ためぞうの冒険 II 第三十四話。
「梅の花の咲く頃に。」
ためぞうは、何となく一年間くらい、
頑張りました。
そもそもタイトルが、「冒険」だったのが、
間違いの元なのです。
ためぞう「・・・冒険は、出来ていない。
ゲームとかでは、しっかりやってるんだが。」
そろそろ、苦しくなってきたので、
「きらめき、ためぞうの学園生活(仮)」辺りに、
変更してみませんか?
ためぞう「変更できるなら、ぜひ!
冒険出来ていない自分に、
それは、ありがたい様な気がします。」
ためぞうは、ワープしました。
- セントクラウス学園、第うにゃうにゃ回、卒業式。 -
ためぞう「卒業はワナだから気をつけなさいと、
エリナ先生に言われていたんですが、
ためぞうは、そろそろ仕事に戻っていいでしょうか?」
タイトルを変えるのですから、一度くらいは卒業してもらわないと・・・。
また入学すればいいだけですよ。
何度でも入学できますので。
ためぞう「あの入試難度で、二度目などないわっ!
オレの知力は、3しかないんだぞ、
5科目合計で2500点は無理過ぎるだろう。」
ためぞうさんは、知らないかもしれませんが、
テスト無しでも入学できるんですよ。
例えば、1秒間に15・5回、ボタンを押すとか。
ノーミスで、スーパーマリモをクリアするなど、
とにかく、一芸でいけるんです。
やる気が出てきましたか?
ためぞう「オレは騙されんぞ、
そもそも卒業式に、誰もいねーじゃねーかよ!」
卒業式の会場となっている第二体育館には、
ためぞう以外誰もいません。
ためぞうは、よく周りを見回して、
確実にニセ行事である事を確認すると、
凄まじい勢いで気合いを溜め始めました。
ためぞう「ためぞう、インフィニティーー!!」
ためぞうの纏う闘気が、どんどん上がっています。
ためぞうは、禁じられた奥義である、
『ジャスティスモード』を発動しようとしています!
冒険やってもないくせに、ちゃっかり必殺技のようなものは、
習得していたようです。
ためぞう「誰が黒幕かは知らんが、オレはその試練を乗り越えよう!」
強烈な閃光がためぞうから、
いや、ジャスティス=ためぞうから放たれています。
ためぞうは、試練を乗り越える意味を理解しているからこそ、
隠された力である、ヒーローモードを発動しています。
試練は避けると、他の誰かを巻き添えにしてしまう事があるのです。
ジャスティス=ためぞう「そこにいるな!」
ためぞうは、あっさり黒幕を見つけました。
体育館のビロードの幕に隠れていました。
黒幕のセリカさん「ムムッ! 逃げるが勝ち?」
ジャスティス=ためぞう「ジャスティスビーーームッ!」
高出力で放たれたヒーロー攻撃に、
セリカさんは避け切れません!
ためぞうのビーム攻撃 → セリカさんに3500ダメージ!
セリカさん「うおっ、シールド突き抜けてきたよ!!」
セリカさんは割といつも、とても強力なシールドを展開しています。
そのシールドが何故か無効化されているのです。
ツッコミは、避けてはいけないの本能が、
セリカさんのシールドに、勝手に穴を開けていました。
セリカさん「・・・やばいね、次もらうと、戦闘不能だね。」
外では、綺麗に咲いた梅の花を、
サフィリアさんたちが、花見しながらお弁当を食べています。
ためぞうの煌きレベルが上がっていくと、
なんだかかなりのイケメンになってきました。
この今のためぞうを見ても、
すぐにはためぞうだとは、気付けないでしょう。
セリカさん「ふっふっふっ・・・ためさん、
ためさんは、すでに負けている!」
ジャスティス=ためぞう「な、なんだとぉ!?」
セリカさん「そこまで強くなったためさんに、
もはや、エリスさんは不要とみた!
越えちゃってるじゃん。」
ためぞう「オ、オレとした事が!?」
ためぞうは、ふにゃんと気合いを失い、
ただのためぞうに戻りました。
すかさず、セリカさんの反撃が来るッ!
セリカさん「グレイテスト=ギャラクシー=ドラゴンアッパーカットゥ!!」
アッパーの威力は、バツグンだぞ! → ためぞうに6800ダメージ!!
もろにアッパーを喰らったためぞうは、
天井に叩き付けられ、
紙切れのように舞い落ちてきました。
ためぞうは、戦闘不能になった。
セリカさん「お弁当、食べに行ってくるー。」
ためぞう「・・・オレを回復していけよ・・・う、コテッ。」
セリカさんはそ知らぬ顔で、第二体育館を後にすると、
サフィリアさんたちと一緒に、お花見弁当です。
ためぞうは、動けない・・・。
日が傾いて、辺りが静かになってくると、
ためぞうは、ちょっと寂しくなりました。
ためぞう「誰か来て・・・。」
たまたま部活も休みで、使われなかった体育館の天井を見上げると、
ためぞうは、今までの一年間を振り返ってしまいます。
ためぞう「卒業の方向にいかないでっ!
