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ためぞうの冒険 II 第三十四話 「梅の花の咲く頃に。」

2015年02月06日 14時50分48秒 | ためぞうの冒険(ダークフォース セカンド?仮+未定)
 ためぞうの冒険 II 第三十四話。


   「梅の花の咲く頃に。」



 ためぞうは、何となく一年間くらい、

 頑張りました。


 そもそもタイトルが、「冒険」だったのが、

 間違いの元なのです。


ためぞう「・・・冒険は、出来ていない。

     ゲームとかでは、しっかりやってるんだが。」


 そろそろ、苦しくなってきたので、

 「きらめき、ためぞうの学園生活(仮)」辺りに、

 変更してみませんか?


ためぞう「変更できるなら、ぜひ!

     冒険出来ていない自分に、

     それは、ありがたい様な気がします。」


 ためぞうは、ワープしました。


 - セントクラウス学園、第うにゃうにゃ回、卒業式。 -


ためぞう「卒業はワナだから気をつけなさいと、

     エリナ先生に言われていたんですが、


     ためぞうは、そろそろ仕事に戻っていいでしょうか?」


 タイトルを変えるのですから、一度くらいは卒業してもらわないと・・・。

 また入学すればいいだけですよ。


 何度でも入学できますので。


ためぞう「あの入試難度で、二度目などないわっ!

     オレの知力は、3しかないんだぞ、

     5科目合計で2500点は無理過ぎるだろう。」


 ためぞうさんは、知らないかもしれませんが、

 テスト無しでも入学できるんですよ。


 例えば、1秒間に15・5回、ボタンを押すとか。

 ノーミスで、スーパーマリモをクリアするなど、

 とにかく、一芸でいけるんです。


 やる気が出てきましたか?


ためぞう「オレは騙されんぞ、

     そもそも卒業式に、誰もいねーじゃねーかよ!」


 卒業式の会場となっている第二体育館には、

 ためぞう以外誰もいません。


 ためぞうは、よく周りを見回して、

 確実にニセ行事である事を確認すると、

 凄まじい勢いで気合いを溜め始めました。


ためぞう「ためぞう、インフィニティーー!!」


 ためぞうの纏う闘気が、どんどん上がっています。

 ためぞうは、禁じられた奥義である、

 『ジャスティスモード』を発動しようとしています!


 冒険やってもないくせに、ちゃっかり必殺技のようなものは、

 習得していたようです。


ためぞう「誰が黒幕かは知らんが、オレはその試練を乗り越えよう!」


 強烈な閃光がためぞうから、

 いや、ジャスティス=ためぞうから放たれています。


 ためぞうは、試練を乗り越える意味を理解しているからこそ、

 隠された力である、ヒーローモードを発動しています。

 試練は避けると、他の誰かを巻き添えにしてしまう事があるのです。


ジャスティス=ためぞう「そこにいるな!」


 ためぞうは、あっさり黒幕を見つけました。

 体育館のビロードの幕に隠れていました。


黒幕のセリカさん「ムムッ! 逃げるが勝ち?」


ジャスティス=ためぞう「ジャスティスビーーームッ!」


 高出力で放たれたヒーロー攻撃に、

 セリカさんは避け切れません!


 ためぞうのビーム攻撃 → セリカさんに3500ダメージ!


セリカさん「うおっ、シールド突き抜けてきたよ!!」


 セリカさんは割といつも、とても強力なシールドを展開しています。

 そのシールドが何故か無効化されているのです。


 ツッコミは、避けてはいけないの本能が、

 セリカさんのシールドに、勝手に穴を開けていました。


セリカさん「・・・やばいね、次もらうと、戦闘不能だね。」


 外では、綺麗に咲いた梅の花を、

 サフィリアさんたちが、花見しながらお弁当を食べています。


 ためぞうの煌きレベルが上がっていくと、

 なんだかかなりのイケメンになってきました。


 この今のためぞうを見ても、

 すぐにはためぞうだとは、気付けないでしょう。


セリカさん「ふっふっふっ・・・ためさん、

      ためさんは、すでに負けている!」


ジャスティス=ためぞう「な、なんだとぉ!?」


セリカさん「そこまで強くなったためさんに、

      もはや、エリスさんは不要とみた!


