皿尾城の空の下

久伊豆大雷神社。勧請八百年を超える忍領乾の守護神。現在の宮司で二十三代目。郷土史や日常生活を綴っています。

新嘗祭を終えて

2018-11-25 22:33:30 | 神社と歴史

平成三十年皿尾久伊豆大雷神社の新嘗祭が執り行われました。例大祭と並ぶ重要な祭祀で、恒例の大祭にあたります。宮中においてはこの新嘗祭が最も大切にされ、春の五穀豊穣を祈る「祈年祭」は小祭にあたり、祈りよりも感謝を重んじる精神の表れとされます。「新嘗」とは新穀を神にお供えすることを意味し、稲作を中心に発展してきた日本を象徴する祭祀と位置付けられます。秋祭り、収穫祭、新穀感謝祭など呼称は様々ですが神恩に感謝し、人々の暮らしや国家、皇室の繁栄を祈る大切な一日です。

霜月後半ともなれば朝晩冷え込みますが、祭典の日中はとても穏やかで暖かく、まさに神の御神徳を感じるようでした。過疎化の進む農村部であり、多くの参列者とは言えませんが、神社役員、年番様はもちろん米作りに従事されている農家の方の参列があり、皆さんに玉串をあげていただきました。私が父に代わって初めて奉仕させていただいたのが平成二十一年。平成最後の新穀感謝祭は節目の十年目になります。

大祓詞奏上など祭典に打つ鼓は慶応三年に奉納されています。今年の大河ドラマで描かれた幕末大政奉還がなされた年です。社殿に奉納された額や記念碑などの年号を目にするたび、歴史が語り掛けてくるような感覚になります。こうした先人たちが残してきたものを、次の時代に引き継いでいくために自分がどうしたらよいのか試行錯誤しながらこの10年を過ごしてきました。答えはまだ見つかりませんが、できることをこれからも一つ一つ積み重ねていきたいと思います。

境内の木々もかなり色付きました。師走を迎えるにあたり掃き掃除もしっかりやらなくてはなりません。

 

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