ニセなんだよね?
出来れば、ちゃんとした形で、
乙女さんとの想い出付きで、卒業させてw
同窓会とかも、期待の持てる方向で、
流れを作っておきたい。」
ガラガラ・・・。
体育館の扉が開いている事に気が付いた事務のセリスさんが、
ついでにためぞうにも気が付いてくれました。
ためぞう「た、助かった!」
セリスさん「それは、ぬか喜びですー。
私は、回復魔法とか使えないので、
使える方を呼んで来ますね。」
それでは、選択肢でぇす!
・ 誰に、優しく回復魔法をかけてもらいたいですか?
→ モチモチすべすべ肌のナイスバディ、サフィリアさん。
運動万能、スレンダーな美白の美少女 レミーアさん。
関東から来た大和撫子、椿の艶の黒髪の美少女 レイカさん。
無限の可能性を秘めた、ちっちゃい美少女リンカさん。
そろそろお花屋さんの仕事を終えそうな、大人なファルさん。
何が起こるかわからない、無敵女教師のエリナ先生(19)。
回復魔法が使えるか謎な、でもイチオシのエリス様。
ためぞう「・・・選択肢を7つも同時に出せるとは!?
ここは、無難にねーさんでいいや。」
セリスさん「はーい。」
セリスさんからのメールを見たエリスねーさんは、
慌てて、第二体育館にやって来ました。
エリスねーさん「おい、大丈夫か、ためぞー!」
ためぞう「な、長かった・・・。」
エリスねーさんは、困りました。
ためぞうを回復させる魔法が使えません。
エリスねーさん「ん? なんだこれ。」
ためぞうの横に、エナジー回復ドリンクのビンが置かれています。
エリスねーさん「これ、飲めばいいんじゃねーの?」
ためぞう「セリスさん、気付いてました?」
セリスさん「ひゅ~るるる~♪」
エリスねーさんは、ためぞうにエナジードリンクを飲ませた。
ためぞうが、ギンギンに復活した!
ためぞう「・・・無駄な元気が溢れてくる。
セリカさんは、いつもこんなの飲んでるのか。」
エリスねーさん「良かったな、ためぞう!」
エリスねーさんが笑っています。
ためぞうは、この笑みをみると、いつもなんだかホッとするのです。
セリスさん「良かったら、今夜は花見で一杯やりませんか?
たくさん梅が咲いている場所を知ってるんです。」
エリスねーさん「もしかして、おそば屋さんの近く?
ノルン姐さんが、出前取ってくれるんだよ。
店内からも綺麗に見えて、いいんだよね。」
セリスさん「そうなんです、ライトアップとかしてくれてて、
綺麗ですよね。」
セバリオスさんが、セリスさんを迎えにやって来ました。
何故か、セリカさんも付いてきています。
セリカさん「おそばレーダーに探知があったのです。
いつもヒマでごろごろしてるので、
良かったら連れてってください。」
エリスねーさん「セバリオス、そば食い行こうぜ!
ためぞーも行くよな?」
ためぞう「行く。」
セバリオスさん「では、レオクス君も呼んで、一緒に行こう。」
そうやって、セバリオスさんの車にみんなで乗り込むと、
俊足を飛ばして、レオクスさんがやって来ました。
どうやら、ランニングの途中だったらしく、
紺のフリースにオシャレなスニーカーという格好です。
レオクスさん「着替えてなくてすいません。
音速で駆け抜けてきましたよ。」
セバリオスさん「はい、タオル。
柔軟剤にはこだわっているんだ。」
ほのかに汗の香るレオクスさんが、
車内へと乗り込んできます。
お花の芳香剤のタオルも、いい匂いがしますが、
レオクスさんから流れる汗は、
とても若々しい、甘いメロンのような香りです。
エリスねーさん「(これが、王子様の香りなのか!?
すげー。)」
セリスさん「(ああ、こういう王子様の空気もいいですねぇ。)」
途中、ノルンさんのいる長崎ドラゴン魚市場に寄ると、
そこには、エストさんと事務の鈴木さん、佐藤さんもいました。
エリスねーさん「そば食べいかね?」
ノルンさん「おー行く行く!」
鈴木さん+佐藤さん「ぜひ、お願いしますー!」
こうして、ノルンさん行き付けのおそば屋さんに到着しました。
そば屋の大将さん「おお、ノルンちゃん、今日はにぎやかだね。」
ノルンさん「大将、いい席空いてる?」
そば屋の大将さん「おう、ノルンちゃんの頼みなら、
オジサン、ことわれねえな!