      越えちゃってるじゃん。」


ためぞう「オ、オレとした事が!?」


 ためぞうは、ふにゃんと気合いを失い、

 ただのためぞうに戻りました。


 すかさず、セリカさんの反撃が来るッ!


セリカさん「グレイテスト=ギャラクシー=ドラゴンアッパーカットゥ!!」


 アッパーの威力は、バツグンだぞ! → ためぞうに6800ダメージ!!


 もろにアッパーを喰らったためぞうは、

 天井に叩き付けられ、

 紙切れのように舞い落ちてきました。


 ためぞうは、戦闘不能になった。


セリカさん「お弁当、食べに行ってくるー。」


ためぞう「・・・オレを回復していけよ・・・う、コテッ。」


 セリカさんはそ知らぬ顔で、第二体育館を後にすると、

 サフィリアさんたちと一緒に、お花見弁当です。


 ためぞうは、動けない・・・。


 日が傾いて、辺りが静かになってくると、

 ためぞうは、ちょっと寂しくなりました。


ためぞう「誰か来て・・・。」


 たまたま部活も休みで、使われなかった体育館の天井を見上げると、

 ためぞうは、今までの一年間を振り返ってしまいます。


ためぞう「卒業の方向にいかないでっ!

     ニセなんだよね?


     出来れば、ちゃんとした形で、

     乙女さんとの想い出付きで、卒業させてw


     同窓会とかも、期待の持てる方向で、

     流れを作っておきたい。」



   ガラガラ・・・。


 体育館の扉が開いている事に気が付いた事務のセリスさんが、

 ついでにためぞうにも気が付いてくれました。


ためぞう「た、助かった!」


セリスさん「それは、ぬか喜びですー。


      私は、回復魔法とか使えないので、

      使える方を呼んで来ますね。」



   それでは、選択肢でぇす!


 ・ 誰に、優しく回復魔法をかけてもらいたいですか?



   → モチモチすべすべ肌のナイスバディ、サフィリアさん。


     運動万能、スレンダーな美白の美少女 レミーアさん。


     関東から来た大和撫子、椿の艶の黒髪の美少女 レイカさん。


     無限の可能性を秘めた、ちっちゃい美少女リンカさん。


     そろそろお花屋さんの仕事を終えそうな、大人なファルさん。


     何が起こるかわからない、無敵女教師のエリナ先生(19)。


     回復魔法が使えるか謎な、でもイチオシのエリス様。



ためぞう「・・・選択肢を7つも同時に出せるとは!?


     ここは、無難にねーさんでいいや。」


セリスさん「はーい。」


 セリスさんからのメールを見たエリスねーさんは、

 慌てて、第二体育館にやって来ました。


エリスねーさん「おい、大丈夫か、ためぞー!」


ためぞう「な、長かった・・・。」


 エリスねーさんは、困りました。

 ためぞうを回復させる魔法が使えません。


エリスねーさん「ん? なんだこれ。」


 ためぞうの横に、エナジー回復ドリンクのビンが置かれています。


エリスねーさん「これ、飲めばいいんじゃねーの?」


ためぞう「セリスさん、気付いてました?」


セリスさん「ひゅ~るるる~♪」


 エリスねーさんは、ためぞうにエナジードリンクを飲ませた。


 ためぞうが、ギンギンに復活した!


ためぞう「・・・無駄な元気が溢れてくる。


     セリカさんは、いつもこんなの飲んでるのか。」


エリスねーさん「良かったな、ためぞう!」


 エリスねーさんが笑っています。

 ためぞうは、この笑みをみると、いつもなんだかホッとするのです。


セリスさん「良かったら、今夜は花見で一杯やりませんか?

      たくさん梅が咲いている場所を知ってるんです。」


エリスねーさん「もしかして、おそば屋さんの近く?

        ノルン姐さんが、出前取ってくれるんだよ。


        店内からも綺麗に見えて、いいんだよね。」


セリスさん「そうなんです、ライトアップとかしてくれてて、

      綺麗ですよね。」


 セバリオスさんが、セリスさんを迎えにやって来ました。

 何故か、セリカさんも付いてきています。


セリカさん「おそばレーダーに探知があったのです。


      いつもヒマでごろごろしてるので、

      良かったら連れてってください。」


エリスねーさん「セバリオス、そば食い行こうぜ!


