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これぞプロフェッショナル!比類なき「名将」ボビー・コックス

2005年11月10日 | Baseball/MLB
MLBの2005年最優秀監督が発表され、ア・リーグはオジー・ギーエン(ホワイトソックス)、ナ・リーグはボビー・コックス(ブレーブス)が2年連続4度目の受賞を果たした。
メジャーでは必ずしも優勝チームから最優秀監督が選ばれるわけではない(最下位チームから選出された例もある)が、今季の選出結果はおおむね納得のいくところだろう。ギーエンに関してはまあ異論もあるでしょうが(笑)、でも今季のホワイトソックスはやはり彼がスキッパーだったからこそ世界一にまで上り詰めたといえるだろう。
コックスに関しては、32の1位票中、28票を集め、2位票が4、3位票はゼロという投票結果に、彼の采配に対する絶大な評価が現れている。近年、主力選手のFA流出が続き、去年あたりからは「今年はさすがにダメだろう」というのが合言葉?になっていたようなブレーブスだが、シーズンが終わってみればプロスポーツ史上類を見ない14シーズン連続の地区優勝を果たしている。しかも今季は、オールスター前後からフランコーアなどのメジャー1年生を大量抜擢し、開幕から突っ走っていたナショナルズをあっという間に追い抜くと、戦力的には圧倒的に上回っていたフィリーズの追撃を振り切っての偉業達成だった。
8月に石川顕アナウンサーと担当したレッズ戦が典型的だったが、とにかく相手がどんなに強いチームでも、確実に出塁したランナーを生還させる手堅い采配でリードを奪い、また投手も大胆さと細心さを兼ね備えたピッチングで相手になかなか同点・逆転を許さない。たとえば下位打線の打者が出塁すると、九番のピッチャーでもきちんとバントで得点圏に走者を進めたり、あるいはスクイズを決めるので、つねに相手チームに対してアドバンテージを保ち、たとえ強力なレッズ打線に一発が出ても、1点差がどうしても逆転できないという試合をたびたび披露してきた。V9巨人を率いた川上哲治氏をはじめ数多くの名監督たちの試合を実況してきた超ベテランの石川さんも、「大変な監督です」と放送の間はもちろん、放送後も盛んにコックスを絶賛していた。
最近はメジャーでも日本でも、こういういかにもプロフェッショナルらしい監督が少なくなった。しかしブレーブスはシャーホルツGMが長期計画でファームから育成した選手の能力を、コックス監督が120%引き出し、面白いゲームを見せている。最近は決して観客動員が好調とは言えないブレーブスだが、たとえば日本から観戦に行くのならば、シアトル・マリナーズのゲームを見るよりも、断然ブレーブスを見ることをお勧めしたい。FAになったファーカルの去就は微妙なところだが、たとえ彼がチームを去っても、すでにその後継者候補はファームで育てられており、おそらくコックスはその「X」を大胆に使いこなすことだろう。いまからブレーブスの来季が楽しみである。


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