ひと日記

お気に入りのモノ・ヒト・コト・場所について超マイペースで綴ります。

ツイードのジャケット&キャメルのポロコート

2010-01-18 19:51:36 | 白井さん
 今回は冒頭より訂正があります。前回の記述で白井さんがお召しになっていたコートを“ポロコート”としていまいたが、白井さんからのご指摘で“アルスターコート”とさせていただきました。お詫びとともに訂正させていただきます。

  

 今日の白井さんの着こなしは、このブログでは初登場となるツイードのジャケット。そして色鮮やかなグリーンのマフラーを巻いてキャメルのポロコートです。

     

 今夜はこの後、気心の知れた方々と横浜みなとみらいのリストランテで食事会という白井さんの装いはリラックスしたジャケットスタイル。

 『向こうのはわざわざ生地メーカーのタグを裏地に貼り付けたりしないからはっきりとは判らないけど、まぁこれは間違いなくハリスツイードでしょう。』と白井さんが仰る茶のピンチェック・ツイード地のジャケットは伊アットリーニのセカンドラインだった頃のサルトリオ(Sartorio)製。赤いチェックのタイは横浜元町の老舗ポピーさんで“昔々に”購入されたもの。インナーには真っ赤なカシミアニット。『どこのものだかよくわからないけど恐らく英国製。厚くてしっかりとしたカシミア生地だし、袖口がちゃんとターンナップしてるし“お、これいいじゃん”と思って』と信濃屋さんでつい最近購入されたのだそう。オレンジのシルクチーフを柔らかくパフで挿して。靴は2度目の登場、ヘンリーマックスウェルのUチップフルブローグ。今回は内側からの撮影。白井さんが前回『今度真っ赤な靴下履いてくるからね。』と仰っていた伊プリンチペのソックスの色にもご注目を笑。

 

 とりわけ寒さが厳しかったこの夜、白井さんはキャメルのポロコート(伊ルチアーノ・バルベラ)に色鮮やかなグリーンのカシミアマフラーを合わせていました。私が以前、白井さんや天神山のIさんから伺っていた“86年1月にミラノの空港で見た、皆がオーバーコートにレッド、グリーン、ブルーなどの色鮮やかなマフラーを合わせていた光景が印象に残っている”というお話の中に登場したそのグリーンのマフラー。店頭で陳列されているものを目にすることはあっても、街中で見かけることは稀。実際は着こなしのイメージがなかなか湧かないアイテムでしたが、こうやって白井さんが苦もなく着こなす姿を拝見して“ああ~こうやって使うのか!”と目から鱗の心持です。

  

 帽子は第1回目に登場した、白井さんが40年以上前に裏地など細かく指定して作らせた、分厚いファーフェルトに羽飾り付きのボルサリーノ。コートの左のフレームドパッチポケットに無造作に入れてある手袋は未確認ですが恐らくペッカリー? 今日のステッキは以前白井さんが『滑ってちょっと使いにくいから』と仰っていてやや出番は少ないようですがヒッコリー材のもの。白井さんは以前雑誌のインタビューで『ワードローブは全て見えるようにしておくもの』と仰っていますが、それは小物も含めて全ての品々を“満遍なく”お使いになる白井さん一流の至言でしょう。



 以下余談。

 上の写真は今夕、白井さんからリストランテでの食事会にご招待を受けていた信濃屋さんの顧客のお一人“W様”が履いていらした“シルヴァーノ・ラッタンツィ”。勿論信濃屋さんでオーダーした、白井さんが『ラッタンツィはこの頃が一番良かったね。』と仰る’96~’97年頃の逸品。革はジャロ(黄色)のスコッチグレイン、パンチドキャップトウでキャップと甲の部分の縫い目が手間のかかるリボルターテ(革の切り目を薄く梳いて内側に織り込んで縫う)仕様、7アイレッツ、コバのステッチは信濃屋さんならではの白。

 このブログを始めて、白井さんの装いを直に拝見できるだけでも大変有り難いことですが、長年“白井流”に接してこられた顧客の皆様の着こなしを垣間見ることもできるのは初心者の私にはとても勉強になります。さらに今回、W様とは親しくお話までさせていただき、さらに上掲の貴重なラッタンツィの撮影も! 20代の頃から白井流の“薫陶”を受けてこられたW様はまさに着こなしの大先輩。この日、ルチアーノ・バルベラのグレイがかった茶のダブルのスリーピースに白いシャツの襟元はサックスとベージュのレジメンタルストライプのタイを合わせ足元は手入れの行き届いたジャロのラッタンツィ、ライトグレイのソフトを被り伊セントアンドリュース製の茶のコート(恐らく白井さんが薦められたものでしょう)、靴と同色の革手袋、ボルドー地にゴールドのペイズリー柄があしらわれたシルクマフラー、以上をビシッと着こなして来店されたW様は、その姿をご覧になった白井さんが『来た来た。ちゃんと“本物”を着てるよ彼は。』と思わず目を細められたほどの洒落者。かつては白井さんから奨められるままに凄まじいばかりの“買い方”をされていたそうで、折角誂えたスーツを美しく着こなしたいからと、ジムでの10キロのランニングと70キロのベンチプレスを欠かさないというW様は、私より少し年長で、立っても座っても端正な佇まいを決して崩ないまことに控えめで寡黙な紳士です。

 ありがたいことにW様もこのブログをご覧になっていて、『とんでもないことを始められましたね笑。私も初めて白井さんにお会いした時の衝撃は忘れられません。今思うと若い頃の私は酷い恰好をしていたもので、白井さんはきっとかなり我慢しながらお付き合いしてくださったのだと思います苦笑。hitoさん(←私のことです)よりも私の方が恐らく白井さんとのお付き合いは長いと思いますが、あなたのブログには私も知らなかったことが書かれていてましたよ。これからも頑張って下さいね。』と、大変優しい言葉をかけていただきました。

 実は信濃屋の皆さんや天神山Iさんからは、今後も続けることを第一義に、白井さん・読んでいただく方々・私の3者の体力の消耗を親身になってご心配していただき『ブログの内容をもっと軽くした方が良いよ。』とアドヴァイスを頂いていましたが、W様のことだけはやはりどうしても書きたくて、今回も若干長くなってしましました。皆様の心遣い、感謝の念に堪えないとは斯くの如きかという思いです。もう一度初心に戻って頑張ろうと心に誓った夕でした。