植物越冬メモ

散歩中に見つけた熱帯植物を紹介していきます。。

フェニックスロベレニーの畑&ハイビ

2017年10月28日 | 関東植物

お久しぶりです。前回の八丈島の続きです。

2017.9.28

八丈島では、フェニックス・ロベレニーの切り葉の生産がさかんで、町なかにも
多く植栽されています。下の緑は実はすべて、ロベレニー。あたり一面に畑になっています。

2017 9.29

しかし、ここまで大規模の畑はまれで、大体このくらいの畑が多いです。
どの畑も横一列に隙間なく、同じ草丈の株が植えられているので、同じ時期に一度に植栽されたのだろうか。

2017 9.28

別の畑

2017 9.29

こぼれ種なのか、芽生えもみられた。
東京近郊でも温暖地では植栽されており、冬も屋外越冬しているのを多く
見かけるが、屋外で実生繁殖した例は聞かない。繁殖には最低でも
八丈島のような温暖な気候が必要だという事だろうか。


2017 9.29

この子株は、おそらく3~4年ものだろうか。
ロベレニーは耐陰性があるので、成木の影になりながらも元気そうだ。


2017 9.29

近くにはケンチャヤシが植栽されていた。この種はヤシ中では耐陰性があって、生育はゆっくりで鉢栽培しやすい。
その為、ロベレニーと同様に観葉植物に適している。


2017 9.29

芽生えだしたもの。コンクリートの割れ目でも生育している。
こぼれ種から芽吹いたのだろう。関東では、最近シュロは自然繁殖しているが温暖化が進めば
ロベも実生で繁殖するようになるのだろうか。

実際に宮崎や熱海・伊豆の無霜地帯でも、実生繁殖したワシントンヤシやビロウを見たので。


林床下で生育するビロウの幼樹 八丈島 2017 9.29


自然繁殖したシュロ  東京23区 2017.10.5

シュロの実生繁殖例は、東北地方でも見られるようになってきている。
また、植栽の北限は現在宮城県あたりと思われる。

このように関東でもシュロは増えている。シュロの葉も何か活用できるのだろうか。


こぼれ種から繁殖したワシントンヤシ 熱海 2017.5.29

 また、八丈島でも耐寒性の高いシュロとココスヤシが植えられていた。
八丈の熱帯植物とうまく共存して南国ムードを演出していた。
下の写真はシュロとロベレニーで、下草はストレチアで構成されている。



シュロとロベレニーの植栽    2017 9.28


シンボルツリーのココスヤシ   2017 9.29


背の高いココスヤシとビロウヤシ 2017 9.29


八丈島の植栽のハビスカスは、最も耐寒性の高い赤ハイビがよく見られるが、
他の花色のタイプも植栽されていて、元気に咲いていた。宮崎では、コーラル系統のハイビスカスが
露地越冬していたが、ハワイアン系は確認できなかった
その為、ハワイアン系は、最低温度が約10℃くらい(4℃の記録もある ※2016の寒波では1℃
八丈島のような温暖地のみで越冬ができることが分かった。
※1℃までさがったのは、沖縄でみぞれ・雪を観測した寒波の影響だと思われる

2017.9.29


コーラルハイビスカスのピンク。(5℃以上で越冬可能)9.29


9.29

この株は花も大きく、葉は丸型なのでハワイアン系だと思われる。
ハワイアン系統は、ハイビスカスの中では一番寒さに弱い種類。(できれば10℃で越冬させる)

備考:八丈島 9.28 9.29視察

八丈島 タコノキの北限地

2017年10月21日 | 関東植物
八丈島にいってきた。
八丈島は年平均17℃以上で冬も10℃をしたまわるのはほとんどない。




まず八丈島空港まわりの植物をみてみると。。

背の高いヤシが横に並んでいる。コスラヤシだと思ったのですが、もしかしたらケンチャヤシかもしれません。

八丈島空港

アップ




幹上がりのアロエ 八丈島空港 9.28

このような幹上がりのアロエは伊豆や宮崎では見たことがなかったので驚いた。
これは冬の最低温度が伊豆・宮崎よりも、高いことを示しているのだろうか?


