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ジョージ・マッケンジー「激」デビュー!!!

2006年04月04日 | Baseball/MLB

(喜びとほろ苦さが相半ばするデビューとなった城島健司)

試合後、城島健司の胸中にはさまざまな思いが去来していたのではないだろうか。

今日はスカパー!MLBライブの今季公式戦初登板となる「マリナーズvs.エンゼルス」を近藤祐司さんとの「Roll Model Brothers」(笑)でお送りした。このコンビ、一昨年はイチローの最多安打記録に立ち会えるチャンスがありながら、ともに日ごろの行ないがよろしくなかったのが見事にたたって(笑)、タイ記録を見届けるチャンスにも恵まれなかった「極道コンビ」だったのだが、その後品行を改め、今日は素晴らしい場面に立ち会うことができた。

5回ウラ、昨年のサイ・ヤング賞投手バートロ・コロンのストレートを叩いた城島の打球は、右中間スタンドに先制のソロアーチとなって弾丸ライナーで飛び込んだ。その直前、「メジャー初対決がコロンとは試練ですね」とコメントした矢先の劇的なデビュー弾だった。彼がダッグアウトに迎え入れられた瞬間、この前のタンパ取材でお世話になったフォトグラファーの田口有史さんの姿も見ることができた。

城島にとっては、ランナー一人を置いた1回表、三番のギャレット・アンダーソンのウラをかいて見事に三振に斬って取ったあと、「常識外の強打者」ブラディミール・ゲレーロに、アウトサイド低めの変化球をジェイミー・モイヤーに投げさせながら、左中間に運ばれてしまった悔しい思いもあったはずだ。普通、たいていの打者、あの最後の4割打者テッド・ウィリアムズでさえもっとも苦手にしていた外角低めの球も、ゲレーロは.389の驚異的な打率を残している。というよりも、彼はストライクゾーンを9つのコースに分割した場合、3割を割っているのが外角高目だけ。そこも.273のアベレージを残しているので、そもそも「苦手なコース」そのものが存在しない打者なのだ。構えているときにはバットを頭上でぐるぐる回し、スイングも一見不細工そのものなのだが、スローモーションで見ると、バックスイングからインパクトまでの距離が短く、ボールをバットに乗せたフォロースルーが大きい、メジャーの優れた強打者に共通する特徴を持っている。体が大きく、リーチも長いが、腕をたたんで内角球をさばくのもうまいので、内角低めでも.438の高打率を残している。城島にとってはこのゲレーロのバッティングは高い授業料であったが、いい勉強になったはずだ。

守りでさすがだったのは、4回表の場面だった。一死ランナー二塁から、コッチマンがセンター前ヒットを放ち、センターのリードが間に合わない本塁に投げるミスを犯したのだが、城島はすかさず前進してこの送球を捕ると、二塁に転送して打者走者のコッチマンをアウトにしてエンゼルスの追加点を防いだ。このプレーは現地のコメンテーターも絶賛していた。いくら強肩で捕球技術が優れていても、あまり強くないチームの捕手は、こうしたピンチにおける瞬時の判断ができない例も多く見受けられるが、さすがに城島はパの優勝コンテンダー・ホークスの正捕手だっただけのことはある。
言葉の問題がまだ克服されていない場面は何度か見られたが、イバン・ロドリゲスやベニト・サンティアーゴのデビュー当時に比べれば、そう大きなハンディキャップではないはずだ。ロドリゲスなど、10代の若さでレンジャーズでデビューした当時は、ノーラン・ライアンとなかなかバッテリーを組んでもらえなかったのだから。城島自身、レギュラーになった当時、工藤公康に怒られ、怒鳴られながらも必死にリードを学んでいた当時に比べれば、現在の苦労など物の種ではないだろう。

9回表、フィギンズに粘られて四球を与えてエンゼルスに決勝点を取られるきっかけを与えてしまったが、それでもエンゼルスに比べれば二枚も三枚も劣るはずのマリナーズ・ブルペンに8回まで互角のピッチングをさせたのだから、やはり城島の能力は非凡である。現役時代ドジャースの正捕手として活躍したエンゼルスのマイク・ソーシア監督も城島のリードをじっと観察していたようだ。現地に行っている日本の記者は、試合後ソーシアのところへ取材に行ったのだろうか? ゾロゾロとあれだけの人数で押しかけていて、誰もソーシアに城島の事を聞いていなかったとしたら、敵の情報収集能力に欠けていた第二次大戦中の日本軍に匹敵する愚かさと言うほかない。城島についていい記事を書きたかったら、取材対象をできるだけ広げるということがなぜできないのだろうか?

試合中、同時に生中継をしていた某国営放送で解説を務める長谷川滋利がこっちの画面に映ってしまい、「この局は商売敵なので見ないで下さいよ」と視聴者に呼びかけたり(笑)、9回に代打で登場したペタジーニがKロッドのカットボールにドンピシャでタイミングが合ってホームランを放つなど、見どころの多い試合だった。
今日はわれわれの前に牛込惟浩さん上野晃さんが担当していたフィリーズvs.カージナルスでもアルバート・プホルスが2発を放ったり、ジミー・ロリンズが最終打席で連続試合安打を継続し、11時から神尾義弘さん松林善一さんが担当したアスレチックスvs.ヤンキースでも松井秀喜が本塁打を含む4安打の大当たりだった。WBC終了後も週刊誌やネットファシストどもにいわれなき誹謗中傷をされているだけに、4月の月間MVPぐらい取って見返してほしいものだ。

余談だが、今季から番組の冒頭で使われる私の顔写真、「クレヨンしんちゃん」みたいでとてもショックを受けました! 夏までに大ダイエットを敢行し、新しい写真に差し替えてもらえるよう頑張ります!(笑)。

※近藤祐司さん公式サイトの「実況後記」もぜひご覧下さい。
http://www.ugk-sports.com/post114.htm

 



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3 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
(途中から)拝見シマシタ (jeter)
2006-04-05 10:17:36
さすがに笑点のテーマじゃなかったみたい

ですね(笑)
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名監督の采配術 (井手らっきょ)
2006-04-05 16:24:09
草野球雑誌「PLAY BALL」の名監督の采配術、読ませていただきました。素晴しい内容に読みふけってしまいました。思わず「ほう~」と感嘆の溜息が漏れる文面でした!!



昔の名監督、名前だけは聞いたことがあったんですがどんな監督だったという具体的な内容に感動しました。勉強になりました。
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ご視聴 ご愛読多謝! (Ryo Ueda)
2006-04-06 11:15:54
jeterさま

とりあえず、城島には50打点突破を8月までのノルマにしておこうかと思っています。



井手らっきょさま

過分なお褒めのお言葉、恐縮しております。Blogでは毎日ご丁寧な対応、本当に頭が下がります。
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