病院から電話があった。
脱げない服を着せるということに承諾し
様子を見て、その抑制衣の購入にも承諾した。
病院でのお袋の行動は、
家での行動と
ほとんど同じのようだ。
病院の方々に、ほんと世話になる。
病院の方々が抑制衣を着せたくなるくらい、
お袋の行動に制限が付けられないのなら
俺ひとりで家で看ていくのは無理だった、ってことなるんじゃないかと、
それが、母親を病院に預けたという罪悪感の免罪符になっている。
施設に入れたから、病院に入れたから
お袋はこんなふうになったんじゃないかと、
経緯も知らずに
邪気無い言葉で切りつけてくる奴らもいるけれど、
それにいちいちムキになって反論するのも空しい。
24時間、お袋を看ていたのは俺だ。
迷いながら、できることは、みんな、やった。
でも、土砂が崩れるように壊れ続けるお袋にどうしようもなかった。
たぶん、時間をかければ、病態が変わるんだろう。
それに、薬でいくらか抑えることもできるんだろう。
ひとりになったら上をみる。
上を向いて歩こう、だ。