加須市大越は利根川流域に広がる広大な農業地域で、利根川河川南側に位置する。中央部の大川地区の鎮守が愛宕神社で、大川というのは古くはこの大越村と下総国との境にある浅間川という大河をさし、浅間川を越えたところを大越と呼んだ。
父なる大河利根川により肥沃な農地が広がる一方で、かつては河川の氾濫にも長らく悩んだ場所である。今でも鎮守として祀られる神社は、小高い山の様な所に立つ。口碑によれば、昔大乗坊と呼ばれた山伏が当地に愛宕山大乗院を開祖し、境内に祠を祀ったことが起源とされる。その後疫病が蔓延し、厄神除け祈願をしたところ沈静化し、以来疫病除けの信仰が残っている。
御祭神は加具土命で本殿に宝暦二年(1752)に奉納された勝軍地蔵が安置されている。(「埼玉の神社」より引用)現在の社殿は昭和55年に改築された立派な社殿である。
先述の通り古くから疫病除けの神として信仰があり、病気平癒と農作物の害虫除け等、農村部の信仰を集めている。氏子区域は大越の大川地区で、すぐ近くが大越小学校である。
正月の風習で三が日に年男がうどんを打ち、三日間はうどんを食べ、四日以降餅を食べる習慣があるという。うどんの町加須市ならではだろう。
境内に庚申塔が残っているように庚申講が残っていたという。また八月には十九夜講もあったそうだ(現在の詳細は不明である)
土地の伝承をよく伝える神社で、過疎化が進む中でもこうした地域の中心として集会所とともに立派なたたずまいを残している。
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