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ヤンキースの危機を救う特効薬は「遊撃・Aロッド」だ!

2006年06月05日 | Baseball/MLB

(Aロッドを遊撃に「一時復帰」させることは、危機に瀕したヤンキースの「特効薬」になるかもしれない)

そもそも、試合開始直前になって、アストロズの先発予定投手だったロイ・オズワルトが不調を訴えて、明日先発の予定だった23歳のフェルナンド・ニエベ(ベネズエラ出身)が緊急登板したときから、「波乱の一日」は始まっていたのである。

スカパー!MLBライブ「アストロズvs.レッズ」は、今季初めてとなるAki猪瀬さんとの顔合わせ。レッズの先発は、今季2勝をマークしているドミニカ共和国出身のエリサルド・ラミレスで、90マイル台中盤をコンスタントに記録する速球と、鋭く変化するスライダーなどを巧みなコントロールで投げ分けるレッズ投手陣期待の星である。1回を三者凡退に討ち取ったあと、2回の裏、先頭打者のモーガン・エンズバーグに打球の行方を中継担当局のどのカメラもとらえられなかったほどの超特大の一発を浴びたものの、レッズ傘下のマイナーで、かつてのレッズのエースだったマリオ・ソトから徹底的な英才教育を受けただけあって、ただ単純にストライクを取りに行くだけでなく、ときには90マイル台後半の速球を打者のインサイドぎりぎりに投げ込んだり、打者の打ち気をはずすためにわざとボールを投げることのできる「コマンド」を身につけている。ソト、そして90年代のエースだったホセ・リホに続いて、レッズはどうやらまたカリビアンのエース候補を手に入れたようだ。

この試合でもっともスタンドを沸かせたのは、5回裏一死満塁の場面で、「Mr.Astro」クレイグ・ビジオが左中間に放った弾丸ライナーを、レッズのケン・グリフィーJr.が見事なダイビングキャッチで捕球して犠牲フライの1失点にとどめたスーパーファインプレイだった。間違いなくESPN「スポーツセンター」のトップ10プレイの1位候補。さすがは10回のゴールドグラブ受賞を誇る名センター。最近は36歳の年齢やケガが多いこともあって、一塁への転向もささやかれているが、やはりジュニアにはこのポジションが一番似合う。ファーストどころか、ライトやレフトを守る彼の姿も想像したくはない。ビジオの打球をジュニアが捕る……まさに将来のホールオフフェイマー二人が演じたこのシーンは、放送でもコメントしたが、ボールとグラブを今すぐにクーパースタウンの野球殿堂博物館に送ってもいいほどで、ヒューストンのファンも地元の大スター・ビジオの打球を捕られたにもかかわらず(まあ、犠打で同点に追いついたという「余裕」もあったのだろうが)グリフィーの美技にスタンディングオベーションを送っていた光景は見ていて実に気分が良かった。見習えよ、どこかの国のプロ野球の一部私設応援団とやら!

しかしである、わき腹を痛め、復帰までおよそ一ヵ月半を要するアルバート・プホルス(カージナルス)に続いて、放送中にはデレク・ジーター(ヤンキース)が手に死球を受けて途中退場したという衝撃的なニュースが飛び込んできた。放送中も紹介したのだが、今日の試合が始まる時点で、プホルスを含め、昨年両リーグで150試合以上に出場した野手60人のうち、今季実に11人がDL入りを経験する非常事態だったのだが、今日、そのリストにジーター(159試合)も加わって12人になってしまった。どうやら2003年以来の長期欠場も覚悟しなければならないほどケガは重いようで、ヤンキースはいよいよ苦境に追い込まれている。

松井秀喜デレック・リープホルスジーター……いずれも、球場にいけばラインナップに名前を連ねているのが「当たり前」だった選手たちが、すでに夏休みに突入したアメリカで、当分その姿を見ることができないというのは、実に残念な光景である。彼らは単に打線や守備陣の中心というだけでなく、堂々たるチームリーダーとして、監督の信頼も厚い選手ばかりだ。彼らが何年も年間150試合以上の出場を続けてきたのは、監督がいつも必要としている選手だったからである。

もしジーターが長期欠場ということになれば、今季メッツから復帰したミゲール・カイロが代役を務めることになりそうだが、私はこの際、思い切ってAロッドことアレックス・ロドリゲスを古巣のショートストップに復帰させることを提案したい。彼は間違いなく球史に残る偉大な選手だが、マリナーズ時代はグリフィーの、そしてヤンキースではジーターの「弟分」的立場におかれており、またレンジャーズではチーム自体が弱く、真のチームリーダーとしての役割をこれまであまり担っていない。正直なところ、腹痛で試合を休んだなどというニュースを耳にすると、ジョージ・スタインブレナー・オーナーがつい苦言を呈したくなる気持ちも「ある程度は」分かる気がする。だからこそ、ジーター不在の間に、そのポジションを守らせることで、チームがこの危機を乗り切るあたって、その先頭に立たせる必要があると私は思うのだ。もともと守備はゴールドグラブ受賞者で何の問題もないし、それに、彼はあと1本塁打で、尊敬するカル・リプケンJr.のもつ、遊撃手としてのメジャー最多本塁打記録に追いつくという目標もある。個人記録のために野球をやっているわけではないだろうが、それでもかなりのモチベーションになることは間違いないし、ジーターや松井を夏休みに見られないヤンキースのファンにも楽しみが増える。チーム全体のことを考えても、カイロがショートを守るより、Aロッドがショートを守り、カイロが三塁につくほうがメリットが大きいのではないだろうか。

このヤンキースの危機は、Aロッドにとっては逆に「将来の殿堂入り選手」としての地位をますますゆるぎないものにする大チャンスになるかもしれないのだ。



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1 コメント

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それ"あり"だと思います。 (jeter)
2006-06-05 14:42:35
ポサーダを一塁で使うオプションを選択できるのなら、この起用はそんなに悩むことではないと思われます。エリックダンカンも事と次第によってはcall-upしてサードで使えま

すし...



こんなことなら見るのは、HOUSTON VS CINC

Yにしておけばよかったです。リピート放送

がないのも今気付きました。

ただグリフィのダイビングキャッチはうまく

見ることが出来ました。久々に"らしい"プレーだったと思いましたが、ケガしないかと

冷や冷やモンで見てました。
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