天網恢恢疎にして漏らさず

映画レビューを中心に(基本ネタバレバレです)スキーやグルメ他、日々どうでもいいような事をダラダラと綴っています。

【映画2024】「52ヘルツのクジラたち」@14作目

2024年03月02日 | 映画感想
「52ヘルツのクジラたち」

町田そのこ氏著の同名タイトル小説の実写映画化。原作小説は2021年の本屋大賞を受賞されているそうです。すいませんまたしても原作小説未読です💦
コレ何度か書いてますが…自分、「本屋大賞」と「このミステリーがすごい」と「山本周五郎賞」の3つにはかなり信頼を置いています。この3賞に選ばれた作品って大抵読み応えあって面白いので本を買う時の参考にするといいですヨ♪…って、映画から話ズレてるでw

あらすじ
東京から海辺の町の一軒家へ越した貴瑚(杉咲花)は、家族からの虐待を受けて声を出せなくなった、ムシ(桑名桃李)と呼ばれる少年と出会う。自身も家族に虐待されていた過去を持つ貴瑚は、彼を放っておくことができずに一緒に暮らし始める。貴瑚と平穏な日々を送るうちに、夢も未来もなかったムシにある願いが芽生えていく。それをかなえようと動き出した貴瑚は、かつて虐待を受けていた自分が発していた、声なきSOSを察知して救い出してくれた安吾(志尊淳)との日々を思い出す。(Yahoo!検索情報から丸パク)

虐待児(毒親)問題、ヤングケアラー、LGBTQ、とかなり欲張った「社会問題てんこ盛りヒューマンドラマ」
正直言うと、この手のネタは苦手です。て言うか予告編の雰囲気からして「可哀想なお話ですからねー皆さん思い存分涙して下さいネー」っていうのがプンプン匂い立つ感じが逆に鼻白むというかね…すいませんね性格ひねくれ曲がってるんで(滝汗

で、タイトルの「52ヘルツのクジラ」について…劇中に説明がありますが、52ヘルツという高音域の鳴き声しか出ないクジラが居て、そのクジラが発する周波数だと仲間のクジラには聞き取れないのでいくら謳っても鳴いても仲間の誰の耳にも声が届かない、独りぼっちで生きていかなければならない悲しいクジラの事だそうだ。
もうこの説明で想像付くでしょうけど、大海原で独りぼっちで声を上げている52ヘルツのクジラを→登場人物達になぞらえている、という事です

とりあえず…コレはネタバレになっちゃうのかな?(神経質な方は先を読まないで、つーかこのレビューわざわざ読んでる人ってネタバレ上等なの知ってるわなw)
映画冒頭の雨のシーンで貴瑚の隣にフワッとアンちゃんが座ったところで「あ、この人…この先過去シーンに戻って、んで最終的にそーなる人な訳ね」っていきなりオチが見えた💦
て言うかこのレビュー書こうと思って今公式サイト見たら「今はもう会えない安吾とのかけがえのない日々に想いを馳せ 」ってイントロダクションに書いてあるし、CASTの志尊淳君の役ドコロの説明として「トランスジェンダー男性の塾講師」て書いてあるし。基本公式からしてネタバレバレ上等なんですなw 

まーそんな訳で…本作を観て涙が止まらない人達というのは、きっと主人公の貴瑚やトランスジェンダーのアンちゃんや自分の事を「52」と呼んで欲しいという発語が出来ない少年に同情や感情移入しているのだろうと思うのですが、自分はこの話を見ていて貴瑚に旦那の介護押し付けておいて気まぐれに殴りつけては抱きしめて謝るのを繰り返す猛毒親だったり、完全ネグレストで児童虐待しまくる元アイドル崩れの股ユル母親だったり、彼女を自分の所有物みたいに扱って思い通りにならないと平気で殴りつけてくるDVクソ野郎だったりの姿に腹が立って腹が立って仕方が無かった。コイツらがまとめて世の中から消えてくれれば誰も苦しまずに済むのに、としか思えなかった。

こういう書き方はどうかと思うんだけど…自分、我ながら恵まれた育ちなんだよね。夫婦仲の良い両親に大切に育てられて家庭環境もすこぶる良く、金銭的に困った事も食べる物に困った事もなく、学校ではのびのびと学生生活を謳歌し大したイジメにも遭う事もなく(思春期の中学時代には多少人間関係に悩んだりした事もあったけど、不登校になるとか自殺考えるみたいなレベルとは程遠かったし)、自分のジェンダーに疑問も不満も感じた事がないし何なら「女に生まれて良かったー♪」まで思ってるし。
そんな人生を歩んできたこのBBAが今になって本作を観て涙するのはちょーっと難しいんですわね(苦笑)

ただね、こういう問題を今もまだリアルに抱えて生きている人達がこの世界の何処かに確実に存在している、という事は判ってる。
そういう人達にどういう手を差し伸べるのが正しいのか、自分には分からないし同じ手段で手を差し伸べても全員の心や身体が救済される訳でもないのだろうとも思っている。個々で皆解決法も救済法も違うのだろう事は想像に難くないけれど、正解のないこの問題にどう向き合っていけばいいのかすらも?正直分からないというのが実状なんですよね。

