気組みを入れなおした両雄。
オムー『アイスフロスト!!!』
空気中の水分子を一挙に集め凝縮させ、氷を形成していく。その作られた場所は、オムーの足元。すかさずオムーは唱えつつジャンプした。
ピーーーーーーーーーカカカカカカカカカッ!!!!
飛び上がったオムーの下には瞬く間に氷の床が作られ、その範囲は拡大していく。
カカカカカカカッ!!!カカカカカカカカカカカッ!!!!
実況『おぉーーー今度はなんだぁ~!!リングが・・リングが氷で埋め尽くされていくぞぉ~!!』
りん『・・な・・・これは・・』
足元まで来るや否や、共に凍ってしまわぬよう同じように飛び上がるりん。そしてオムーもりんも氷で覆われたリングに着地した。
アメル『今度は何が始まるんだろ(・w・´;)?』
トカマク『・・・・もしや・・・』
クルス『なるほどな・・・最後の掛けにでたか(゜Д゜)』
つるつると滑るリングに覚束無い足取りで構えるりん。戸惑いを隠せぬ表情は拭い取れない。
オムーは、すかさず剣を天へ振りかざした。
オムー『いっくぜ!!!!』
りん『・・・・・!?』
オムーは高々と両腕を挙げた。
エビちゅ『あの構えは・・・( ̄ω ̄ )』
ファラン『ほむーω■』
それはオムーにとり、最高峰の威力を持つ土攻撃魔法。メテオノヴァを唱える構えだ。
シュシュシュシューーーーーーーーー
ゴゴーーーーーーーーーーー
竜神のごとく黒い煙がオムーの魔法杖とも言える剣から放出され、空高く舞い上がると同時、上空に低い響きと共に暗雲を形成している。
りん『・・ぁ・・・』
すると、溶岩のごとき燃え上がる巨大な岩石が次々と落ち始め、空は真っ赤に染まり、赤黒く燃えた岩々が隙間のないほどぎっしりと頭上を覆い、リングへ向かっているのだった。
観客にとって、その光景は今だかつてみたことがないことは必然。駭然とした顔が無数に並んでいる。
実況『これはすごい!!!空から何かが降ってくるぞぉ~!!!』
『おおおおおおおぉぉぉぉぉぉおおぉぉ』
『わぁぁぁぁぁああああああああああぁぁ』
ドドーーーーーーーーーーーーーーー!!!
ドドドーーーーーーーーーーーーーー!!!!!
ドドーーーーーーーーーーーーーー!!!!
りん『・・・まずい・・・・・』
クルス『・・どうする・・・りん(゜Д゜)』
hanana『・・・あれだとオムーさんもあたっちゃうでしよ^0^;?』
ファラン『リングを覆うほどの溶岩攻撃・・オムーは何を考えておるんじゃ(ーД■♯)!!』
エビちゅ『オムーは体力差を利用したんでちゅよ( ̄ω ̄ )』
アメル『自爆覚悟(・w・´;)?』
トカマク『・・僅かにりんよりオムーの方がHP体力は上・・・だから最後の賭けにでたのよ』
エビちゅ『床に氷を張ることで地中への回避も無理でちゅからね( ̄ω ̄ )』
変装男『りんがリングを出てノヴァを避けたら場外負け・・・か・・考え追ったのぉ(■ω■.)あの男』
クルス『王手飛車取りだな(゜Д゜)どうする!りん!』
実況『これはすごい!!!空から降ってきたのは溶岩だぁ~!!!』
『おおおおおおおぉぉぉぉぉぉおおぉぉ』
『わぁぁぁぁぁああああああああああぁぁ』
ドドーーーーーーーーーーーーーーー!!!
ドドドーーーーーーーーーーーーーー!!!!!
ドドーーーーーーーーーーーーーー!!!!
みるみるうちにリングへ到達しようとしている溶岩。
燃え上がった炎を羽織ったそれは、見上げたりんの顔を赤く染め始めている。
りん『・・・・・・。』
オムー『うぉぉぉぉおおぉぉ!!!』
暫く考え、りんは威迫、かつ剛気なる気合を発した。
りん『やぁぁあああぁぁぁぁぁ!!!!!』
りんの右手は右肩にある弓筒へ運ばれていった。
その手は弓筒にある一本の矢へ。
ファラン『やはり逃げぬかーω■』
アメル『りんは逃げない!?』
クルス『何か考えがあるんだろう(゜Д゜)』
そして、流れるような手捌きで矢を射るりん。
サッ・・・ビシュンッ!!!!!
その素早い射打ちは、剣を振りかざしていたオムーに避ける余裕さえ与えなく、オムーの右胸に勢いよく刺さった。
グザッ!!!!
