老い生いの詩

老いを生きて往く。老いの行く先は哀しみであり、それは生きる物の運命である。蜉蝣の如く静に死を受け容れて行く。

脚本・大石静『大恋愛 ~僕を忘れる君と~』(扶桑社文庫)

2020-07-15 06:19:24 | 読む 聞く 見る


1594 脚本・大石静『大恋愛 ~僕を忘れる君と~』(扶桑社文庫)

TBSで放映された『大恋愛』
若年性アルツハイマー病で、自分さえも忘れてしまう恋人(妻)
『頭の中の消しゴム』の物語を想い出す。

とても読みやすかったが、内容は重い

91頁から92頁にかけての言葉がいまも余韻として残っている
「人は誰しも、残りの持ち時間に追われている。そして死に向かって走っている」

「だからと言って、そのことは普段は意識しないものだ。
でも彼女は違った。生まれた時から、残り少ない持ち時間を知っているかのごとく、
全力で走っていた」


「病気が進行するより前に、心が壊れてしまう」(177頁)
「これまで生きてきたあこと、学んできたことが、指からどんどんこぼれていく感じ・・・・」(177頁)

記憶や時間が指のすきまからこぼれ落ちてゆく
残りの時間は少なり、死が背後から近づいてくる

それだけに、いま生きている時間が
二度と繰り返すことのできない時間だけに
いま、という瞬間、瞬間を生きる



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