奥にある、別邸を使いなよ。」
大将さんの心意気で、離れの広間を使うことが出来ました。
梅の花が満開に咲く庭園を、ゆったりと望む事ができる立派な部屋です。
ためぞう「そば打ちの指導、これからもよろしくお願いします。」
そば屋の大将さん「いつでもおいでよ。
ノルンちゃんの弟分なんだよな。」
ためぞう「ありがとうございます!」
ためぞうたちは、席に着きました。
ちょうどレオクスさんが窓側に座ったので、
堂々と梅の花を見ながら、レオクスさんも見れます。
鈴木さん「いいですねー、王子様ですねー。
梅の花もきれいですー。」
佐藤さん「キレイなものを見るって、素晴らしいことですよね。
どきどきしちゃいます。」
エリスねーさんと、ノルンさんはメニューを見ながら相談中です。
エリスねーさん「天そば御前に、花見酒でいいかな?
未成年は、各自、好きなドリンクで。
ノンアルコールの梅サワーとかいいんじゃない?」
エストさん「炭酸いいですねー。
私は、それを頂いちゃおうかな。」
ノルンさん「それじゃ、注文するねー。」
セリカさん「おそばの神様に感謝。」
セバリオスさんとレオクスさんが、
こそこそと話し始めました。
セバリオスさん「ひそひそ・・・、
エリスはある程度酔うと、性格がかなり変わるのだ。」
ためぞう「・・・変わりますね。」
レオクスさん「なるほど・・・それは、とても興味あります。」
ためぞうも加わって、あれこれ話しています。
鈴木さんと佐藤さんにとっても、エリスねーさんの情報は重要なので、
こそっと聞き耳を立てています。
セバリオスさん「まあ、一言で言うと、
ツンデレのデレの部分がハンパないな。
あんな顔して、すんごい甘えて来る。
それに、とても素直だ。」
レオクスさん「むはっ・・・。」
鈴木さん+佐藤さん「(おー萌えますねっ!!
そんなにギャップ凄いんですね。)」
セバリオスさん「個人的に、あれは秘かに楽しむべきであって、
公然とした場所で、アレをやられると、
エリスの変なウワサが立って、
たぶん、こっそり人気が出る。
私が近くにいるから、エリスは求婚されないだけで、
だが、いくら私が頑張って妨害しても、
ツンデレ乙女の正体を知った者達を果たして止められるかどうか。
ちなみに、未成年の頃のエリスは、
もっと分かりやすかったので、
お酒なしでもたまにそうなる事があった。」
レオクスさん「ここは、守っておかないといけませんね。」
セバリオスさん「うん。
女子のお泊り会だったりすると、
気にもならないのだが、
エリスを簡単に嫁にやる気なんてないからね。
親父でも何でもないんだか、とりあえず言ってみた。」
鈴木さん+佐藤さん「(お姉さんのヒミツを守り抜きましょう!
お泊り、楽しみだなぁ!!)」
あれこれ話している内に、
豪華な天そば御前が席へと運ばれて来ました。
大将さんが、ノルンさんの為に吟醸酒を振舞ってくれました。
ノルンさん「おお、ありがとー!」
大将さん「お得意様への感謝だから、気にせず飲んでね。
(エリス嬢ちゃんの話、聞かせてもらったぜ。)」
達人には、聞こえてしまうらしいのです。
セバリオスさん「いやー吟醸酒、美味そうだね。
(大将の策から、エリスを守らなければね。)」
レオクスさん「わ、私も飲みたいです! (共に行きましょう!)」
サクッと揚がった天ぷらは、風味と甘みがあってとっても美味しいです。
十割りのおそばも、コシがあってのど越しなめらかです。
鈴木さん「おいしーい!」
佐藤さん「うん、とっても!」
ノルンさん「そりゃ、良かった。
いつでも、連れて来てあげるからね。」
エストさん「はふはふ・・・よろしくお願いします!」
ためぞうは、このそばを打てるようになりたいと、
味わって食べています。
エリスねーさんは、グラスで吟醸酒を飲んでいます。
エリスねーさん「うめー!」
飲みやすいお酒ですが、度数が20度くらいあるので、
結構、あとから酔いが来ます。
セバリオスさんは、まったく酒には酔わない体質なので、
グラスでごくごく飲んでいます。
セバリオスさん「食事に合うよね、日本酒って。」
レオクスさん「とっても美味しいですね。」
レオクスさんは、すでにぽやんと赤くなっています。
ブロックの意味ではあまり期待出来そうにがありませんが、
顔立ちが女性のような感じなので、
頬に紅が差したその表情は、とても艶があって素敵です。
レオクスさんは、酔うとよく笑うようになります。
真面目すぎる性格から、丁度いいくらいのご機嫌な感じに優しくなります。
ノルンさん「ごくごく・・・。
(こんなにキレイな男がいるのかってくらい美人だなー。)
大将! お酒、もう一本持ってきて。」
セバリオスさん「・・・。」
大将さん「あいよっ!」
セバリオスさんと、そば屋の大将さんとの、
見えない戦いが始まりました。
さりげなく、お酒がすすむおつまみなど、差し入れてくれます。
このやりとりが、梅の花の咲く舞台を前にして、
一時間ほど繰り返されました。
・ お酒の回り具合。
ノルンさん = 余裕。
セバリオスさん = 全く余裕。
