老い生いの詩

老いを生きて往く。老いの行く先は哀しみであり、それは生きる物の運命である。蜉蝣の如く静に死を受け容れて行く。

517;人の役に立つ  東野圭吾『ナミヤ雑貨店の奇蹟』角川文庫

2017-11-06 18:04:30 | 読む 聞く 見る
 人の役に立つ  東野圭吾『ナミヤ雑貨店の奇蹟』角川文庫

コソ泥少年3人が悪事を行ったあと
逃げ隠れた先は廃屋同然のナミヤ雑貨店

「ナミヤ」の言葉を入れ替えると
「ナヤミ」を受ける雑貨店に変わる。

5つの話(点)が、それぞれに深く結びつき
悩める人々の再生を描いていく。

いままで人の役に立つどころか、
逆に犯罪を起こし他人に迷惑をかけてきた
少年3人が、他人の悩みにつきあう。

ナミヤ雑貨店のシャッターから投函された
悩み相談の手紙を手にした少年達。

「うまくいえないけどさ」幸平が、ぼそりといった。
「これまで生きてきて、今夜初めて人の役に立てるって気がしたんだ。
こんな俺が、俺みたいな馬鹿が」(301頁)

「金じゃないよ。儲けにならないからいいんだ。
損得抜きで誰かのために真剣に何かを考えたことなんて、
これまでに一度もなかった」(301頁)

この小説のなかで、悩みを他者に相談するけれど
最後はやはり悩みをどう乗り越えていくのは、
自分である。

「うまくいく人間より、うまくいかない人間のほうが
はるかに多いからだ」(314頁)
それでも人間は、悩みもがきながらも「好きなように生きていけたら」最高だ。

亡くなっても私はあなた達のことを
「私は空の上からみんなの幸せを祈っているからってね」(364頁)

人それぞれ悩みを抱えながら生きている。
悩みを相談できる人や場所は、如何に大切か
悩みを乗り越えていくのは、当の本人である。

東野圭吾の小説は泪がウルウルする
『手紙』も最高に感動した



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