壁を乗り越えれば、その向こうには、
魚影の濃い海原が広がっているのかもしれない。
山を歩き越えれば、その向こうには、
たわわな実り豊かな果樹が群生しているのかもしれない。
足取りが軽い時もある。泥濘に足を取られることもある。
流されて此処に来たわけじゃない。
偶然此処にいるわけじゃない。
乗り越えても、乗り越えても、峰が連なっているだけなのかもしれない。
乾ききった不毛の砂漠が広がっているだけなのかもしれない。
遥か彼方に海の欠片さえも、いつまでも見えないのかもしれない。
二人だから歩いてこれたのかもしれない。
独りでも歩いてこれたのかもしれない。
右へ行くか左に行くか
泣いて突き放すか、泣いてすがりつくか
一人で落ちていくか、道連れに落ちていくか
考えて決めるのは自分
交わす言葉に愛があり、凌ぐ試練に愛が育つ。
脆く果かない絆もいつかは…。