HAZAMAN'S WORLD WEBLOG

自分が描く絵のことや、日々の暮らしの中でふと気付いたことなど・・・・

アナログということ

2006年04月12日 | Weblog
昨日と一昨日かな。日経新聞の夕刊で、真空管アンプやフィルムを使う一眼レフカメラを趣味にする人たちの特集が出ていました。
どちらも、技術としてはもう斜陽と言われても仕方なさそうなものですね。

記事によれば、手間がかかって面倒くさいが、温かみや人間くささの様なものがあって、そこがまた良いんだというような内容だったと思います。

それで思い出したのですが、もう10年以上前大学に入ったばかりの頃、当時はまだ講師だった、ある教授から聞いて、未だに忘れられない話しがあります。

その人がまだ学生だった頃、石膏像を作るアルバイトをしたことがあったそうです。

美大受験を志したことがある人なら誰でも一度は相手にするものですが、古代ギリシャやローマの石像を、石膏に置き換えたもので、受験生はそれを延々デッサンさせられるわけです。

その石膏像を作るとき、石膏を流し込む型を作るわけですが、番線(太い針金)を必ず使っていたらしいのです。

最後は番線だけを回収したらしいのですが、ぐにゃぐにゃになった番線を、ハンマーでたたいてまっすぐに伸ばして再利用していたそうです。

面白いのは、新品のまっすぐな番線よりも、ぐにゃぐにゃだったものを必死になってたたいて伸ばしたものの方が、より真っ直ぐに見えたらしいのです。

レコードにはCDにはないリアルな臨場感がある、そんな感想をよく聞くことがあるわけですが、人間て言うのは、技術的には目の回るような勢いで進歩していっても、人間そのものの根本は、ちっともそんな変化にはついていってないのではないか。そんな気がするんです。

手作りのものや、素材感が分かる雑貨に惹かれる私たち。それはいったいどういうことでしょうか。世の中の流れからは明らかに逆行しているように見えかねないと思うのです。

でも、そのいかにもアナログなところが人間の本当の姿なんでしょうね。

僕自身が描く絵も、いかにパソコンを使っていても、人間の、ほとんど生理的といってもいいような感覚、感情に、上手く響くものを作りたいなと思っています。


今日の絵はまたまた前回の続きです。
当分終わりません。