レオクスさん = ほろ酔い気分+1
セリスさん = 余裕+1
エリスねーさん = わりと酔ってる。
セバリオスさん「そろそろ、お開きにした方がいいんじゃないの?」
大将さん「せっかくみんなで来てくれてるんだから、
遠慮しないで、ゆっくりしていってよ。」
大将さんは、ノルンさんから注文を取っています。
ノルンさん「みんな、まだ平気だよね。
大将、お任せでよろしくー!」
セリカさん「お土産もよろしくー!」
大将さん「あいよっ!」
セバリオスさんは、大将やるな! と思いました。
大将さんの持ってくる吟醸酒は、
口当たりもなめらかで、ほのかにメロンのような香りがする、
素晴らしいセレクトなのです。
こんなに美味しいお酒を、
エリスねーさんに飲むなとは、
さすがにセバリオスさんも言えません。
セバリオスさんは、相手にも快く賛辞を送ることの出来る、
わりと心が広い方なので、
エリスねーさんが変な事になるのも、仕方ないと、
美味しく料理を頂く事にしました。
エリスねーさん「このお酒、ほんとに美味しいね。
姐さんの行き付けのおそば屋さんで、
はしゃいじゃってごめんね。」
ノルンさん「私と大将の仲だから、エリスが気にするなって。
ここ、離れになってるから、大丈夫だよ。」
レオクスさん「エリスさんは、私が守る!」
レオクスさんも、相当酔っています。
エリスねーさん「えーーっ!
・・・ま、守ってもらっちゃおうかな。」
レオクスさん「うはぁ!」
レオクスさんが、ノックアウトされました。
ためぞう「じわじわ、変わり始めとるな。」
鈴木さん+佐藤さん「そーなんだ。」
レオクスさんは、恥ずかしそうな顔をして、外の梅の花を眺めています。
そういう経験値はほぼゼロに等しいレオクスさんは、
心の中で、ひたすらに算数ドリルを解き続けています。
レオクスさん(・・・危うく、ためぞう君の冒険を終わらせてしまう所だった。
つい、嬉しさのあまり、KOされてしまったが。
エリスさんはいい!
だが、ためぞう君にはエリスさんが必要なんだ。
・・・でも、いい夢は見ました。てへ。)
だいぶ、レオクスさんも酔ってしまっているようです。
さらに一時間が経過します。
セリカさん「また、ご馳走してねー。」
セリカさんは、天ぷらのお土産を持って、
一人カラオケに行きました。
レオクスさんと、エリスねーさんの酔いが、
かなり回っています。
セリスさんは、エリスねーさんの横で、
ぴったりくっついて、お酒を飲んでいます。
そんなエリスねーさんですが、
とてもニコニコしています。
ためぞう「セバリオスさん、レオクスさん、
ねーさんそろそろっすよ。」
セバリオスさん「エリスが楽しいんじゃ、仕方がないね。」
レオクスさん「・・・いや、頑張りましょうよ、
セバリオスさん。」
セバリオスさん「そう?
なら、ちょっとだけ頑張ってみよう。」
ノルンさんと、大将さんは、
世間話で盛り上がっています。
大将さん、なかなかいい位置取りです。
そんな大将さんに、エリスねーさんはこう言います。
エリスねーさん「おそばも、天ぷらも美味しかったです。
私だけの時でも、また、寄らさせてくださいね。
今日は本当に、ありがとうございます。」
頬を赤く染めたエリスねーさんは、上目遣いに言いました。
その心からの言葉に、大将さんは心を射抜かれます。
優しく微笑むその笑顔を見ると、
胸の奥が、温かなもので満たされる気持ちでした。
それでいて、その感じをニコニコとした笑顔で、
緩やかなものにしてくれています。
ためぞう「案外、しっかりしてるなぁ。
酔ってるのは見た目だけなのか?」
大将さん「俺の作ったものをこんなに綺麗に食べてくれて、
料理作ってて良かったよって、思うその瞬間が、
まさに今だよ。
こっちまで、笑顔にさせられちまうや。」
この時、大将さんとセバリオスさんと、レオクスさんの間に、
友情のようなものが芽生えました。
『我ら、生まれた日は違えども、
共に、この微笑みを守っていこうよ! の会。』みたいな感覚です。
鈴木さん「友情って素晴らしいですよね!」
佐藤さん「天そばって、素晴らしいですー。」
帰り際、セリスさんがお会計をしていると、
こっそりと何かが入った封筒を、大将さんに渡しました。
セリスさん「(・・・エリス様のデレの時の生写真ですー。)」
大将さん「おお・・・ありがとう、お嬢さん!!」
こうして、夜の梅の花と、大将さんに見送られて、
セバリオスさんの車へと乗り込み、みなさん家路へと着きました。
その次の日の朝・・・。
長崎ドラゴン魚市場。
そば屋の大将さん「次、いつエリスちゃん連れて来るの?」
ノルンさん「お魚、買いに来たんじゃないの!?」
「梅の花の咲く頃に。」
ためぞうは、何となく一年間くらい、
頑張りました。
そもそもタイトルが、「冒険」だったのが、
間違いの元なのです。
ためぞう「・・・冒険は、出来ていない。
ゲームとかでは、しっかりやってるんだが。」
そろそろ、苦しくなってきたので、
「きらめき、ためぞうの学園生活(仮)」辺りに、
変更してみませんか?
