老い生いの詩

老いを生きて往く。老いの行く先は哀しみであり、それは生きる物の運命である。蜉蝣の如く静に死を受け容れて行く。

819;「介護思想」(8)笑いのある小規模デイサービス

2018-07-14 03:35:50 | 介護の深淵


 笑いのある小規模デイサービス

暑い夏が続いている。
定員10名の
小さなさくらデイサービス
認知症老人にとっては居心地のよい処である。
言葉かけや手をかける機会(時間)が多い。
意地悪で他人のことをあれこれ粗さがしをする老人もいるが、
デイサービススタッフの働きぶりや性格を観察されている老人もいる。
長年生きてきただけにその観察力は的を得ている。
丁寧な言葉で老人に話しかけても老人は心を開かない。
言葉は丁寧でなくてもよい、本音で話すスタッフには心を許し、本当の気持ちを話す。
そのデイサービスに老人やスタッフの笑いがあるかのかないのか。
時々さくらデイサービスを訪れると、
乱暴な言葉使いや卑猥な話しに吃驚(びっくり)させられる。
下ネタは爺様に限らず婆様も好きで、その話に乗ってくる。

平成元年から老人介護に関わってきた。
平成一桁の頃は、60,70代の老人(利用者)が多く、90代の老人は稀であった。
いま平成30年のデイサービスの利用者は、
さくらデイサービスでは85歳以上の老人は、半数を占め、最高年齢は97歳。
要介護認定を受けていても、「元気な」老人は、突然亡くなる場合もある。
寿命100歳時代の到来と言われるようになったけれど、
死は隣あわせにあることは確か。
食べたいものを食べて死にたい。
誰もが口にする言葉。
でも、脳卒中後遺症や糖尿病、腎臓病、高血圧症など様々な病気を抱えていることから、
しょっぱいのはダメ、あまいのはダメと言われてしまう。
食べ物の恨みつらみは怖く、なかには隠れて食べる。
採血や尿検査を行うと、しっかりと数値が印字され、「食べすぎ」「摂りすぎ」と注意されてしまう。

さくらデイサービスでは、
激塩辛い鮭やイカの塩辛を、三口四口と少量を昼食の食卓に出す。
爺様婆様は喜ぶ。
あの世が近い老人達に、最後の晩餐かもしれない。
婆様が台所に立つと嫌がれる。
「老人は汚い」という思い込みや偏見から、包丁を持たせてはくれない。
さくらデイサービスでは、テーブルの上でカレーライスや餃子、ポテトサラダ、お好み焼き、焼きそばなどなど
爺様婆様も食事づくりに参加。
笑いや卑猥な話しも飛び交いながら食事づくり。
自分たちは何もせずに配膳されることに感謝しながらも、
気持ちのどこかに申し訳ない、と思ってしまう。
みんなで和気あいあい作った食事は殊更美味しい。
そんなこともできるのが小規模デイサービスの良いところ。



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