皿尾城の空の下

久伊豆大雷神社。勧請八百年を超える忍領乾の守護神。現在の宮司で二十三代目。郷土史や日常生活を綴っています。

春の南紀白浜紀行

2019-04-10 22:52:56 | 日記

 

 

 桜の開花を迎え、暖かさも増し新学期を目前に控えた四月の始め、和歌山県への旅に出ました。ここ数年毎年この時期に旅していますが、地理に疎く最初は新幹線で行くものだと考えていましたが、時間的な制約もあり南紀白浜空港へと空路での旅になりました。

羽田からわずか75分。大阪から特急で入るよりも短い時間で着くことができます。小型の旅客機はほぼ満席状態でした。

 

年間300万人を超える観光客で賑わう本州屈指のリゾート地南紀白浜。名勝白良浜は白浜半島の西側にあり、御船山から延長600mの遠浅の海辺が広がります。石英(水晶)の含有量が90%を超え文字通り真っ白な雪の様に明るい白砂を踏むことができます。

また白浜温泉は歴史も古く有馬温泉、道後温泉に並ぶ日本三古湯のひとつに数えられます。飛鳥奈良時代より「牟婁の湯」の名で知られ、第37代斉明天皇を始め多くの宮人が訪れた温泉地として現在でも親しまれ、気軽に外湯を楽しむことができます。泉質は塩化ナトリウム泉。海水に浸かっているような感覚で、洗い流さなければべとついてしまい、よくある硫黄泉、炭酸泉とはまた違った泉質でした。

平安期から室町にかけては多くの歌枕に詠まれた名勝で美しい月の景色としても知られています。平安期の歌人西行法師は、漂泊の人で1149年高野山入山の際熊野三山の旅の途中に当地を巡っています。

波よする しららの浜のからす貝 拾いやすくも おもほゆるかな

内裏で催された歌合せの作で、白良浜の白い美し砂と、浜辺に流された黒いからす貝の黒さを対比している様子を歌ったものです。

同じく寂念法師は夫木和歌集の中で

雪のいろに おなじしららのはまちどり こえさへさゆる あけぼのの空

と詠んでいます

歴史と文化、自然の調和する南紀白浜。短い旅ではありましたが、その美しさと歴史の深さに魅了されることとなりました。

 

 

 

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