神奈川大会でめったにみられないであろう場面がありました。
7月12日に行なわれた1回戦、日大藤沢VS武相の最終回にそれはおこりました。
9回裏、日大藤沢の攻撃。一死満塁でバッターの打球は内野フライ。三塁塁審は、ただちに「インフィールドフライ」を宣告しました。その後、三塁走者がタッチアップで生還、サヨナラゲームとなったのです。
ふつうなら、このままゲームセットなのですが、武相側から抗議があり、審判団が集まって協議に入りました。Youtubeで配信されている動画をみると、武相選手からは、どうやら「タイムをかけた」というジェスチャーがみえます。
では、タイムがかかっていたのか?
動画をみると、インフィールドフライの宣告後、野手が捕球した時点で三塁走者は三塁に帰塁しています(インフィールドフライでもリタッチの義務があるからです)。問題はここから。
インフィールドフライではプレイは止まらない(インプレイ)なので、各走者にはアウトを賭して次の塁へすすむ権利が生じます。事実、日大藤沢の三塁走者はリタッチと同時に塁を離れ、本塁を伺っています。一瞬、画面が武相応援席へと移りますが、この間に三塁走者が再び帰塁していないであろうことは、画面がグラウンドにもどったときの武相内野手の動きからも推測できます(三塁走者を帰塁させるために牽制した気配がみえない)。
では、武相は、どのタイミングでタイムをかけたのか。
実は、三塁走者がリタッチ後、三塁を離れた瞬間に、武相がタイムをかけることはできなくなります。もし、このような状況でタイムが掛けられるとすれば、外野フライで三塁走者がタッチアップした瞬間にタイムがかけられることになってしまいます。守備側がタイムを要求できるのは、走者が累上にいるときだけです。なので、三塁走者が三塁にリタッチして、ベースから離れた瞬間(リタッチから離塁は一瞬でした)にタイムを要求する権利を失います。
つまり、武相がタイムを要求していたとしても、それはルール上認められないということです。ルールを熟知しているであろう強豪校がこういうミスをおかしてしまうのも、負けが許されないトーナメントが生み出す緊張感からなのでしょうか。
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