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夕方5・6時台民放「ワイドショー」ニュースの怪

2006年02月02日 | えとせとら
(メディアの社会悪に甘い報道姿勢が、姉歯元建築士のような不逞の輩を跋扈される原因にもなっている)

現在、民放キー局(東京)の日本テレビ、TBS、フジテレビ、テレビ朝日の4局で夕方の5・6時台に放送されているニュースは、報道番組だと思って見るから腹が立つのかもしれない。あれは、午前・午後のワイドショー番組がオウム報道など一連の不祥事で撤退・縮小した代わりに、夕方のニュースショーにそのエッセンスが移植されたものなのだ。

しかしだ、やはり「ニュース」の看板を掲げているからには、ある程度の矜持は保ってもらわないと困る。
たとえばTBSの「イブニング・ファイブ」は、今日の特集で頻発する「チワワの盗難」を取り上げていた。私もペットを飼っているから、家族同然に過ごしていた愛犬を何者かに盗まれた無念さやショックの大きさは理解できる。心からお気の毒だと思う。犯人の行為はまったくもって許しがたい。しかし……である。たとえば振り込め詐欺や偽造カード事件、リフォーム詐欺などでは、それこそ家財産を失うような被害を蒙っている人たちがたくさんいるのである。米国産牛肉の問題、耐震偽装建築の問題、学校や職場でのいじめなど、すべて生命や財産に関わる大問題である。それに比べれば、犬を盗まれても、少なくとも金銭的には生活を破壊されるまでのダメージは受けないだろう。報道するなとはいわないが、それよりも優先して時間を割く問題が山積しているはずだ。
この番組は1月30日にも、姉歯元建築士の件でクローズアップされた「一級建築士の自宅」に目をつけ、耐震偽装問題に名を借りて、「渡辺篤史の建もの探訪」のごとき特集を組んでいた。一応登場した建築士に耐震偽装を見抜く方法などをしゃべらせてはいたものの、内容は完全な「豪邸紹介」で、もし私が耐震偽装マンションの住民だったならば、TBSに間違いなく怒鳴り込んでいたであろうほどの不真面目さだった。

彼らにとって、もはや弱者の痛みや怒りを共有するというジャーナリストとしての精神は、「視聴率」という怪物の前には不必要なものなのだろう。それにしてもだ、こうした企画を平気で出すスタッフ、それを無神経に通してしまうプロデューサー、それに対して何のクレームもつけない経営陣など、もはや地上波の民放テレビというのは完全な「機能不全」を起こしているとしか言いようがない。昨年の総選挙報道における「小泉劇場」化などは、その典型といえるだろう。
彼らは申し訳程度に振り込め詐欺などを取り上げてはいるが、記者たちの追及の甘いことったらない。さぞ、悪人どもはそのナヨナヨぶりをせせら笑っていることだろう。
第一線のメディアがこのざまである。悪徳政治家や犯罪者たちには、実に住みよい世の中になったものだ


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