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自然を守る法律とは?②

2008-05-06 21:31:28 | WWFマガジンより
・急がれる国内法の整備
 しかし、このジュゴン訴訟、原告団はなぜ日本ではなく、アメリカで提訴
したのでしょうか。その背景には、日本の国内法の現状と限界があります。

 環境省が国内の絶滅の恐れがある野生生物をまとめた「レッドリスト」には、
現在3155の動植物種がリストアップされています。しかし、このリストに掲載された
動植物は、必ずしも保護されているわけではありません。
 
 日本で野生生物やその生息地を保全する場合は、たとえば「絶滅のおそれのある
野生動植物種の種の保存に関する法律(種の保存法)」で「国内希少動植物種」に
指定されない限り、法的な保護は約束されないのです。
しかし現在のところ、国内希少動植物の指定を受けた生物は、わずかに73種。
哺乳類に至っては、アマミノクロウサギなど4種しか含まれていません。
国の事業によって追いつめられようとしているジュゴンは、もちろん対象外です。

 ジュゴンは国の天然記念物であり、水産資源保護法や鳥獣保護法などで
“保護”されていますが、これらの国内法では、捕獲や販売、譲渡などは
規制されても、生息環境まで保全することができません。
日本では、野生生物の保全を総合的に支える法律が、いまだ整備されて
いないのです。

 一方でアメリカには、1973年に制定された、世界で最も強力な野生生物の
保護法「絶滅のおそれのある種の法」(The Endangered Species Act;ESA)が
存在します。ESAでは、動植物だけでなく、その重要な生息地も保護の対象と
しており、行政にもこの両者を脅かす行為を回避するよう、厳しく義務づけて
います。

 ジュゴン訴訟の原告団も当初、ESAにジュゴンが指定されるていることを
根拠に提訴を考えていましたが、カルフォニアの環境法律事務所のアドバイスに
より、最終的にはNHPAでの提訴を行ない、勝利することができました。
過去にも、動物を原告とした自然環境の保全を求める訴訟が勝利した判例のある
アメリカでは、国や行政が行なっている行為に対し、市民や民間団体が司法を
通して意見を申し述べる際のハードルが日本より低かったことも、
この結果を勝ち得た一つの要因になったといえるでしょう。

 WWFは現在、沖縄のジュゴンのような地域の絶滅危惧種の保護活動に
取り組みながら、国内の野生生物を広く保護するため、生息環境を保全対象に
含めた、新しい法律の必要性を日本政府に対して訴えています。

 自然の中で行なう自然保護活動のイメージとは異なったものに思われるかも
しれませんが、国家議員に働きかけ、法を改正し、活用していくことが、
国内の野生生物を広く保護し、地域の活動に新たな可能性を開く一手になることは、
今回のジュゴン訴訟の例を見ても明らかです。

 日本でもようやく、法律や制度を通じて、市民が参加できる取り組みが
増えてきました。環境アセスメントには、市民が事業計画をチェックし、
意見を述べる機会が設けられていますし、徳島県や三重県のように、
住民が直接提案しながら、希少な野生生物を保護する条例を作った自治体も
あります。
 
 私たちが暮らす日本の野生生物を、日本の法律で守り、共存してゆくために、
ぜひ「法」の世界にも注目してみてください。〈広報担当:辻紀美代〉
(WWFマガジン)


 日本で指定されている天然記念物であるジュゴン。
この希少な生物を守る法律がない・・なんて恥ずかしい。
日本の生物を守るために、アメリカの法律に頼ることになったのです。
アメリカのように世界を考えて・・なんて、今の政府には望むべくもありませんけど
せめて、日本に住む動植物には、きめ細かい法律を作って欲しいですね。
弱者を切り捨てる法律を作る政府では、無理な注文ですか・・ね。

 こんな政府の元で、私たちは食料自給率をあげ、
里山を取り戻し、動植物との共存できる社会を創りあげていくことは
できないのでしょう。
私の一票は・・、どこへ行けばいいのでしょうか?


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