連れと居酒屋で怪気炎を上げて威勢良く飲んでいた金曜の夜、
1軒目の酒も手伝って、かなり泥酔して視線も虚ろになった2軒目の金曜の夜、
別れた人に会った。
会社の上司と2人で入ってきた君は
俺を見つけると、懐かしいといった顔で、思い切り俺の右肩を叩いた。
あいにく、カウンターの空いている席は、俺の横しかなく、君は俺の横に陣取る。
少しの間、互いに躊躇しているような「間」があったけど
どちらともなく昔話に傾いていった。
20代の頃、どちらがどちらに言い寄ったんだっけ。
君は、俺にふられたと、会社の上司に言い
俺は、君にふられたと、連れに言い
上司も連れも、興味深げに、俺らの話に聞くともなしに耳を傾けている。
そう言えば、君の運転でどっかにドライブに行ったんだっけ。
みゆきさんが好きなんだっけ。
他愛もない会話に味付けされて、酒はどんどん甘くなっていく。
20年以上前の昔話は、砂糖で固められたお伽噺のようなもの。
本当にあったことなのか、それすら危うい。
カウンター越しにママさんが、注文した鮎の塩焼きを連れに差し出した。
なあ、俺、本当は鮎の塩焼きは、好物なんだよ。
魚は苦手でも、鮎だけは大好きなんだ。
美味そうに鮎を、箸で上手にむしって口に運んでいる連れを見ながらそう思う。
けれども、連れの満足そうに食べている顔を見てたら、
箸を出せなくなってしまった。
ま、喰わんでもいいか。(苦笑)
1軒目の酒も手伝って、かなり泥酔して視線も虚ろになった2軒目の金曜の夜、
別れた人に会った。
会社の上司と2人で入ってきた君は
俺を見つけると、懐かしいといった顔で、思い切り俺の右肩を叩いた。
あいにく、カウンターの空いている席は、俺の横しかなく、君は俺の横に陣取る。
少しの間、互いに躊躇しているような「間」があったけど
どちらともなく昔話に傾いていった。
20代の頃、どちらがどちらに言い寄ったんだっけ。
君は、俺にふられたと、会社の上司に言い
俺は、君にふられたと、連れに言い
上司も連れも、興味深げに、俺らの話に聞くともなしに耳を傾けている。
そう言えば、君の運転でどっかにドライブに行ったんだっけ。
みゆきさんが好きなんだっけ。
他愛もない会話に味付けされて、酒はどんどん甘くなっていく。
20年以上前の昔話は、砂糖で固められたお伽噺のようなもの。
本当にあったことなのか、それすら危うい。
カウンター越しにママさんが、注文した鮎の塩焼きを連れに差し出した。
なあ、俺、本当は鮎の塩焼きは、好物なんだよ。
魚は苦手でも、鮎だけは大好きなんだ。
美味そうに鮎を、箸で上手にむしって口に運んでいる連れを見ながらそう思う。
けれども、連れの満足そうに食べている顔を見てたら、
箸を出せなくなってしまった。
ま、喰わんでもいいか。(苦笑)