見方
栄養学的にも、西瓜仁にはカリウムや不飽和脂肪酸が豊富に含まれています。カリウムは余分な塩分を排出してむくみを改善、不飽和脂肪酸は血流改善やコレステロール低下に役立つとされています。
つまり、昔からの漢方的効能だけでなく、現代科学的にも「体に良い」ことが裏づけされているのです。
スイカを食べるとき、多くの人が種を「ジャマなもの」「吐き出すもの」と思っています。しかし漢方的な視点では、種こそが夏に必要な薬効を持つ“お宝”なのです。
今年の夏は、ぜひ「西瓜仁」を意識してみてください。食べ終わったスイカの種をちょっと集めて乾燥させるだけで、むくみや夏バテに効く天然の漢方茶に早変わりします。
「果肉で涼を取り、種で体を整える」――。スイカはまさに、丸ごと人を元気にする自然からの贈り物といえるでしょう。
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