        ためぞーも行くよな?」


ためぞう「行く。」


セバリオスさん「では、レオクス君も呼んで、一緒に行こう。」


 そうやって、セバリオスさんの車にみんなで乗り込むと、

 俊足を飛ばして、レオクスさんがやって来ました。


 どうやら、ランニングの途中だったらしく、

 紺のフリースにオシャレなスニーカーという格好です。


レオクスさん「着替えてなくてすいません。

       音速で駆け抜けてきましたよ。」


セバリオスさん「はい、タオル。

        柔軟剤にはこだわっているんだ。」


 ほのかに汗の香るレオクスさんが、

 車内へと乗り込んできます。


 お花の芳香剤のタオルも、いい匂いがしますが、

 レオクスさんから流れる汗は、

 とても若々しい、甘いメロンのような香りです。


エリスねーさん「(これが、王子様の香りなのか!?

        すげー。)」


セリスさん「(ああ、こういう王子様の空気もいいですねぇ。)」


 途中、ノルンさんのいる長崎ドラゴン魚市場に寄ると、

 そこには、エストさんと事務の鈴木さん、佐藤さんもいました。


エリスねーさん「そば食べいかね?」


ノルンさん「おー行く行く!」


鈴木さん+佐藤さん「ぜひ、お願いしますー!」


 こうして、ノルンさん行き付けのおそば屋さんに到着しました。


そば屋の大将さん「おお、ノルンちゃん、今日はにぎやかだね。」


ノルンさん「大将、いい席空いてる?」


そば屋の大将さん「おう、ノルンちゃんの頼みなら、

         オジサン、ことわれねえな!


         奥にある、別邸を使いなよ。」


 大将さんの心意気で、離れの広間を使うことが出来ました。

 梅の花が満開に咲く庭園を、ゆったりと望む事ができる立派な部屋です。


ためぞう「そば打ちの指導、これからもよろしくお願いします。」


そば屋の大将さん「いつでもおいでよ。

       ノルンちゃんの弟分なんだよな。」


ためぞう「ありがとうございます!」


 ためぞうたちは、席に着きました。

 ちょうどレオクスさんが窓側に座ったので、

 堂々と梅の花を見ながら、レオクスさんも見れます。


鈴木さん「いいですねー、王子様ですねー。

     梅の花もきれいですー。」


佐藤さん「キレイなものを見るって、素晴らしいことですよね。

     どきどきしちゃいます。」


 エリスねーさんと、ノルンさんはメニューを見ながら相談中です。


エリスねーさん「天そば御前に、花見酒でいいかな?

        未成年は、各自、好きなドリンクで。


        ノンアルコールの梅サワーとかいいんじゃない?」


エストさん「炭酸いいですねー。

      私は、それを頂いちゃおうかな。」


ノルンさん「それじゃ、注文するねー。」


セリカさん「おそばの神様に感謝。」


 セバリオスさんとレオクスさんが、

 こそこそと話し始めました。


セバリオスさん「ひそひそ・・・、

        エリスはある程度酔うと、性格がかなり変わるのだ。」


ためぞう「・・・変わりますね。」


レオクスさん「なるほど・・・それは、とても興味あります。」


 ためぞうも加わって、あれこれ話しています。


 鈴木さんと佐藤さんにとっても、エリスねーさんの情報は重要なので、

 こそっと聞き耳を立てています。


セバリオスさん「まあ、一言で言うと、

        ツンデレのデレの部分がハンパないな。


        あんな顔して、すんごい甘えて来る。

        それに、とても素直だ。」


レオクスさん「むはっ・・・。」


鈴木さん+佐藤さん「(おー萌えますねっ!!

