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中村紀洋、どこへ行く?

2005年04月04日 | Baseball/MLB

 マイナー選手契約でドジャースのキャンプに参加していた中村紀洋が、開幕の25人枠から外れた。オープン戦で3割近い打率を残し、3本塁打を放っていいただけに、本人もファーム落ちには納得が行かないようで、他球団へのトレードや日本球界復帰も視野に入れているようだ。

 

 3月22日、ドジャース対レッドソックスのオープン戦をスカパー!で解説したとき彼の打席を見たが、ランナー一、三塁の場面で一塁方向へのゴロ。強い当たりで、一塁走者けん制のために一塁手がベース寄りに守備位置を変えていなければ、ライト線への二塁打だっただろう。もちろん三塁走者は生還して打点がついたのだが、実はこの右方向への打球を見て、開幕メジャーは難しいと考えていた。
 今季、ベルトレイ、グリーン、フィンリーといった大砲がFAやトレードで抜けたドジャースにとって、打線に必要なのはやはり大砲だ。前述の状況でトレーシー監督が望んだのは、結果が併殺になったとしても、プルヒッティングだったと思う。つまり、ベンチのニーズに中村は十分に応えられなかったのだ。


 

 メジャーでの移籍先は、なかなか探すのが難しいだろう。5年ぐらい前の中村なら、ショートも守れたので、正遊撃手のリースが故障したマリナーズへの移籍も考えられたが、現在の足の状態ではショートは難しい。ただ、エドガー・マルティネスの後釜のDHとして考える余地はあるが。
 日本球界復帰は絶対にお勧めしない。このまま撤退したら、得るものは何もないからだ。もともと日本での高額年俸を捨てて、メジャー最低年俸覚悟での渡米だったはずだ。プライドは分かるが、たとえマイナーからのスタートとなっても、チャンスを待つのが賢明だろう。


 

 ヤンキースでデビューしたばかりのミッキー・マントルが、ジョー・ディマジオの後継者としてのプレッシャーに負けて、メジャー1年目のシーズン途中、マイナー落ちしたことがある。その最初の試合で俊足を生かしてバンと安打を決めた時、当時の監督だったジョージ・セルカークは、「お前に求められているのはバントヒットではなくホームランだ!」と厳しく叱責した。先に指摘した右方向への当たりも、おそらく中村がマイナー落ちした原因のひとつであろう。「実力の世界ではないのか」と、監督やGMに不満をぶつけたようだが、「結果オーライ」では、メジャーでは生き残れないも事実なのだ。
 もう一度、持ち前のフルスイングで、メジャーへの再挑戦を期待したい。



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