秋の田の かりほの庵の 苫をあらみ 我が衣手は 露にぬれつつ 天智天皇
高校一年の冬休みの宿題は百人一首の暗記だった。なぜか今でも記憶に残っている。当時は意味も分からず興味もわかずちっとも頭に入ってこなかった。散々だった休み明けの試験。
秋の田の番をする仮小屋で寝ずの番をしていると茅葺の屋根が粗末なせいで私の袖は夜露でしきりに濡れてしまうことだ
百人一首の第一首は、黄金色に実った田んぼの景色から始まっている。日中刈るのを待つばかりの稲の匂い漂う田んぼも日が暮れると冷気が降り夜露に濡れる。一晩中見張りの番をする茅葺の小屋での心情を詠んだとされる。
四季や恋の歌が綴られた百人一首の中で、農民の生活感を詠んだのはこの句だけだとされている。中大兄皇子として大化の改新を遂げ古代国家の礎を築いた天智天皇。稲作は斎庭の神勅。百人一首の選定者藤原定家日本の繁栄と和歌の原点がここにあると考え百首の最初に置いたといわれている。