明日、「東日本大震災」から5回目の3月11日を迎えます。被災された方はもちろん、多くの日本人にとって、おそらく生涯を通じて忘れることのできない日のひとつでしょう。
そして、その一日前の今日、3月10日も、忘れることができない日のひとつだと思います。1945年3月10日は、約330機のB-29が東京の下町を襲った日です。戦後、半世紀以上を経た今日でも、犠牲者の数は判明していないそうです。
戦略的には首都・東京の軍需工場を爆撃するという意図があったようですが、米軍としては、むしろ低高度での大規模夜間爆撃という戦術面での実験的な「作戦」という意味合いが強かったようです。低高度からの爆撃のため爆撃の精度はあがり、米軍にとっては「戦果」、日本にとっては「被害」が拡大したとも言われています。広島と長崎への原爆攻撃もしかりですが、米軍にとっての当時の日本は、すでに「次なる戦争」のための実験場にすぎなかったのではないかと考えさせられてしまいます。もちろん早期講和をしていれば、このような悲劇は起こらなかったことを考えれば、当時の日本政府や軍部にも非があったとも思うのですが・・・。
この東京大空襲は、映画やドラマでも繰り返して描かれています。私の記憶に残っているのは3つの作品です。「ガラスのウサギ」(1979年)、「戦争と青春」(1991年)、「東京大空襲」(2008年)の3本です。どの作品も、空襲そのものを伝えているのはもちろん、登場人物がどういう人生を送ってきたのか、その人生が業火のなかでどのように消されてしまったのかを描写しているという点で甲乙つけがたいのですが、徴兵忌避を描くほか戦争そのものへの問いかけを行っている「戦争と青春」が私のお勧めです。
■NTV制作の「東京大空襲」(2008)のレビューは→こちら