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ゴジラだけがヤンキース連敗の「戦犯」なのか?

2007年10月06日 | Baseball/MLB

 ア・リーグのディビジョン・シリーズは、ヤンキースが公式戦で6戦全勝のインディアンスにまさかの連敗を喫し、崖っぷちに立たされた。
 公式戦での対戦結果が良くても、短期決戦のプレーオフでは逆の結果が出ることは、たとえば1988年のドジャース対メッツのナ・リーグチャンピオンシップシリーズなど過去にも例があることだし、今回はインディアンスの先発が、サイ・ヤング賞候補にも名前の挙がっている左右の両輪、C.C.サバシアファウスト・カルモナなのだから、いかにリーグ最強のヤンキース打線といえどもかんたんに打ち崩せるものではない。私自身は、この展開は予想の範囲で決して意外な結果ではない。それほど今年のサバシアとカルモナはいいピッチャーなのである。

 このシリーズを伝えている日本の報道で気になるのは、2試合連続でノーヒットに終わった松井秀喜を一方的に「戦犯」扱いする記事が目につくことである。確かに第1戦で六番、第2戦では5番に座った主力打者だから、いかに相手が好投手であり、自身も故障を押しての出場であろうと、試合に出て打席に立った以上、結果が出なければ敗戦の責任は負わなければならない。しかし、このシリーズで不振にあえいでいるのは松井だけではない。アレックス・ロドリゲスは今回も「ポストシーズンのジンクス」にはまっているし、主将のデレク・ジーターもほとんど役割を果たしていない正捕手のホーヘイ・ポサーダもリードにおいて冷静さを欠いていたり、捕球ミスも目立つ。松井の不振をクローズアップするのは構わないが、Aロッドやジーターといった将来の殿堂入り選手でさえ用意に打ち崩せないのが今年のサバシアやカルモナであることをきちんと紹介せず、あたかも松井ひとりが連敗の責任を負うかのような見出し、記事、ニュース原稿の書き方は公平ではないし、プロの報道とはいえないのではないだろうか。ショッキングな連敗だからこそ、冷徹な分析が求められるのはプロが書いたりしゃべったりする原稿においては当然求められる条件だと私は思う。

 

不動心
松井 秀喜
新潮社

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2 コメント

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 (ADELANTE)
2007-10-07 00:42:20
今日のヤンキースは虫にやられましたね。



インディアンズ・ファンの私はそれでも嬉しいのですが、嬉しさは正直半分くらいです。



日本のマスコミは、体質がタレント叩きをする女性週刊誌といっしょです。(過去には近鉄球団に頼まれたのか、野茂叩きに躍起だったし)
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その通りです。 (メルキー、頑張れ!)
2007-10-08 19:28:54
上田様、
ちょくちょく拝読しています。
良くぞ仰ってくださいました。
確かに、出来が悪ければそのままの報道も甘んじて受けましょう。
しかし‘叩くor誉め殺し’の二者択一しかない原稿は、もはや報道でも何でもありませんね。
特に、紙媒体は売らんが為にその度合いがどんどんとエスカレートしていく一方です。
松井さんだってA-RODだって、勝って当たり前と言われ続けるNYYの選手みんな人間です。
良いときも悪いときもある!!!
自国のメディアならば、
せめて調子の悪いときくらい冷静な視点でのみの報道にとどめて欲しいものです。
もちろん、好調子のときも冷静な切り口であっていただきたいのは言うまでもありません。
 追伸:NYYを信じてきて良かったです!
    スィープなんかされてたまるものですか~。
    
    

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