老い生いの詩

老いを生きて往く。老いの行く先は哀しみであり、それは生きる物の運命である。蜉蝣の如く静に死を受け容れて行く。

瀬尾まいこ『そして、バトンは渡された』文春文庫

2022-01-11 04:22:22 | 読む 聞く 見る
1771 どこかにいてくれるのと、どこにもいないのと・・・・


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その後、私の家族は何度か変わり、
父や母親でいた人とも別れてきた。
けれど、亡くなっているのは実の母親だけだ。
一緒に暮らさなくなった人と、会うことはない。

でも、どこかにいてくれるのと、どこにもいないのとでは、
まるで違う。
血がつながっていようがいまいが、
自分の家族を、そばにいてくれた人を、
亡くすのは何より悲しいことだ。
(44頁)

遠く離れた故郷には老いた親が暮らしている。
ここ数年故郷にも帰ってはいないけれど、
老親は自分のことよりも都会で暮らす息子(娘)を心配している。

昨日まで一緒に住んでいたが、
突然の病気で亡くなった老母。
「そばにいてくれた人」が、いない。
笑い合うことも話すこともできない、
もうあなたはいない、「何よりも悲しい」ことだ。




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