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DR650は製造から31年をすぎた。古いながらも好調に走っていたのだが、いつか故障するのではないかと不安になり、セカンド・バイクとしてセローを購入した。するとそれを待っていたかのように、DRのエンジンがかからなくなってしまった。
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2週間ほど乗らずにいて、エンジンをかけようとしたが始動しないのだ。キックしてかからないということはこれまでにも何度もあった。それでキックを繰り返した。83回。全力でこれだけキックするとへとへとになる。冬なのに汗だくである。
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一時始動をあきらめて、時間をおいてまたキックした。しかし50回してもかからなかった。
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これまでプラグがかぶって始動しなかったということはないのだが、キル・スイッチとヒューズを見た後で、点検してみた。DRは単気筒だがツイン・プラグである。
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プラグは濡れていたが、それほどでもない。ライターで炙って磨き、つけなおしてみても始動しない。因みに昨年の12月の車検でプラグは交換している。
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1本だけ新品のプラグがあったのでつけてみたが、やはりエンジンはかからなかった。いずれのときも、キックするとプラグは濡れていたから、ガソリンはきている。火が飛んでいないのだろうかと考えたが、これ以上自分では修理できないので、ショップに修理を依頼することにした。しかしDR1台きりだったときには不調のきざしはまったくなかったのだ。愛車も気をはっていたのだろうか。そしてセローが来たとたんに、役目を果たさなくともよいと感じて、力尽きたのか。なんだか意思と感情があるかのように感じられる。頑張ってくれていたのだろう。しかしこれが出先でなかったことが幸いであった。
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搬送はJAFに依頼した。15キロまでは無料とのことで料金はかからなかった。ショップにDRを持ち込むと、やはり火花が飛んでいないとのこと。
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電装品のどこかが不良なのだろうとのことだが、イグニッション・コイルが原因ではないかとの見立てだ。メカニックの方には、ベストと思える修理をしていただきたいと伝えた。イグニッション・コイルは2万円ほどだそうだが(正確には14200円)、部品はバックオーダーとのことで、いつくるのかわからないとのことだった。
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部品は意外にも一週間でとどいた。さっそくイグニッション・コイルを交換すると、エンジンはかかるようになったが、回転が安定しない。エンジンの始動性も非常に悪いとのこと。
メカの方がキャブを点検すると、何年か前にエアクリーナー・フィルターが劣化してくずれてしまったことがあり、それを吸い込んでいるとのこと。キャブをオーバー・ホールしてもらったが、回転の安定と始動性はまだまだ不良だった。
この原因はCDIの不良なのではないかとのことで、交換をすすめられる。ただCDIは50000円ほどするので、交換してもよいか確認された(正確には44300円)。長い年月にわたって旅の相棒だったDRに、乗れなくなってしまうのは考えられないし、耐えられないので、当然やれることはすべてやってもらうこととした。
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部品はまた一週間でとどけられた。30年以上前の逆輸入車なのに、スズキの手厚い対応には感謝である。そしてCDIを交換すると、見事にDRは息をふきかえした。
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修理期間は約1ヵ月だった。交換した部品代は62470円。イグニッション・コイルにCDI、キャブレターのOリングなどの消耗品だ。工賃は20000円。それに消費税がはいって90717円の費用がかかった。始動性はイグニッションコイルとCDIを交換した効果で格段に向上した。トラブル前よりも調子がよくなった。これでまた30年もつだろうが、私のほうがそんなにバイクに乗れないだろう。メカニックの方に感謝である。直してもらって本当にありがたかった。
距離111308キロ。
旧い個体の維持はCDIがネックだそうで、メーカー廃盤になった車種のCDIを作るところがあるそうです。ワイヤーハーネスを作ってくれるショップもあるみたいです。
今まで触れた個体ではCDIの不良は経験したことがありません。単にラッキーだったのかもしれません。
DRはボアが大きいのでツインプラグなのでしょう。火炎伝播に時間がかかるのは、ボアが大きいエンジンの宿命のようです。
海外で売られたモデルは、部品供給がよいとはショップの方の言葉でした。
ただ逆輸入車は車検証を示して、たしかに壊れた個体があるから、部品がほしいと証明しなければならないそうです。
それらの手間を含めて、誠実に、時間をかけて修理してくれたメカニックの方に感謝です。