9.28
道路沿いの壁面緑化はこのようにアロエがびっしり。
どのようにして植えたのか気になるくらい植栽されていました。

また、小笠原諸島から持ち込まれたタコノキが定着しており、もっとも北でタコノキが
生育している地域が八丈島だったので、視察しにいった。

まず八丈島植物公園にいった。



八丈島植物園 9.28
このタコノキは小笠原から持ち込まれた株だそう。

園内には、トックリランやケンチャヤシ、オーガスタなど熱帯植物が
自然に近い状態で生育していた。


トックリラン  八丈島植物園 9.28


タコノキ    八丈島植物園   9.28

これは竜血樹・・・。

八丈島植物園 9.28


ガジュマル   八丈島植物園   9.28


オオタニワタリ 八丈島植物園   9.28


街中にはタコノキがたまに見られる。果実がなっていて、十分に生育していた。
北限といっても、八丈島は温度が十分にあるようで、寒害で傷んだような個体は見られない。


街中のタコノキ  9.28 


ヘゴとタコノキ  9.28


八丈島熱帯植物園 9.28


9.29


民宿の株     9.29

 しかしながら、島内くまなく探しても熱帯植物(クロトンやポトス、トックリヤシ、パパイヤは、植栽されている場所はなかった)
また、タコノキは静岡(石廊崎)や鹿児島(指宿)など過去に氷点下に一度もならなかった地域が植栽の北限なので大丈夫である八丈島植物園は温室内でクロトンやトックリヤシを栽培していた。


9.28

園内のひとに聞くと、15℃以上必要の植物は冬傷むので、加温しているのこと。

八丈島植物園 9.28


八丈島植物園 9.28

八丈島では、熱帯植物と亜熱帯植物の生育気温の違いについて詳しく学ぶことができた。
ここでも冬は最低温度が7℃くらいなので、ゴムノキやビロウのような霜にあたらなけらば越冬可能の亜熱帯植物の植栽場には
向いているが、トックリヤシやクロトンのような高温性の熱帯植物にとっては少し寒い場所なのかもしれない。


※高温性の熱帯植物とは?・・・最低7℃、一般的に(10℃以上の温度)が越冬で必要な植物

例 ココヤシ、トックリヤシ、ドラセナ・マッサンゲアナ(幸福の木)、クロトン、サトイモ科(アグラオネマ、ディフェンバキア)など。

これらの植物の植栽は、小笠原(父島)、那覇、西表島、宮古島 、石垣島、与那国島の亜熱帯地域に限られる。

※低温に耐える(耐寒性のある)熱帯植物・・・セローム、インドゴム、モンステラ、ガジュマル、ビロウヤシ

同じく熱帯・亜熱帯が原産ながら、環境の適応性がある為か、東京・伊豆・宮崎、室戸岬、館山など霜が降りなく積雪が少ない温帯の地域でも越冬できる植物。


しかし、町中をよくみると少ないながら、伊豆、宮崎(冬季が最低0℃前後で霜の降りない地域)でも見かけなかった

サンタンカ、プルメリアなど高温性の熱帯植物が植栽されていた。 ※( )内は越冬で必要な最低温度。


サンタンカ(5℃~)9.29


カラテア (10℃~)9.29


プルメリア(5℃~)9.29


ドラセナ・コンシンネ(5℃~)9.29

黒潮の影響を受け、海洋性気候で温暖な八丈島はケンチャヤシやビロウ、コスラヤシの
植栽が多かった。

コスラヤシ 八丈島植物園 (0℃)9.28


ケンチャヤシ(0℃)9.28


ケンチャヤシ  9.28


奇形の2ヘッドケンチャヤシ 9.29


ビロウ (0℃)9.28

街路樹はケンチャヤシやビロウヤシがメインな植栽
で下草に宮崎や伊豆でみる耐寒性の強いハイビスカスの赤が多く扱われていた。しかし、八丈島はより温暖なのでハワイアン系などの耐寒性
が低い種類もみつかった


ハイビスカス赤(0℃)9.28


ケンチャヤシ(0℃~)9.29


ビロウヤシ(0℃) 9.28


ビロウヤシ 9.28

 八丈島の植栽できづいたのが、宮崎や伊豆よりも温暖な気候にかかわらず、街路樹ヤシは(ケンチャヤシ、ビロウ)で、ほとんど耐寒温度が0℃~の植物で、街中の庭の植物も、ストレチアニコライ、やヘゴ、ガジュマル、ゴムノキの半耐寒性の植物(0℃~)の植物がおもに扱われていていた。でも、プルメリア(屋久島以南から植栽可)やサンタンカ(耐寒温度5℃以上)などの植物が露地で越冬できるので、アレカヤシ、旅人の木も可能なはずで、もっとトロピカルな植栽が可能だと思われる。しかし、過去の気象データをみると厳寒期にみぞれが観測されたり、最低気温も時に4℃になる日が続く事もある事が分かった。つまり、その何年かの一度の寒波が関係しているのかもしれない。




ストレチアニコライ(0℃) 八丈島植物園  9.28


インドゴムノキ  (0℃) 八丈島植物園  9・28


モンステラ    (0度) 八丈島植物園   9.28