ためぞう「変更できるなら、ぜひ!
冒険出来ていない自分に、
それは、ありがたい様な気がします。」
ためぞうは、ワープしました。
- セントクラウス学園、第うにゃうにゃ回、卒業式。 -
ためぞう「卒業はワナだから気をつけなさいと、
エリナ先生に言われていたんですが、
ためぞうは、そろそろ仕事に戻っていいでしょうか?」
タイトルを変えるのですから、一度くらいは卒業してもらわないと・・・。
また入学すればいいだけですよ。
何度でも入学できますので。
ためぞう「あの入試難度で、二度目などないわっ!
オレの知力は、3しかないんだぞ、
5科目合計で2500点は無理過ぎるだろう。」
ためぞうさんは、知らないかもしれませんが、
テスト無しでも入学できるんですよ。
例えば、1秒間に15・5回、ボタンを押すとか。
ノーミスで、スーパーマリモをクリアするなど、
とにかく、一芸でいけるんです。
やる気が出てきましたか?
ためぞう「オレは騙されんぞ、
そもそも卒業式に、誰もいねーじゃねーかよ!」
卒業式の会場となっている第二体育館には、
ためぞう以外誰もいません。
ためぞうは、よく周りを見回して、
確実にニセ行事である事を確認すると、
凄まじい勢いで気合いを溜め始めました。
ためぞう「ためぞう、インフィニティーー!!」
ためぞうの纏う闘気が、どんどん上がっています。
ためぞうは、禁じられた奥義である、
『ジャスティスモード』を発動しようとしています!
冒険やってもないくせに、ちゃっかり必殺技のようなものは、
習得していたようです。
ためぞう「誰が黒幕かは知らんが、オレはその試練を乗り越えよう!」
強烈な閃光がためぞうから、
いや、ジャスティス=ためぞうから放たれています。
ためぞうは、試練を乗り越える意味を理解しているからこそ、
隠された力である、ヒーローモードを発動しています。
試練は避けると、他の誰かを巻き添えにしてしまう事があるのです。
ジャスティス=ためぞう「そこにいるな!」
ためぞうは、あっさり黒幕を見つけました。
体育館のビロードの幕に隠れていました。
黒幕のセリカさん「ムムッ! 逃げるが勝ち?」
ジャスティス=ためぞう「ジャスティスビーーームッ!」
高出力で放たれたヒーロー攻撃に、
セリカさんは避け切れません!
ためぞうのビーム攻撃 → セリカさんに3500ダメージ!
セリカさん「うおっ、シールド突き抜けてきたよ!!」
セリカさんは割といつも、とても強力なシールドを展開しています。
そのシールドが何故か無効化されているのです。
ツッコミは、避けてはいけないの本能が、
セリカさんのシールドに、勝手に穴を開けていました。
セリカさん「・・・やばいね、次もらうと、戦闘不能だね。」
外では、綺麗に咲いた梅の花を、
サフィリアさんたちが、花見しながらお弁当を食べています。
ためぞうの煌きレベルが上がっていくと、
なんだかかなりのイケメンになってきました。
この今のためぞうを見ても、
すぐにはためぞうだとは、気付けないでしょう。
セリカさん「ふっふっふっ・・・ためさん、
ためさんは、すでに負けている!」
ジャスティス=ためぞう「な、なんだとぉ!?」
セリカさん「そこまで強くなったためさんに、
もはや、エリスさんは不要とみた!
越えちゃってるじゃん。」
ためぞう「オ、オレとした事が!?」
ためぞうは、ふにゃんと気合いを失い、
ただのためぞうに戻りました。
すかさず、セリカさんの反撃が来るッ!
セリカさん「グレイテスト=ギャラクシー=ドラゴンアッパーカットゥ!!」
アッパーの威力は、バツグンだぞ! → ためぞうに6800ダメージ!!
もろにアッパーを喰らったためぞうは、
天井に叩き付けられ、
紙切れのように舞い落ちてきました。
ためぞうは、戦闘不能になった。
セリカさん「お弁当、食べに行ってくるー。」
ためぞう「・・・オレを回復していけよ・・・う、コテッ。」
セリカさんはそ知らぬ顔で、第二体育館を後にすると、
サフィリアさんたちと一緒に、お花見弁当です。
ためぞうは、動けない・・・。
日が傾いて、辺りが静かになってくると、
ためぞうは、ちょっと寂しくなりました。
ためぞう「誰か来て・・・。」
たまたま部活も休みで、使われなかった体育館の天井を見上げると、
ためぞうは、今までの一年間を振り返ってしまいます。
ためぞう「卒業の方向にいかないでっ!