でも、先ずは「知ること」は大切よね。そして「耳を傾けていくこと」も大切よね。
それから…今この映画の登場人物と同じような悩みを抱えている人が本作を観る事で、もしかしたら自分で解決策を見付けられる人もいるかもしれないよね。それも凄く大切な事だと思うね、いやむしろそういう人が1人でも多く現われて救済される人が生まれれば、きっとこの映画を作った人達全員が報われるよね。

なんかーこういうレビュー書いちゃうと本作が凄く説教臭いみたいに誤解されそうなんだけど…ドラマとして秀逸ですので(杉咲花ちゃんの演技は白眉です)是非劇場へドゾー✨
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【映画2024】「ARGYLLE/アーガイル」@13作目

2024年03月01日 | 映画感想
「ARGYLLE/アーガイル」

キングスマンシリーズを手掛けるマシュー・ヴォーン監督が放つ新星スパイアクションシリーズ!←シリーズ化するという噂アリ
それにしても…サミュエル(サミュエル・L・ジャクソン)お前節操ないな。キングスマンにも出てたやないか!マシュー・ヴォーン監督もよっぽどサミュエルが好きなのなw

あらすじ
有名作家のエリー・コンウェイ(ブライス・ダラス・ハワード)は、すご腕エージェントのアーガイル(ヘンリー・カヴィル)が活躍する人気スパイ小説「アーガイル」シリーズの新作執筆に苦慮していた。あるとき愛猫のアルフィーを連れて列車で移動中、突如見知らぬ男たちに襲われ、同じ車両に乗り合わせていたエイダンと名乗るスパイ(サム・ロックウェル)に助けられる。その後も命を狙われ逃げ惑う中、エリーは自分が書いた小説が本物のスパイ組織の行動と一致していたことを知る。(Yahoo!検索情報から丸パク)

先ずさ、ブライス・ダラス・ハワードめっっっちゃ太ったよね!?
なに?ナニ?コレは役柄的に「太って愚鈍に見える容貌」が求められて敢えて体重増やしたん?それともナチュラルにデブっただけ?どっちなん???
まあどっちにしろ…例え役柄的にムリヤリ体重増やしたんだとしても…増やし過ぎちゃう?(滝汗)、サム・ロックウェルにリフトやらせるのほぼ拷問の域だろありゃーw

まあいいや。とにかく楽しい英国スパイアクションです。
なんとなく既視感のある内容なんだけど、まあ色んな映画のタイトルが頭をよぎる人は多そうな…でも脚本なかなか練られていていい感じ。そもそも自分が書いた小説と全く同じ展開になっている実際のスパイ組織がある、という設定段階で「荒唐無稽過ぎんだろw」と思う訳ですが、コレがちゃんと理由があって「たまたま同じ展開になっている」というのがミソ。
敵と味方がグルグルと入れ替わって(主人公のエリーの心の中でね)何が真実で何が嘘なのか判らなくて混乱しそうなんですが、話が進んでくるとちゃんと「どうしてこうなったのか」がスッキリと判るように出来ていますのでご安心を。この一見分かり難そうなのにすんなり話が腹に落ちる、というのもこの話がほとんどエリー視点で描かれていて「エリーが体験する事=観客が体験する事」になっているからだと思うんですよ。脚本の構成がとてもいいのだろうと思います。

サム・ロックウェル演じる「リアルスパイのエイダン」がバトってるシーンで度々エリーの視界が自分の書いている小説のキャラクター「アーガイル(ヘンリー・カヴィル)」と入れ替わっているのも面白い。彼女の中でエイダンとアーガイルが常に同等の動きをしていて、そして時々エリーはアーガイルと心の中で会話もする。ちょっとイマジナリーフレンド的な側面もあるんだけど、この微妙な心の乖離部分も後の展開で「なるほど、だからキャラが被って見えてたのね」みたいな…あんまり書くとネタバレになってしまうのでこの辺で💦

あと、シリアスとコメディのバランスが良くて(キングスマンに比べるとコメディ比率かなり高めです)、アクションモノに興味が無い女子供連れてファミリーで観に行っても、映画慣れしてない彼女を連れてのデートムービーにもオススメ出来る手合いだと思います。キングスマンシリーズと比べてもビジュアルで怖いとかエグいという事もないので安心ですし、誰もが萌え萌え確実✨猫ちゃんキャラもいい感じに活躍してくれます♪
個人的にスケートアクションはやり過ぎだろーwと思ったけどあの絵ヅラは面白いから許す!そしてブライス・ダラス・ハワードがあの体形なのに意外に動けていて、それもウケるw

と、まあこんな感じで…007みたいなシリアスごり押し(でもダニエル・クレイグカッコイイから好き♪)でもなく、お気楽に楽しめるスパイアクション物。
でもどうやら映画ラストのインタビューシーンは意味深な感じだったし…最後のスタッフロールの途中で挿入されたあのシーンは?もしかしてキングスマンとコラボる?…等々、まだ判らない部分沢山ありますね。そこも含めて本作は「新シリーズ・1作目」のつもりで楽しむって事で!
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