HAZAMAN'S WORLD WEBLOG

自分が描く絵のことや、日々の暮らしの中でふと気付いたことなど・・・・

セブン・アローズ

2006年04月20日 | Weblog
何故、ネズミの絵を描こうと思ったのか。一番最初に考えていたことはもう憶えていません。
けれど、5年程前ぐらいからの時期の小さなメモ帳の中には、既に、初期型の、といっても上手く描けなくて放棄してしまったネズミのエスキースが幾つかあります。

『セブン・アローズ』という、確かナバホ出身だったと思うのですが、平原インディアンの末裔である小説家が書いた物語の中に、本当にちっぽけな存在でしかなかったネズミが、幾つかの試練を経て、やがて大空を飛ぶ鷲のように高貴なものへと変身していくという、印象的なネズミの挿話があったように記憶しています。

昨日、この、自分が描くネズミって何だろうと考えながら、多分自分の姿をこのネズミに託しているのかなと思いながら、なぜかしら突然『セブン・アローズ』を思い出したのです。
もちろんぼくが描くネズミは、作者と同じでまだまだ地面に鼻をこすりつけては、忙しく毎日を過ごしているようなものですが。

ただ、自分や人間が生きる姿を描くのに、何故ネズミなんだい?という疑問は残ります。そう考えると、恐らくネズミというのはそのまま僕自身や誰かの比喩ではなく、むしろ作り手である僕自身が、キャラクターたちが生きるファンタジーの世界の中で、自由に想像力を働かせようと思ったときに、まるで違うものの姿を借りたほうがよいと思っているのだと思うのです。

それに、もうずっと学生の頃から思っていたことですが、人間が生きるための力というものは、衣食住を満たすということによって得られるのではなく、芸術という方法で、心に滋養を与えることでしか得られないのではないかということです。

まったく別の何者かになって、大いに想像力を働かせ心を自由に遊ばせる。そんな単純なことが一番必要ではないか、そんな風に思うのです。
日々描くキャラクターが、そのための水先案内人になってくれればそれほど嬉しいことはありません。

さて今日の絵ですが、二人のネズミが、大空をピクニックするためにどこからテイクオフするか相談してりと頃ですね。