「今度生まれてくるときは,人間に生まれてこいよ」
善意で言ってるのだろう。しかし、私には違和感がある。口幅ったくて、とても口にすることができない。
従順なペットや可愛い動物、生き物を慈しむのはいい。しかし、大きなお世話ではないか?
人間でなければ仏教を聞くことはできないという。でも、人間に生まれても、仏教と無縁のまま一生を終える人たちばかりである。その人たちを哀れに思うのも、よくよく考えれば,おこがましくはないだろうか? 自分は何様なのか?
かつてゴンタを早死にさせてしまったことを思えば,本当に申し訳なかったと思う。なんでもっと早く、病院へ連れて行けなかったのか。後悔と懺悔しかない。次はもっといい境涯で生まれてほしいが、死んでから望んでどうなるというのか?
ゴンタの息子であるルパンは、今年13歳になる。12歳半ばで死んだゴンタより長生きしている。食欲旺盛だが、たまに平坦なところで躓くことがある。白内障もかなり進んでいる。人間に換算したら70歳を越しているのだから無理もない。
ただ、ただ、できるだけ長く元気であってほしいと願うだけである。