その矢の勢いは、オムーの足を地面から軽々と別れさせ、吹き飛ばしている。
オムー『・・・・ぐ・・ふ・・・ガハッ!!!』
矢と共に背後へ吹き飛ばされる瞬間。オムーは気づくのだった。この勢いはリングへは納まらない。必ずや場外の地へ足をついてしまうだろうと。
オムー『・・やべーーー≫ω≪.!!!』
実況『おぉーーーーーっとぉ~!!りんの選手の最後の攻撃矢にてオムー選手が吹き飛ばされたぁ~!!』
場外負けか、体力差による敗北という究極の選択を迫られたりんの出したひとつの答えは、より早く相手を場外負けにすること。勢いよく矢を射ることでオムーを矢ごと場外へ葬り去るという、さらに上をいく術を選ぶのだった。
変装男『ぬわんだとっ(■Д■.)!!』
クルス『見事だ(゜Д゜)』
アメル『あぁ!!オムさん場外になる(>w<`;)』
エビちゅ『・・・体力差で確実に負けると予想したりんは最後に場外勝ちを狙ったんでちゅね( ̄ω ̄ )』
ファラン『イタチの最後っ屁じゃなーω■』
自らの胸に刺さった矢を握り締め、否応なしに観客席の仕切り壁に飛ばされたオムーは、叩きつけられるように壁に当たり止まった。
バコーーーーーーーーーーーーン!!!!!
オムー『ぐへっ≫ω≪.;』
実況『・・これは・・・オムー選手の場外負けにて、りん選手の勝利だぁ~!!!』
『おおおおおぉぉぉぉおおぉぉ』
『わぁぁぁああああぁぁぁぁ』
すると間もなく、溶岩はりんを含め、リング全体へ着弾していく。
アメル『あたる(>w<´;)!!!』
hanana『キャッ><』
クルス『・・・・(゜Д゜)』
ヒューーーーーーーーーーーーーー
りん『・・もう間に合わないや・・・南無(*´▽`*)・・』
ドドドドドーーーーーーーーー
ドドドドドーーーーーーーーーーーーーーー
ドドドドーーーーーーーーーーーーーーー
全てリングに直撃した真っ赤に燃え上がるその岩はリング石を粉砕し、熱く解けた溶岩が八角形のリングを変形させるほどに押し潰していた。無論その中にりんがいる。
トカマク『りん><!!!!』
アメル『りん(>w<´;)』
クルス『・・・・もろだな(゜Д゜;)』
止め処なく落ち続ける溶岩は非情にも全て的を外していない。
ドドドドーーーーーーーーー
ドドーーーーーーーーーーーーーーー
ドドドドーーーーーーーーーーーーーーー
地面に直打したことによる熱を帯びた爆風の余波は周囲の観客達にも熱く強い風圧を感じさせている。
ゴゴゴゴゴゴゴーーーーーーーーーーーー
ゴゴゴゴゴーーーーーーーーーー
リング石は外へ溶け出し、クレーターにも似た大きな穴や溶け切れぬ岩々などが残り、一瞬にして焼け野原となってしまっていた。
溶けきったリング石はもはや原型を留めていない。あちらこちらで細く白い煙を立ち上らせている。
スーーーーーーーーーーー
プスプス・・・・プスプス・・・・・
その中央。りんが立っている。
トカマク『りん!!』
ファラン『(ーД■♯)!!』
変装男『(■ω■.)!!』
アメル『りん(>w<´;)!!』
暫く立ってはいたが、諸に直打したその体はもうボロボロだ。力なくゆっくりと床に倒れこんだ。
りん『はふん_ノ乙(、ン、)_』
バサッ・・・
実況『りん選手倒れたぁ~!!!しかし、若干オムー選手の場外が早かったぁ~!!!りん選手の勝利だぁ~!!!』
『わぁぁぁぁあああぁぁぁ』
『おおおおおおおおおおぉぉぉぉぉ』
矢に刺さったまま、壁に貼り付けられたオムーは悔しそうに唇を噛んでいる。
オムー『・・ガハッ≫ω≪.;・・・ちっくしょぉーーー!!』
ファラン『すさまじい戦いじゃったのぉーω■;』
アメル『オムさん頑張ったね(・w・´)!!!』
トカマク『りんの底知れない強さを知ったわ^^;』
りんは駆け寄った審判員たちの肩を借り、立ち上がった。
クルス『なんとか立ち上がったみたいだな(゜Д゜)』
アメル『無事でよかった(・w・´)』
りんの耳には割れんばかりの拍手、歓声が送られている。
『わぁぁぁぁあああああぁぁ』
『おおおおぉぉぉぉおぉぉ』
りん『・・・ぁ・・れ・・・私・・・勝てたのかな・(*´▽`*)・・?』
肩を貸している審判員は、驚愕する戦いを見たことによる興奮からか、鼻息混じりに答えた。
『えぇ!そうですよっ!あなたが勝ったんですよっ!!すばらしい戦いでしたっ!!』
『おおおおぉぉぉぉおぉぉ』
『わぁぁぁぁあああああぁぁ』
『おおおおぉぉぉぉおぉぉ』
りん『ウフ(*´▽`*)これで欲しい服が近づいたわ』
すると、hananaは目を瞬かせながらオムーが持たれかかっている姿を見つつ言った。