ニセなんだよね?
出来れば、ちゃんとした形で、
乙女さんとの想い出付きで、卒業させてw
同窓会とかも、期待の持てる方向で、
流れを作っておきたい。」
ガラガラ・・・。
体育館の扉が開いている事に気が付いた事務のセリスさんが、
ついでにためぞうにも気が付いてくれました。
ためぞう「た、助かった!」
セリスさん「それは、ぬか喜びですー。
私は、回復魔法とか使えないので、
使える方を呼んで来ますね。」
それでは、選択肢でぇす!
・ 誰に、優しく回復魔法をかけてもらいたいですか?
→ モチモチすべすべ肌のナイスバディ、サフィリアさん。
運動万能、スレンダーな美白の美少女 レミーアさん。
関東から来た大和撫子、椿の艶の黒髪の美少女 レイカさん。
無限の可能性を秘めた、ちっちゃい美少女リンカさん。
そろそろお花屋さんの仕事を終えそうな、大人なファルさん。
何が起こるかわからない、無敵女教師のエリナ先生(19)。
回復魔法が使えるか謎な、でもイチオシのエリス様。
ためぞう「・・・選択肢を7つも同時に出せるとは!?
ここは、無難にねーさんでいいや。」
セリスさん「はーい。」
セリスさんからのメールを見たエリスねーさんは、
慌てて、第二体育館にやって来ました。
エリスねーさん「おい、大丈夫か、ためぞー!」
ためぞう「な、長かった・・・。」
エリスねーさんは、困りました。
ためぞうを回復させる魔法が使えません。
エリスねーさん「ん? なんだこれ。」
ためぞうの横に、エナジー回復ドリンクのビンが置かれています。
エリスねーさん「これ、飲めばいいんじゃねーの?」
ためぞう「セリスさん、気付いてました?」
セリスさん「ひゅ~るるる~♪」
エリスねーさんは、ためぞうにエナジードリンクを飲ませた。
ためぞうが、ギンギンに復活した!
ためぞう「・・・無駄な元気が溢れてくる。
セリカさんは、いつもこんなの飲んでるのか。」
エリスねーさん「良かったな、ためぞう!」
エリスねーさんが笑っています。
ためぞうは、この笑みをみると、いつもなんだかホッとするのです。
セリスさん「良かったら、今夜は花見で一杯やりませんか?
たくさん梅が咲いている場所を知ってるんです。」
エリスねーさん「もしかして、おそば屋さんの近く?
ノルン姐さんが、出前取ってくれるんだよ。
店内からも綺麗に見えて、いいんだよね。」
セリスさん「そうなんです、ライトアップとかしてくれてて、
綺麗ですよね。」
セバリオスさんが、セリスさんを迎えにやって来ました。
何故か、セリカさんも付いてきています。
セリカさん「おそばレーダーに探知があったのです。
いつもヒマでごろごろしてるので、
良かったら連れてってください。」
エリスねーさん「セバリオス、そば食い行こうぜ!
ためぞーも行くよな?」
ためぞう「行く。」
セバリオスさん「では、レオクス君も呼んで、一緒に行こう。」
そうやって、セバリオスさんの車にみんなで乗り込むと、
俊足を飛ばして、レオクスさんがやって来ました。
どうやら、ランニングの途中だったらしく、
紺のフリースにオシャレなスニーカーという格好です。
レオクスさん「着替えてなくてすいません。
音速で駆け抜けてきましたよ。」
セバリオスさん「はい、タオル。
柔軟剤にはこだわっているんだ。」
ほのかに汗の香るレオクスさんが、
車内へと乗り込んできます。
お花の芳香剤のタオルも、いい匂いがしますが、
レオクスさんから流れる汗は、
とても若々しい、甘いメロンのような香りです。
エリスねーさん「(これが、王子様の香りなのか!?
すげー。)」
セリスさん「(ああ、こういう王子様の空気もいいですねぇ。)」
途中、ノルンさんのいる長崎ドラゴン魚市場に寄ると、
そこには、エストさんと事務の鈴木さん、佐藤さんもいました。
エリスねーさん「そば食べいかね?」
ノルンさん「おー行く行く!」
鈴木さん+佐藤さん「ぜひ、お願いしますー!」
こうして、ノルンさん行き付けのおそば屋さんに到着しました。
そば屋の大将さん「おお、ノルンちゃん、今日はにぎやかだね。」
ノルンさん「大将、いい席空いてる?」
そば屋の大将さん「おう、ノルンちゃんの頼みなら、
オジサン、ことわれねえな!