           そんなにギャップ凄いんですね。)」


セバリオスさん「個人的に、あれは秘かに楽しむべきであって、

        公然とした場所で、アレをやられると、

        エリスの変なウワサが立って、

        たぶん、こっそり人気が出る。


        私が近くにいるから、エリスは求婚されないだけで、

        だが、いくら私が頑張って妨害しても、


        ツンデレ乙女の正体を知った者達を果たして止められるかどうか。


        ちなみに、未成年の頃のエリスは、

        もっと分かりやすかったので、

        お酒なしでもたまにそうなる事があった。」


レオクスさん「ここは、守っておかないといけませんね。」


セバリオスさん「うん。

        女子のお泊り会だったりすると、

        気にもならないのだが、

        エリスを簡単に嫁にやる気なんてないからね。

        親父でも何でもないんだか、とりあえず言ってみた。」


鈴木さん+佐藤さん「(お姉さんのヒミツを守り抜きましょう!

           お泊り、楽しみだなぁ!!)」


 あれこれ話している内に、

 豪華な天そば御前が席へと運ばれて来ました。


 大将さんが、ノルンさんの為に吟醸酒を振舞ってくれました。


ノルンさん「おお、ありがとー!」


大将さん「お得意様への感謝だから、気にせず飲んでね。

     (エリス嬢ちゃんの話、聞かせてもらったぜ。)」


 達人には、聞こえてしまうらしいのです。


セバリオスさん「いやー吟醸酒、美味そうだね。

        (大将の策から、エリスを守らなければね。)」


レオクスさん「わ、私も飲みたいです! (共に行きましょう!)」


 サクッと揚がった天ぷらは、風味と甘みがあってとっても美味しいです。

 十割りのおそばも、コシがあってのど越しなめらかです。


鈴木さん「おいしーい!」


佐藤さん「うん、とっても!」


ノルンさん「そりゃ、良かった。

      いつでも、連れて来てあげるからね。」


エストさん「はふはふ・・・よろしくお願いします!」


 ためぞうは、このそばを打てるようになりたいと、

 味わって食べています。


 エリスねーさんは、グラスで吟醸酒を飲んでいます。


エリスねーさん「うめー!」


 飲みやすいお酒ですが、度数が20度くらいあるので、

 結構、あとから酔いが来ます。


 セバリオスさんは、まったく酒には酔わない体質なので、

 グラスでごくごく飲んでいます。


セバリオスさん「食事に合うよね、日本酒って。」


レオクスさん「とっても美味しいですね。」


 レオクスさんは、すでにぽやんと赤くなっています。

 ブロックの意味ではあまり期待出来そうにがありませんが、

 顔立ちが女性のような感じなので、

 頬に紅が差したその表情は、とても艶があって素敵です。


 レオクスさんは、酔うとよく笑うようになります。

 真面目すぎる性格から、丁度いいくらいのご機嫌な感じに優しくなります。


ノルンさん「ごくごく・・・。

      (こんなにキレイな男がいるのかってくらい美人だなー。)


      大将! お酒、もう一本持ってきて。」


セバリオスさん「・・・。」


大将さん「あいよっ!」


 セバリオスさんと、そば屋の大将さんとの、

 見えない戦いが始まりました。

 さりげなく、お酒がすすむおつまみなど、差し入れてくれます。


 このやりとりが、梅の花の咲く舞台を前にして、

 一時間ほど繰り返されました。



 ・ お酒の回り具合。



   ノルンさん    = 余裕。


   セバリオスさん  = 全く余裕。


   レオクスさん   = ほろ酔い気分+1


   セリスさん    = 余裕+1


   エリスねーさん  = わりと酔ってる。



セバリオスさん「そろそろ、お開きにした方がいいんじゃないの?」


大将さん「せっかくみんなで来てくれてるんだから、

     遠慮しないで、ゆっくりしていってよ。」


 大将さんは、ノルンさんから注文を取っています。


ノルンさん「みんな、まだ平気だよね。

      大将、お任せでよろしくー!」


セリカさん「お土産もよろしくー!」


大将さん「あいよっ!」


 セバリオスさんは、大将やるな! と思いました。

 大将さんの持ってくる吟醸酒は、

 口当たりもなめらかで、ほのかにメロンのような香りがする、

 素晴らしいセレクトなのです。


 こんなに美味しいお酒を、

 エリスねーさんに飲むなとは、

 さすがにセバリオスさんも言えません。


 セバリオスさんは、相手にも快く賛辞を送ることの出来る、

 わりと心が広い方なので、

 エリスねーさんが変な事になるのも、仕方ないと、

 美味しく料理を頂く事にしました。


エリスねーさん「このお酒、ほんとに美味しいね。

        姐さんの行き付けのおそば屋さんで、

        はしゃいじゃってごめんね。」


ノルンさん「私と大将の仲だから、エリスが気にするなって。

      ここ、離れになってるから、大丈夫だよ。」


レオクスさん「エリスさんは、私が守る!」


 レオクスさんも、相当酔っています。


エリスねーさん「えーーっ!


