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合理性だけではダメ?お金持ちになるために必要な想像力って

2017年08月10日 10時47分49秒 | お金の話
お金持ちになるために必要な想像力を鍛える
社会人の勉強というと、ビジネスに関する知識やスキルの習得に目が行きがちですが、それだけでは十分ではありません。なぜなら基本は人間同士のやりとりだからです。人はそれぞれ個別の利害や思惑を持っているがゆえに、必ずしも合理性だけでは動かないし、ましてや自分の思い通りに動いてはくれません。

突然ですが、ウルトラマンとバルタン星人は、どちらが正義でしょうか。普通の人は「ウルトラマン」と答えると思います。そして、ウルトラマンがバルタン星人を倒すところを見て、「やはり正義は勝つ」と感じるかもしれません。しかし、こう考えることもできます。

バルタン星人が地球に来たのは、故郷のバルタン星に住めなくなり、移住先を求めてのことだった。バルタン星人は、環境が良いこの星に住みたいと考え、家を建てようと整地を始めた。すると地球の科学特捜隊がやってきて、いきなり撃たれた。その痛みにのたうちまわっていたら、今度はウルトラマンが来て殺されてしまった。

故郷に残された妻と子どもが父を失った悲しみに打ちひしがれる一方、ウルトラマンはバルタン星人を殺した殺人者として指名手配された。賞金首となったウルトラマンを追って、たくさんの怪獣たちが地球に向かったものの、次々と返り討ちにされてしまった――。

ただ一言確認するだけ
もちろんこれは単なる創作ですが、何が言いたいかというと、「バルタン星人にはバルタン星人なりの正義がある」ということです。客観的な正義などは、どこにも存在せず、10人いれば10通りの正義があります。バルタン星人の正義とウルトラマンの正義、科学特捜隊の正義もハヤタ・シン隊員の正義も違う。

にも関わらず、ただ自分の正義と相手の正義をぶつけるだけでは、最後は戦争です。現実にも、世界はそういう状況になっています。

国家間の問題はより複雑ですが、日常生活において私たちが勉強しなければならないのは、相手やものごとの背景です。背景を知れば、より状況に合った適切な対処ができるからです。

たとえば商談でも、「納入価格をあと10%下げてくれませんか」「昨年下げたばかりですから無理です」「では今後の取引は打ち切りで」といった対応をする人は多くないと思います。そんな結果を持って帰っても、上司から「コイツ使えねえ」の烙印を押されるだけでしょう。

普通なら、たとえば

「納入価格をあと10%下げてくれませんか」
「昨年下げたばかりですが、どうされたんですか?」
「いやあ、コストが厳しく、上司から詰められていまして……」
「そうですか、しかし厳しいのはウチも同じでして……。では、10%下げる代わりに、納品数をあと10%増やしてもらえませんか。それならお宅もウチもメリットありますよね」

というふうに、着地点を目指して交渉するでしょう。

同じように、科特隊やウルトラマンがまずやるべきだったのは、

「バルタン星人さん、なぜ街を壊すんですか、地球の人が困っているのでやめてください」

などと確認することではなかったか(バルタン星人は人間に乗り移ってコミュニケーションでき、のちに地球の言語も習得している)。

そしてたとえば「地球人と同じ大きさになってもらう」「地球の法律・文化に従ってもらう」「バルタン星の科学力で、地球に貢献してもらう」などの交換条件をすりあわせて折り合いがつけば、落としどころや良い解決策が見つかるかもしれない。そうなれば、バルタン星人の妻子を路頭に迷わせることもなかったのではないでしょうか。

相手の事情を推し量る想像力
人間関係でも同じで、最初から自分の正義を押し付けるのではなく、まず相手の動機や理由などを確認することが必要です。聞けない場合も、できるだけ相手の事情や気持ちを読もうと、想像力を働かせることです。

しかし多くの人は、前述のような「どうされたんですか?」の一言すら言えない。

ちょっと自分にとって気に入らない態度を取られたら、「あの人は私のことが嫌いなんだ」と勝手に決めつけ自分からプイッと距離を置く。相手に悪気はなく、たまたま悩み事があったのかもしれないとか、たまたま忙しくて余裕がなかったのかもしれないとか、想像すらしようとしない。

そういった想像力が欠如している人の特徴が顕著に出るのがネットで、匿名で意見を言えるために、自分の正義の押し付けによる集団リンチが横行しています。いわゆる「炎上」です。これはまさに、相手の状況や背景を知ろうとすることなく、いきなり襲いかかるウルトラマンと同じと言えます。

自分のモノサシだけで相手や社会を判断するのではなく、事情や背景を想像したり知ろうとする姿勢は、人間関係を円滑にしてくれるだけではなく、より相手のニーズに合致した提案ができます。それはすなわち、仕事の成果にもつながるのではないでしょうか。
(文:午堂 登紀雄)
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