奥にある、別邸を使いなよ。」
大将さんの心意気で、離れの広間を使うことが出来ました。
梅の花が満開に咲く庭園を、ゆったりと望む事ができる立派な部屋です。
ためぞう「そば打ちの指導、これからもよろしくお願いします。」
そば屋の大将さん「いつでもおいでよ。
ノルンちゃんの弟分なんだよな。」
ためぞう「ありがとうございます!」
ためぞうたちは、席に着きました。
ちょうどレオクスさんが窓側に座ったので、
堂々と梅の花を見ながら、レオクスさんも見れます。
鈴木さん「いいですねー、王子様ですねー。
梅の花もきれいですー。」
佐藤さん「キレイなものを見るって、素晴らしいことですよね。
どきどきしちゃいます。」
エリスねーさんと、ノルンさんはメニューを見ながら相談中です。
エリスねーさん「天そば御前に、花見酒でいいかな?
未成年は、各自、好きなドリンクで。
ノンアルコールの梅サワーとかいいんじゃない?」
エストさん「炭酸いいですねー。
私は、それを頂いちゃおうかな。」
ノルンさん「それじゃ、注文するねー。」
セリカさん「おそばの神様に感謝。」
セバリオスさんとレオクスさんが、
こそこそと話し始めました。
セバリオスさん「ひそひそ・・・、
エリスはある程度酔うと、性格がかなり変わるのだ。」
ためぞう「・・・変わりますね。」
レオクスさん「なるほど・・・それは、とても興味あります。」
ためぞうも加わって、あれこれ話しています。
鈴木さんと佐藤さんにとっても、エリスねーさんの情報は重要なので、
こそっと聞き耳を立てています。
セバリオスさん「まあ、一言で言うと、
ツンデレのデレの部分がハンパないな。
あんな顔して、すんごい甘えて来る。
それに、とても素直だ。」
レオクスさん「むはっ・・・。」
鈴木さん+佐藤さん「(おー萌えますねっ!!
そんなにギャップ凄いんですね。)」
セバリオスさん「個人的に、あれは秘かに楽しむべきであって、
公然とした場所で、アレをやられると、
エリスの変なウワサが立って、
たぶん、こっそり人気が出る。
私が近くにいるから、エリスは求婚されないだけで、
だが、いくら私が頑張って妨害しても、
ツンデレ乙女の正体を知った者達を果たして止められるかどうか。
ちなみに、未成年の頃のエリスは、
もっと分かりやすかったので、
お酒なしでもたまにそうなる事があった。」
レオクスさん「ここは、守っておかないといけませんね。」
セバリオスさん「うん。
女子のお泊り会だったりすると、
気にもならないのだが、
エリスを簡単に嫁にやる気なんてないからね。
親父でも何でもないんだか、とりあえず言ってみた。」
鈴木さん+佐藤さん「(お姉さんのヒミツを守り抜きましょう!
お泊り、楽しみだなぁ!!)」
あれこれ話している内に、
豪華な天そば御前が席へと運ばれて来ました。
大将さんが、ノルンさんの為に吟醸酒を振舞ってくれました。
ノルンさん「おお、ありがとー!」
大将さん「お得意様への感謝だから、気にせず飲んでね。
(エリス嬢ちゃんの話、聞かせてもらったぜ。)」
達人には、聞こえてしまうらしいのです。
セバリオスさん「いやー吟醸酒、美味そうだね。
(大将の策から、エリスを守らなければね。)」
レオクスさん「わ、私も飲みたいです! (共に行きましょう!)」
サクッと揚がった天ぷらは、風味と甘みがあってとっても美味しいです。
十割りのおそばも、コシがあってのど越しなめらかです。
鈴木さん「おいしーい!」
佐藤さん「うん、とっても!」
ノルンさん「そりゃ、良かった。
いつでも、連れて来てあげるからね。」
エストさん「はふはふ・・・よろしくお願いします!」
ためぞうは、このそばを打てるようになりたいと、
味わって食べています。
エリスねーさんは、グラスで吟醸酒を飲んでいます。
エリスねーさん「うめー!」
飲みやすいお酒ですが、度数が20度くらいあるので、
結構、あとから酔いが来ます。
セバリオスさんは、まったく酒には酔わない体質なので、
グラスでごくごく飲んでいます。
セバリオスさん「食事に合うよね、日本酒って。」
レオクスさん「とっても美味しいですね。」
レオクスさんは、すでにぽやんと赤くなっています。
ブロックの意味ではあまり期待出来そうにがありませんが、
顔立ちが女性のような感じなので、
頬に紅が差したその表情は、とても艶があって素敵です。
レオクスさんは、酔うとよく笑うようになります。
真面目すぎる性格から、丁度いいくらいのご機嫌な感じに優しくなります。
ノルンさん「ごくごく・・・。
(こんなにキレイな男がいるのかってくらい美人だなー。)
大将! お酒、もう一本持ってきて。」
セバリオスさん「・・・。」
大将さん「あいよっ!」
セバリオスさんと、そば屋の大将さんとの、
見えない戦いが始まりました。
さりげなく、お酒がすすむおつまみなど、差し入れてくれます。
このやりとりが、梅の花の咲く舞台を前にして、