        ・・・ま、守ってもらっちゃおうかな。」


レオクスさん「うはぁ!」


 レオクスさんが、ノックアウトされました。


ためぞう「じわじわ、変わり始めとるな。」


鈴木さん+佐藤さん「そーなんだ。」


 レオクスさんは、恥ずかしそうな顔をして、外の梅の花を眺めています。

 そういう経験値はほぼゼロに等しいレオクスさんは、

 心の中で、ひたすらに算数ドリルを解き続けています。


レオクスさん(・・・危うく、ためぞう君の冒険を終わらせてしまう所だった。

       つい、嬉しさのあまり、KOされてしまったが。


       エリスさんはいい!

       だが、ためぞう君にはエリスさんが必要なんだ。


       ・・・でも、いい夢は見ました。てへ。)


 だいぶ、レオクスさんも酔ってしまっているようです。


 さらに一時間が経過します。


セリカさん「また、ご馳走してねー。」


 セリカさんは、天ぷらのお土産を持って、

 一人カラオケに行きました。


 レオクスさんと、エリスねーさんの酔いが、

 かなり回っています。


 セリスさんは、エリスねーさんの横で、

 ぴったりくっついて、お酒を飲んでいます。


 そんなエリスねーさんですが、

 とてもニコニコしています。


ためぞう「セバリオスさん、レオクスさん、

     ねーさんそろそろっすよ。」


セバリオスさん「エリスが楽しいんじゃ、仕方がないね。」


レオクスさん「・・・いや、頑張りましょうよ、

       セバリオスさん。」


セバリオスさん「そう?

        なら、ちょっとだけ頑張ってみよう。」


 ノルンさんと、大将さんは、

 世間話で盛り上がっています。

 大将さん、なかなかいい位置取りです。


 そんな大将さんに、エリスねーさんはこう言います。


エリスねーさん「おそばも、天ぷらも美味しかったです。

        私だけの時でも、また、寄らさせてくださいね。


        今日は本当に、ありがとうございます。」


 頬を赤く染めたエリスねーさんは、上目遣いに言いました。

 その心からの言葉に、大将さんは心を射抜かれます。


 優しく微笑むその笑顔を見ると、

 胸の奥が、温かなもので満たされる気持ちでした。


 それでいて、その感じをニコニコとした笑顔で、

 緩やかなものにしてくれています。


ためぞう「案外、しっかりしてるなぁ。

     酔ってるのは見た目だけなのか?」


大将さん「俺の作ったものをこんなに綺麗に食べてくれて、

     料理作ってて良かったよって、思うその瞬間が、

     まさに今だよ。


     こっちまで、笑顔にさせられちまうや。」


 この時、大将さんとセバリオスさんと、レオクスさんの間に、

 友情のようなものが芽生えました。


 『我ら、生まれた日は違えども、

  共に、この微笑みを守っていこうよ! の会。』みたいな感覚です。


鈴木さん「友情って素晴らしいですよね!」


佐藤さん「天そばって、素晴らしいですー。」


 帰り際、セリスさんがお会計をしていると、

 こっそりと何かが入った封筒を、大将さんに渡しました。


セリスさん「(・・・エリス様のデレの時の生写真ですー。)」


大将さん「おお・・・ありがとう、お嬢さん!!」


 こうして、夜の梅の花と、大将さんに見送られて、

 セバリオスさんの車へと乗り込み、みなさん家路へと着きました。

 

 その次の日の朝・・・。


 長崎ドラゴン魚市場。


そば屋の大将さん「次、いつエリスちゃん連れて来るの?」


ノルンさん「お魚、買いに来たんじゃないの!?」
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