丘を越えて~高遠響と申します~

ようおこし!まあ、あがんなはれ。仕事、趣味、子供、短編小説、なんでもありまっせ。好きなモン読んどくなはれ。

彷徨う心

2006年02月05日 | お仕事
 今週はディサービスは大荒れだった。原因はある認知症のおばあちゃま。仮にAさんとしよう。Aさんはとにかくすぐに「帰る!」と言い出す。ひどい時は朝、来所した直後から「もう帰らんなあかんな?ほな、帰りますわ。」と言い出す。色々な理由をつけて納得する事もあれば、何を言ってもダメな時がある。そうなったら、夕方4時までの長いこと、長いこと・・・。しまいには「このドしぶとい連中!」と罵りながら、平手でバシバシとスタッフをしばきにかかる。本気で殴るから痛いんだ、これがまた(泣)。うっかりすると玄関をぶっ壊してエスケープしそうなので、スタッフにとっても忍耐力と絶妙のコンビネーションが必要とされてくる。本当に疲れる・・・。
 いや、でも本人が一番つらいのだろう。自分が何故ここにいるのか、ここにいなければならないのか、さっぱり理解されていないのだ。きっと頭の中では「早く帰らなくてはまた家族に怒られる。」そんな思いが鳴門の渦潮のように渦巻いているのだ・・・。
 で、帰ったら落ち着くのかというと全然落ち着かないらしく、「実家に帰ります!」といって怒りまくっているそうだ。実家などはとっくの昔にないというのに・・・。心の中にはいつまでも優しかったお母さんの住む実家が存在しているのだろう。けれども悲しいかな、故郷には二度と辿り着かない・・・。

 Aさん、悲しいなぁ。帰りたいよなぁ。お母さんのトコに・・・。でもまだ、しばらくは帰れなさそうだよ。もうちょっと、我慢してね・・・。気分転換に、一緒に歌でも歌おうね。笑って一日過ごしてもらうために、いっぱいサービスするからね。来週も頑張って来てね。待ってるよ。


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2 コメント

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自分の老後をみているようで・・・ (海ねこ)
2006-02-05 12:18:50
ちえぞーさん、おひさしぶりです。



ずっとロムはさせていただいていましたが、

Aさんのキャラクターとその行動に、何か一つ書かずにはおれないような気持ちになり、ペンをとりました(違)・・・いえ、キーをたたいておりまする。



・・・最後のほう、読ませていただいてて涙がでてきましたよ。

Aさーん、ちえぞーさんのような優しい方が待ってはりますよ。

いつか、Aさんが笑顔で安心して、楽しめるようになれればいいな、と微力ながら祈ってます。
いらっしゃいませ~ (ちえぞー)
2006-02-06 09:39:07
海ネコさん。



 いえいえ、自分にそう言い聞かせながら、苛立つ気持ちをなだめているんですよ、正直なところ。

 そうでもしなくちゃ、自分と利用者さんとの温度差が一向に縮まらないんでねぇ・・・。

 いやはや、私も修行がまだまだ足りませんよ。海のような広い心を持ちたいものです。・・・ほど遠いなぁ、まだ。その辺のため池より狭い心ですわ。

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