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浅田次郎『壬生義士伝(上下)』

2007-01-06 21:52:41 | 読書
『壬生義士伝(上下)』

 ご存知新撰組の隊士である吉岡貫一朗の話
貧しい盛岡藩で優秀な才気をもっていながら
下級武士であるため妻子を
養うこともままならない。
妻子のために脱藩し新撰組に身を投じ、
妻子、その身内にと
命を懸けて稼いだ金を送り続けながら、
武士であることも捨てられず
幕末の風雲に散った貫一郎。

明治の時代に生き残った人々の
回想という形で語られていく。

 武士にあるまじきお金に執着する貫一郎は
新撰組でも少し変わった存在だった。
いやな仕事(暗殺や同隊士の処刑とか)も
進んで引き受けるところがあった。
それもこれも、寒い遠い国にいる妻子のため・・
騒乱の時代を生き残るために
その道を選んだけれど、その最後は
選んだ道に殉じて、最後まで戦い果てる。
妻子を愛して生きたいと念じながらも
その道から逃げもせずに・・・

なんとも切ない物語でした。
自分の生きる道が限られてしまう悲しさ。
それでもその中で、
もがきながら生きていこうとする強さ。
いつの時代も、優しくはないけど
平和の中にいる私は良い時代に
生きていると思うのです。