なんにもない

　亭主が亡くなって半年が過ぎた。ばたばたと忙しい毎日に追い立てられて、ゆっくり感慨に浸っている間もない。仕事はがっつり残業の毎日。子供は中学生と高校生になったとは言え、弁当作りやら学校行事やらで結構振り回されている。挙句にチビ太郎と来たら、二月末には足の骨折、五月には腕の骨折とギプス祭り。リハビリにも送り迎えが必要ときたもんだ。
　猫どもは悪さし放題で、ルカなどは一時何を思ったのか布団でおしっこ・うんこをする癖がついてしまい、毎晩布団の洗濯をしなくてはならない週まであった。
　そんなこんなで、ふっと気が付くと、玄関先の植木やら花がことごとく枯れてしまった。亭主が毎朝水だけやってたけど、それだけでそこそこ生きていて花を咲かせていたのだが、いつの間にやら全滅状態。

　ありゃま。すんません。

　でもさ、無理やって。そんな全部一人でできませんから。

　しょうがないので、一度全部リセットすることにした。枯れてしまった木も雑草も全部処分し、植木鉢もとりあえず一度空にした。


　う～～～～む。玄関先がなんにもない。恐ろしくすっきりしたけれど、なんかえらい殺風景なことになってしまった。

　すっからかんになった玄関先を眺めながらふと思う。これって、今の私の心象風景なのかもな……。


　…なんか、植えよう。