hanana『はれ・・・オムーさん足地面についてないデシよ^0^?』
エビちゅ『hanaは目がいいんでちゅね( ̄ω ̄ )エビちゅには何もみえまちぇんよ』
hanana『はい^0^ノ両目4,0デシ!!!』
トカマク『すごいわね^^はななちゃん』
アメル『4,0wwマサイ族か(ーwー´)!!』
言われてみれば、その足は地面にはついていなく、オムーの足は宙に浮いているのだった。徐々に観客達がざわつき始め、それに気づいた審判員たちは、オムーの様子を見に行っている。
クルス『なんだなんだ(゜Д゜)どしたんだ?』
変装男『どうやら審議があるようじゃのぉ(■ω■.)』
すると、ざわつき始めた闘技場を宥めるように司会者がしゃべり始めた。
実況『・・ぇー皆様!!訂正いたします!!なんとオムー選手に刺さった矢は体を貫通し、背中から出た矢はさらに場外の壁に突き刺さっている状態です。そしてオムー選手は、その矢に体がぶら下がった状態でありまして、地面に足がついていないことが判明いたしました。よって、始めに気絶したりん選手の負けとさせて頂くことになりました!!』
『おおおおぉぉぉぉおぉぉ』
『わぁぁぁぁあああああぁぁ』
『おおおおぉぉぉぉおぉぉ』
りん『ポーン( Д )⌒Y⌒Y⌒Y⌒Y⌒Y⌒...。....。コロコロ』
体を難なく貫通したりんの矢の切っ先は、場外壁を突き刺し、まるで虫ピンで刺されてしまったかのように、その矢にてオムーは壁に張り付けられている。
場外負けを差し向けたりんの矢は皮肉にも、メテオノヴァの弾幕を避けさせ、尚且つ場外負けからも救う羽目になっているのだった。
りん『洋服が・・イタ飯が・・・エステが・・・旅行が・・( Д )』
地面とオムーのつま先の差は僅かに在る。
オムーの体はその矢にて支えられていた。
オムー『いてて≫ω≪.;・・運も・・・じ・・実力のうちだぉ・・』
アメル『なんという悪運の強さw』
クルス『ぶwww』
トカマク『オムーは地面に足ついてなかったの?』
ファラン『まぁ・・運も実力のうちじゃからのぉーω■;』
変装男『まったく、運で勝ってどうする!それでもバルタルトの血を引いているのか(■Д■.)たわけめ!父さんは悲し・・ゴホンッゴホンッ』
アメル『バルタルト?父さん(・w・´)?』
変装男『ぁいや(■ω■.;)タルトケーキを作っている会社が倒産してしまったと言ったのじゃ』
アメル『・・・・(ーwー´)』
両雄の壮絶な激突は幕を閉じた。
戦いというたったひとつの言葉で表されてはいたが、その攻防はひとつの言葉では表し様がない。その頂上はあらゆる技術。あらゆる戦略。あらゆる戦術が交錯する戦い。
場外負けというルール設定があるからこそのオムーの作戦。それでさえりんの矢により場外負けを喫してしまいそうになるが、運よく勝つことのできた試合。
ルールのない実戦では勝敗は違っていたのかもしれない。それを一番解せていたのは、紛れもないオムーだ。
オムー『強い奴って・・いっぱいいるんだなぁ・・=ω=.;』
りん『あーん。+゜(ノД`)゜+。力み過ぎた・・・』
退場間際、足を引きずり、りんへ歩み寄っていくオムー。解っていた。己の実力を上回る存在を。それは言葉ではなく、そのまま行動で表していた。
審判員に肩を借りたりんは、オムーが退場間際にこちらに近づいてきていることがわかり、顔を上げた。
りん『・・・・・?』
オムーは何も言わず、りんの片方の手を取り、高々と腕を挙げさせた。それを観客達が見るや否や、またも盛大な歓声が怒涛のように鳴り響いている。
『わぁぁぁぁああああああああぁぁぁぁ』
『あああああぁぁぁぁああぁぁ』
死闘を演じるも、そこには深い絆があり、そして戦いによりまた育まれていた。そのオムーの計らいに対し、そして二人への敬いは観客達の声援をより一層大きくさせている。
りん『・・・きーちゃん(*´▽`*)』
オムー『・・・・・=ω=.』
両者がリングを去っていくその背には、戦いを終えた友誼なる情が見えている。今だかつてなかったその戦いは人々に感動を与え、闘技場内いっぱいにこだました歓声は、二人が闘技場から見えなくなるまで続いていた。
次々とトーナメント第一回戦の戦いは終わっていく。
今まで勝ち上がったのは、第一試合勝者であるアメル。
第二試合勝者のクルス。そして今試合、第三試合勝者のオムーだ。
そして次なる戦いは、トーナメント第一回戦、第四試合であるエビちゅとhananaの戦いだ。果たして誰が勝ち進み、覇権を手にするのだろうか。