2日目。5時45分におきると前のキャンパーはいなくなっていた。山にでものぼるのか早立ちしたのである。朝からむかいあってすごすのは嫌だったから、よかった。
天候は薄曇り。
まずコーヒーをいれた。
朝食はそばである。
乾麺を茹でて、持参の海苔をのせてざるそばにした。自分でつくったそばを、市販の出汁でたべても十分に美味しいが、昨日昼食にした、小嶋屋のそばと汁がいかにすばらしかったか、再認識することになった。
オピネルのナイフは洗ってグリップを濡らしてしまうと、ブレードの動きがものすごく悪くなってしまう。たたむと開けなくなってしまうのだ。それでネギを刻むことができなかったのが残念だった。
テントの撤収を開始する。オレンジのフライ・シートをとめているのは、古くなったトーストラップーー自転車のペダルにつける固定用のベルトーーである。
バイクに荷物を積んでゆく。作業をしていると汗をかいてしまった。
7時45分にキャンプ場をでた。朝方に雨が降ったようで路面がぬれている。只見川にでると川霧がわいていた。
災害で不通になっている只見線の大規模な工事がおこなわれていた。只見線は只見と会津川口間が寸断されていて、バスで代替輸送されているのだ。復旧するにはまだ数年はかかりそうな感じだった。
路面は濡れていたが空は晴れてきた。
滝沢天然炭酸水があったので立ち寄る。
ここの炭酸水は冷たくて美味しい。2018年には大塩の炭酸水を飲んだが、あちらはぬるかった。炭酸水をペットボトルにつめて走りだした。
滝沢炭酸水に、大塩温泉が朝7時半から営業していると案内があった。料金は300円だ。昨夜はシャワーだけだったので、ここに寄ってゆくことにする。温泉につくと、駐車場にとまっている車のナンバーは首都圏のものばかりだった。
大塩温泉は炭酸泉とのことだが泡つきはよくない。内風呂は39℃、ベランダのようなところにある露天はもっとぬるかった。しかしひなびた、雰囲気のよい温泉である。
温泉のとなりには雪上車があった。雪深い土地なのだろう。ペットボトルに入れた炭酸水を飲んで出発する。晴れてきて気温は30℃をオーバーした。
会津川口から国道400号線で南下する。
国道沿いは茅葺屋根をトタンでおおったような古い民家がならんでいて、よい雰囲気だった。
道の駅からむし会館で休憩する。ここは以前はからむし会館だけがあって、道の駅ではなかったと記憶する。
からむしは和服の高級品だ。興味があるのでからむし会館を見学した。入場料は300円だがJAFの割引で250円になった。
からむしはいらくさの繊維をとりだして、糸により、反物として編んだものだ。途方もなく手間のかかるものなので、麻よりも高級な夏用の反物である。縁があれば一枚ほしいが、超高級品なので、手がでないかもしれない。
ところで、ここの道の駅のバイク用の駐車スペースは、喫煙所といっしょになっている。バイク乗りはタバコといっしょにしておけばよいと思っているのだろうか。無神経にもほどがある運営だ。
会津田島の手前でこれからの進路を検討する。上三依から会津東街道で塩原をぬけてゆくことにするが、あらためて写真を見ると、このとき既に空は危険な色をおびていた。
国道沿いにあった会津ラーメンの『みのや』で昼食とした。道の駅たじまの近くである。
メニューを見て、会津ラーメンの大盛り700円にする。
さっぱりとした昔ながらの中華そばだった。美味しかったがこの店にはエアコンがない。びっくりしたが涼しい土地柄なのだろう。ただラーメンをたべると暑くて汗をかいてしまった。
上三依から会津東街道をゆくつもりだったが、空の色が悪くなり、塩原方面は危険だ。そこで五十里湖をゆく会津西街道で南下してゆくが、路面はぬれていて、雨があがったばかりのようだ。その雨に龍王峡で追いついてしまった。鬼怒川公園駅で雨宿りをする。
はげしい雨降りがおわり、北は晴れてきた。
しかしこれからゆく南の空の色は剣吞だ。
それでも走りだすと、隣の鬼怒川温泉駅で降りだしてしまった。この先の降水地帯を突き抜けないと、埒があかないようだ。覚悟をきめて、カッパをつけて走りだした。
このところトランポ・ツーリングばかりをしていたから、雨の中をバイクで走るのは数年ぶりだ。はっきり言ってつらい。カッパをきているからどこも濡れないが、雨は夕立のように強烈で、視界が悪く、走りづらい。雨粒の乱打をうけつつ耐えるが、ただただ悲惨な時間だった。とんでもない豪雨だった。
その大雨は大沢で突然やんだ。雨が降っていない地域にはいると、路面もやってくる車もかわいているのだ。しかし日光方向は稲妻がはしっている。そしてまた35℃の灼熱の世界になってしまった。たまらずに、休みの店の前でカッパをぬいた。
やってきた方向の空の色は悪い。しかしこの後は炎暑のなかをはしって帰宅した。