一時間ほど繰り返されました。
・ お酒の回り具合。
ノルンさん = 余裕。
セバリオスさん = 全く余裕。
レオクスさん = ほろ酔い気分+1
セリスさん = 余裕+1
エリスねーさん = わりと酔ってる。
セバリオスさん「そろそろ、お開きにした方がいいんじゃないの?」
大将さん「せっかくみんなで来てくれてるんだから、
遠慮しないで、ゆっくりしていってよ。」
大将さんは、ノルンさんから注文を取っています。
ノルンさん「みんな、まだ平気だよね。
大将、お任せでよろしくー!」
セリカさん「お土産もよろしくー!」
大将さん「あいよっ!」
セバリオスさんは、大将やるな! と思いました。
大将さんの持ってくる吟醸酒は、
口当たりもなめらかで、ほのかにメロンのような香りがする、
素晴らしいセレクトなのです。
こんなに美味しいお酒を、
エリスねーさんに飲むなとは、
さすがにセバリオスさんも言えません。
セバリオスさんは、相手にも快く賛辞を送ることの出来る、
わりと心が広い方なので、
エリスねーさんが変な事になるのも、仕方ないと、
美味しく料理を頂く事にしました。
エリスねーさん「このお酒、ほんとに美味しいね。
姐さんの行き付けのおそば屋さんで、
はしゃいじゃってごめんね。」
ノルンさん「私と大将の仲だから、エリスが気にするなって。
ここ、離れになってるから、大丈夫だよ。」
レオクスさん「エリスさんは、私が守る!」
レオクスさんも、相当酔っています。
エリスねーさん「えーーっ!
・・・ま、守ってもらっちゃおうかな。」
レオクスさん「うはぁ!」
レオクスさんが、ノックアウトされました。
ためぞう「じわじわ、変わり始めとるな。」
鈴木さん+佐藤さん「そーなんだ。」
レオクスさんは、恥ずかしそうな顔をして、外の梅の花を眺めています。
そういう経験値はほぼゼロに等しいレオクスさんは、
心の中で、ひたすらに算数ドリルを解き続けています。
レオクスさん(・・・危うく、ためぞう君の冒険を終わらせてしまう所だった。
つい、嬉しさのあまり、KOされてしまったが。
エリスさんはいい!
だが、ためぞう君にはエリスさんが必要なんだ。
・・・でも、いい夢は見ました。てへ。)
だいぶ、レオクスさんも酔ってしまっているようです。
さらに一時間が経過します。
セリカさん「また、ご馳走してねー。」
セリカさんは、天ぷらのお土産を持って、
一人カラオケに行きました。
レオクスさんと、エリスねーさんの酔いが、
かなり回っています。
セリスさんは、エリスねーさんの横で、
ぴったりくっついて、お酒を飲んでいます。
そんなエリスねーさんですが、
とてもニコニコしています。
ためぞう「セバリオスさん、レオクスさん、
ねーさんそろそろっすよ。」
セバリオスさん「エリスが楽しいんじゃ、仕方がないね。」
レオクスさん「・・・いや、頑張りましょうよ、
セバリオスさん。」
セバリオスさん「そう?
なら、ちょっとだけ頑張ってみよう。」
ノルンさんと、大将さんは、
世間話で盛り上がっています。
大将さん、なかなかいい位置取りです。
そんな大将さんに、エリスねーさんはこう言います。
エリスねーさん「おそばも、天ぷらも美味しかったです。
私だけの時でも、また、寄らさせてくださいね。
今日は本当に、ありがとうございます。」
頬を赤く染めたエリスねーさんは、上目遣いに言いました。
その心からの言葉に、大将さんは心を射抜かれます。
優しく微笑むその笑顔を見ると、
胸の奥が、温かなもので満たされる気持ちでした。
それでいて、その感じをニコニコとした笑顔で、
緩やかなものにしてくれています。
ためぞう「案外、しっかりしてるなぁ。
酔ってるのは見た目だけなのか?」
大将さん「俺の作ったものをこんなに綺麗に食べてくれて、
料理作ってて良かったよって、思うその瞬間が、
まさに今だよ。
こっちまで、笑顔にさせられちまうや。」
この時、大将さんとセバリオスさんと、レオクスさんの間に、
友情のようなものが芽生えました。
『我ら、生まれた日は違えども、
共に、この微笑みを守っていこうよ! の会。』みたいな感覚です。
鈴木さん「友情って素晴らしいですよね!」
佐藤さん「天そばって、素晴らしいですー。」
帰り際、セリスさんがお会計をしていると、
こっそりと何かが入った封筒を、大将さんに渡しました。
セリスさん「(・・・エリス様のデレの時の生写真ですー。)」
大将さん「おお・・・ありがとう、お嬢さん!!」
こうして、夜の梅の花と、大将さんに見送られて、
セバリオスさんの車へと乗り込み、みなさん家路へと着きました。
その次の日の朝・・・。
長崎ドラゴン魚市場。
そば屋の大将さん「次、いつエリスちゃん連れて来るの?」
ノルンさん「お魚、買いに来たんじゃないの!?」
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