人生を豊かに生きるためには次の3つの自問自答が大事であると、比較宗教学や比較文化論をベースにした生き甲斐の心理学のU先生から教わった。
①自分は何のために生きているか?
②生き甲斐はなにか?
③自分の身体、生育史、魂を大事にしているか?
それを学びつづけ23年経ってしまったが、やっと人はどのようにそれを追求しているのか気になるようになってきた。そして、それは私のライフワークともいえる縄文時代の祖先にも。
日本の社会は欧米と比べても実に特異である。一言でいえば和の社会なのだろう。欧米の個人主義とはどうも違うようである。私が小学校2年のときにアラスカで約1年暮らしたがその文化の違いは言葉の壁以上であった。同じことをしても日本で怒られ、アラスカで褒められる。その反対もいくつか。日本もこの数十年制度などが欧米化し、その軋みもいろいろ表れているようにも感じる。忖度や大災害の時にいつも問題となる安全神話、某マスコミ問題。それは和の文化の影の部分であり、ある種の劣化なのかもしれない。
さて、私は学生時代から今まで何人かの師匠を得て幸せである。師弟関係は実に不思議なものである。学生時代は先生がいて卒業研究などは大変お世話になったが、社会人になるとこれはまた別の師弟関係のようなもの。ただ講義は赤ちょうちんであったりする。そこにはマニュアルなどはなく、シラバスのような目標もはっきりしない。時には背中を見て覚えよのようなところもある。U先生の生き甲斐の心理学もそのよう師弟関係での学びであると思う。生き甲斐の心理学という名称の147ページのテキストがある。このテキストは実践向きにエッセンスが書かれてあるが、何度読んでもよく分からない部分が残る(分かった気分にはなるが無意識の世界では分からないのだろう)。そして、ある日読んでいるとそうかと合点する。その繰り返しで20年以上、多分生涯掛けても分からない部分が残るのだと思う。
こうした師弟関係の学びは、先日内田樹さんの講義を聴いたのだが、学問をする上でも芸能や武芸をするうえでも、そして宗教や哲学を深める上でも大事であり、そして、ある場合は組織運営など、人に生き甲斐をそれぞれの分野でもたらすように感じる。このような師弟関係をベースにした社会をかつて心理学者の土居健郎氏は「甘えの構造」という本で紹介したと思う。フロイトの14の防衛機制の中の同一化などの言葉が出ていたのが気になる。そして、生き甲斐の心理学の学びで天武天皇・持統天皇の時代にそのような文化が根付いていたことを確認する機会を得た。その延長の縄文時代はどうか?まあ、分からないことが多い昔の話なので何とも言えないが、例えば日本の国宝にもなっている火炎土器。これと同じようなデザインは北陸を中心にたくさん出ている。デザインの伝承は歌のようなものではなかったかといわれるが、それだけではなく師弟関係の組織化のようなものもあったかもしれない。そして、結果として普遍的な美の追求というところでも現代美術以上の成果を上げているように思える。
縄文人の師弟関係。火炎式土器は別にしても土器や土偶も何か師弟関係を感じさせるものもあるように思う(妄想だが)。製作者はどのように自己刷新をしつつ腕を磨き、縄文土器や土偶をつくったのか。私は仮面のヴィーナスが好きだが、一緒に発掘された堀之内式の土器などもしげしげと眺めると、なにかぞくぞくとするような感動を覚える。これは思い付きでできる芸術ではなく例えば甘えの構造のような心理的伝統の中で何かがあったとか。
4/10 縄文世界を感じる時
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森裕行