貧乏石好き

つれづれなるままに石をめぐりてよしなきことを

オプシディアンとガラス

2023-09-02 21:46:24 | おべんきょノート

「ブルー・オプシディアン」という名でヤフオクにお安く出ていたもの。



とても美しい。けど「(人工)ガラスじゃね?」と誰もが思う。
出品者さんいわく。
《コレクターが約30年程前に入手された石と聞いています。詳しい産地はよく分からないとの事ですが、中国の広西地方の火山地帯の地下深くから産出されたそうです。
譲り受けた時は一つの大きな石でしたが、重量がある為細かく割りました。割る前の原石には奥に秘めたハッキリとした虹色の発色が見られ、ここまで透明感のあるブルーの黒曜石は珍しいとの事です。》
あえて疑うつもりはない。ちょっと中国というのが気になるけど。元の大きな塊のままだったら人工ではないとはっきりしたかもしれない。

     *     *     *

オプシディアンと人工ガラスはどう違うか。何度も書いたけど、化学組成的には「流紋岩=花崗岩=オプシディアン=軽石」であって、含まれる元素は多様。
オプシディアンの組成の一例(名寄系朝日川、%)。( )内は岐阜県苗木の花崗岩組成。

SiO2    75.70    (76.83)
Al2O3   12,86    (12.47)
Na2O     3.80    (3.54)
K2O      3.56    (4.71)
FeO      1.72    (0.57 Fe2O3  0.33)
CaO      1.18    (0.70)
MgO      0.20    (0.037)
TiO2     0.12    (0.044)
MnO      0.03    (0.016)
P2O5     0.02    (0.002)

(出典:「北海道・東北地方を原産地とする黒曜石の定量・定性分析」。花崗岩はウィキペディア)
なお1%程度の水を含んでいることが多い。

一方、標準的な人工ガラス(ソーダ石灰ガラス)の組成は以下。

SiO       70~74
Na2O   12~16
CaO       6~12
MgO      0~4
AI2O3    0~2

(出典:SANSHIBAガラスコラム

チタン、鉄、マンガン、カリウム、リンなどは通常のガラスには含まれない。ただし色を出すために鉄やマンガンを入れることはある。
じぇんじぇん違いますね。化学組成を分析すれば容易にオプシディアンとガラスは区別できるということですね。こやつも……まあいいか。

     *     *     *

ともあれ、これは薄い青緑の色光がとても美しい。
人工ガラスでは青を出すにはコバルトや銅を添加するというから、これもコバルトか銅が入っているのだろうか。
けれど、他の石と並べると、全然趣が違って浮く。「鉱物」の質感がないから。何か別物ですな、こりゃ、という感じ。
でもそれもまた味わいと言えるかもしれません。

     *     *     *

おまけ。つか自分のためのメモ。安山岩の一般的化学組成。森北書店『化学辞典 第2版』より。

SiO2    59.59
Al2O3   17.31
Fe2O3    3.33
FeO      3.13
CaO      5.80
Na2O     3.58
MgO      2.75
K2O      2.04
TiO2     0.77
P2O5     0.26
MnO      0.18
H2O      1.26



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