学生時代に小説を書いている先輩の下宿で一晩語りつくしたことがあった。その時、その先輩は夏の暑いときは冬の物語を書き、冬の寒いときは夏の物語を書くと言っていた。もちろん当時はエアコンなど余り普及していない時代だったので、なるほどと感心したものだ。
さて、写真は2012年にウィーンに行った時に早朝の公園を訪れた時のものだ。厳寒の2月、凍死する方が問題になった年である。この時、私はU先生に勧められてウィーン大学に立ち寄り、中庭の近くのフロイトの銅像を見学した。U先生のおっしゃられるには心理学徒はこの銅像の前で写真を撮ってくるのが一つのお決まりだそうで。その夢を私は厳寒の2月に叶えることができ幸せを感じた。
その時の五感で感じた喜びは今でも忘れられない。それは、現代の心理学の祖とも言われるフロイトだけでなく、フロイトに続く学者など・・その銅像を私の師が見、さらに師の恩師もきっと見たというような熱い過去の歴史。さらに私にとっては学生時代の時の実験心理学の卒業論文で取り上げたブルンスウィックがウィーン大学と関わりがあったことも知り不思議な繋がりに感動した。
ウィーンを訪れてから10年近くになるが、私の師もお元気でこのコロナ禍の厳しい時期にも働いておられる。そして私も「生き甲斐の心理学」で微力だが普及活動をさせていただいている。さらに、縄文時代の小説を楽しみながら書く中で、ウィーン大学と日本民族学との関わりや、日本の研究者である故ネリー・ナウマン氏の存在も知った。
恐らく、もうウィーンに行くことは無いと思うが、下手な英語で教えてもらってやっと辿りついた銅像。観光見学というより、私の人生の過去、現在、未来に不思議につながり、自分の人生に大きな意味を与えているようにも感じる。
自分の人生が終わるとき、この経験のように振り返って様々な出来事が見事につながり、美しい人生であったと思いながら感謝の中で死にたいものだ。
8/10 真善美に触れる・・今も縄文も
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